■4メートルの絶滅巨大アカマンボウ ~ メガランプリス・ケエシ
今回の主役はアカマンボウ (Lampris)。
まずは現世のアカマンボウを見ていきましょう。
うっすら赤みを帯びた金属光沢のシルバーボディに真紅のヒレがとても映えます。
シルエットはほぼ円形、左右に極端に扁平で名前の通りマンボウのような姿をしています。
しかしマンボウとはまったく異なるアカマンボウ目と呼ばれる種で、リュウグウノツカイ、アカナマダ、フリソデウオなどと同じ仲間です。
シルエットこそ違えど、上記の魚たちと配色はそっくりです。
よく目にするアカマンボウはせいぜい体長1メートル程度でしかありませんが、アカマンボウの最大種ランプリス・グッタトゥス (Lampris guttatus) は最大で2メートル、270キロにまで成長する巨大魚です。
生態は謎だらけでほとんど何も分かっていませんでしたが、最近の研究で魚類唯一、血液の温度を一定に保つ機能を有していることが分かっています。
この機能のおかげで脳と目が体温より2度ほど高く保つことが可能であり、生息域の最大水深である水深500メートルという深海の低水温においても脳と目を正常に機能させることができるといわれています。
ハワイではオーパ (Opah) と呼ばれ料理にも盛んに使われますが、日本では利用されることはまだ少ないようです。
ですが、赤身部分の一部は見た目だけでなく味もマグロそっくりなためネギトロに利用されたり、場所によっては切り身でマンダイとして売られたりしているようです。
さてアカマンボウの絶滅種、メガランプリス・ケエシ (Megalampris keyesi) です。
「メガランプリス (Megalampris)」という属名ですが、現世のアカマンボウの属名「ランプリス」に「メガ」をくっつけたもので「巨大なランプリス」の意です。
ちなみにランプリス自体は「ブリリアンス (鮮明)」の意です。
メガランプリス・ケエシは2600万年前の漸新世後期の地層から発見された魚類で、断片しか見つかっていないものの完全であれば驚愕の体長4メートルに達すると考えられています。
ただしまわりはもっとでかい魚がうようよの時代ですし、現在のアカマンボウの食性 (イカ、クラゲ等) から考えて、凶暴な魚だったとはとうてい考えられず、この大きさにして大型魚にやすやすと捕食されていたかもしれません。
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