2024年3月31日日曜日

アウアプミュアン川の怪物 ~ アウアプス (アシュワプス)


■アウアプミュアン川の怪物 ~ アウアプス (アシュワプス)

今回はアウアプス (or アシュアプス, アシュワプス, Ashuaps)。

カナダのケベック州にあるアウアプミュアン川 (Ashuapmushuan River) に由来するのでこの名を持ちます。

アウアプミュアン川はアウアプミュアン湖 (Ashuapmushuan Lake) とサンジャン湖 (Lac Saint-Jean) を結びますが、アウアプスはその名前に反し、サンジャン湖 (Lac Saint-Jean) で目撃の多いUMAです。

アウアプミュアン川を通して行き来できるためどちらの湖でも目撃されるということでしょう。

典型的なレイク・サーペント系UMAで、細長い海蛇のような姿をしており、その体長は50~60フィート (約15~18メートル) と長大です。

目撃が始まったのは1950年代といわれおり、既にその存在は広く認識されていたようです。

というのも1955年7月23日にサンジャン湖で開催された「国際サンジャン湖横断水泳大会」において、この大会に参加する選手は「万一アウアプスによって負傷した場合でも大会開催団体に対しいかなる法的措置もとらない」こと免責事項として署名させられました。

まあジョークでしょうけどね。

1978年、マルセル・タルディフ (Marcel Tardif) 夫妻は50フィートの巨大な黒いヘビを目撃、同日マイケル・ベロー (Michael Verreault) 一家が乗っていたカヌーにアウアプスが体当たりし、三人はカヌーから投げ出されたと主張しています。

その後1980年代までは目撃情報も多かったといいますが、90年代に入るとめっきりその情報は減り、現在ではほとんどなくなってしまったそうです。

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エクアドルで発見された謎の剥製 ~ マカス・ママル


■エクアドルで発見された謎の剥製 ~ マカス・ママル

今回は謎の剥製、マカス・ママル (Macas mammal)。

マカスはエクアドルの都市の名前で、ママルとは英語で「哺乳類」のこと、すなわち「マカスの哺乳類」という意味です。

この剥製はスペインの未確認動物学者アンヘル・モラント・フォレース (Angel Morant Forés) さんが1999年、エクアドルのマカスに滞在時、土産物屋に飾ってあったのを発見したものです。

ちなみにフォレースさんはスペイン人ながらエクアドルに特化した未確認動物学者で、エクアドルの数多くの未確認動物を発表しています。

さてこの剥製、とっても欲しくなりましたがこれを母国 (スペイン) に持ち込むことができるか確信できなかったため、フォレースさんは土産物店で入念に観察させてもらい、写真も撮影し帰ってきました。

(実際のマカス・ママルの写真)
(image credit by Angel Morant Fores)

「マカスの標本の体長は35~40センチ、鼻先に口吻を持ち、足には水かきがあります。

マカスの標本が "Chironectes minimus (ミズオポッサム)" でないことは、ミズオポッサムのオス・メスの両性に育児嚢 (いくじのう) があるのに対し、この標本には育児嚢がないことで判断できます。

あらに言えば、マカスの標本は南米の知られているすべての有袋類と異なる特徴を持ちます、というのもマカスの標本は前肢に水かきをもちますが、ヤポック (ミズオポッサムの地元での呼称) は後肢にのみ水かきをもちます。

マカスの標本は齧歯類でないことは、齧歯類は口吻を持たないことで判別できます。

食虫類 (insectivore) でしょうか?そうですね、わたしが言えるのは南米に水棲の食虫類はいないということです、それらはすべてコミミトガリネズミ属 (Cryptotis) であり、樹上棲か陸棲です。

わたしはこの剥製がなんであるかを調査し、先住民族であるシュアール族からこの謎の生物が地元の河川ではふつうに見られる動物であるということを知りました」

(ミズオポッサムの剥製)
(image credit by Wikicommons)

ちなみにミズオポッサムはフォレースさんが描写している通りの動物で、メスだけでなくオスも育児嚢をもつ現存する唯一の有袋類です。

また前肢には水かきがなく、水かきがあるのは後肢のみです。

さて、この謎生物マカス・ママル、フォレースさんが5人の哺乳類学者に写真を送付し鑑定を依頼したところ1人が手を加えられたヤポックかヤポックそのもの、4人は分からないという返答でした。

諦めきれないフォレースさんはエクアドルの動物学者ディディエ・サンチェス (Didier Sanchez) さんを遠しし、現地に行って剥製を調査してくれるように依頼しました。

その結果ディディエさんからマカス・ママルは剥製師がヤポックに手を加えたもの、と判断したそうです。

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2024年3月30日土曜日

汚染された湖でも生き続ける?エリー湖の怪物 ~ ベッシー


■汚染による突然変異?エリー湖の怪物 ~ ベッシー

今回はエリー湖の怪物 (Lake Erie monster)。

エリー湖は五大湖のひとつで表面積は五大湖の中で4番目、平均水深は62フィート (19メートル) と最も浅い湖です。

五大湖で4番目といっても世界では11番目に広い面積を持つ湖で、五大湖の他の湖があまりに広すぎるだけです。

で、この湖に生息するという水棲UMAをベッシー (Bessie) といいます。

エリー湖の怪物だけになぜゆえにエリー (Errie) と呼ばれないかというと、もともと湖の名前がネッシー風のエリー (Erie) ですしニックネームになりえません。

おそらくそんな理由でエリー湖の怪物のニックネームを募集するコンテストが開催されたのでしょう。

そして見事コンテストで優勝したニックネームというのが「ベッシー」というわけですが、これはエリー湖に近接するデービス・ベッセ原子力発電所 (Davis Bessie nuclear plant) に由来するといいます。

ベッシーの歴史は古く、そのニックネームコンテストのはるか昔、18世紀末もしくは19世紀初めまで遡ります。

記録にある最古のものは1793年のもの、30フィート (約9メートル) もある巨大海蛇 (サーペント) タイプの生物が目撃されたというものです。

1817年は立て続けにベッシーが目撃された年で、その大きさは20~60フィート (約6~18メートル) とふり幅が大きいですが、30フィートぐらいの目撃が多かったようです。

その中でもフランスからの移民、デュソー (Dusseau) 兄弟によるものは、陸に打ち上げられ、のたうち回るベッシーを目撃したということでとても興味深いものです。

兄弟によれば、体長は20~30フィートあったといわれ、その姿はチョウザメに酷似していましたが、ヒレではなく腕を持っていたといいます。

ふたりは未知の巨大生物に対する恐怖からその場を離れ、後で戻ってきたときには既にベッシーの姿はなかったといいます。

1896年5月5日には一度に4人に目撃され、体長はやはり30フィートほど、頭部がイヌに似ていたと主張しています。

その後も多くの目撃情報が続きましたが、20世紀に入りベッシー受難の時代が訪れます。

特に高度成長期の1960年代に入ると、エリー湖近郊の工業用排水・生活用水の流入により湖の水質が極度に悪化し、湖の生態系に壊滅的な悪影響を与え始めます。

漁業はもちろんのこと、釣った魚も食べることはできず、以前のように湖に入って泳ぐこともできないほど湖は汚染され、エリー湖は「巨大な汚水溜め」なる不名誉な名で呼ばれる始末でした。

これにてベッシーも万事休すか、と思われましたが、にもかかわらず70年代以降もその数は激減したもののかろうじて目撃は続いていました。

以前ほどは悪くないものの現在でもあまり水質は良くないようで、管理も行き届いていないようです。

180以上もの外来種にも悩まされており湖の生態系は壊滅的で、21世紀に入るとベッシーの目撃もすっかりなくなってしまいました。

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日本屈指のレイク・モンスター 屈斜路湖の怪物 ~ クッシー


■屈斜路湖の怪物 ~ クッシー

池田湖のイッシーと並び日本でもっとも有名なレイク・モンスター、屈斜路湖 (くっしゃろこ) のクッシー (Kussie / Lake Kussharo monster)。

日本屈指のUMAでありながら、このUMAの存在はあまりに悩ましい。

まあその話は後回しにしてクッシーを見ていきましょう。

クッシーの住処である屈斜路湖は北海道弟子屈町 (てしかがちょう) にあり、カルデラ湖としては日本最大、すべての湖を含めても日本で6番目に大きな湖です。

大きな生物が生息するにはやはり大きな湖が似合います。

この湖では1972年ごろから目撃が続くレイク・モンスターで、体長は5~30メートルととてつもなく大きく、その姿もネッシータイプ (首長竜タイプ) から巨大海蛇 (シーサーペント) タイプ、巨魚まで様々です。

目撃は多いものの、そのほとんどが胴体の一部 (背中のコブ等) であるため、その全容はなかなかつかみづらいのですが、頭部を目撃した証言もあり、ウマ似ていたとかキリンのような角を持っていた、というような哺乳類的特徴を持つものもあります。

1974年、モーターボートに匹敵する速度で進む2つのコブを20人ほどの人々が同時に目撃したという事例もあり、なにかしら巨大な生物が生息していることをいやが上にも期待させられます。

しかし、、、冒頭に書いた通りクッシーの存在には少々懸念事項があります。

というのもこの屈斜路湖、巨大生物はおろか小魚ですら生息するにはかなり過酷な環境であるという事実があります。

この湖の巨大水棲UMAの存在を脅かす最大の敵はpH (ペーハー) 濃度で、通常でもpH5ぐらいのかなりの酸性湖です。(pH7が中性)

しかもそのpH値で安定しているならまだしも、歴史上短いスパンでpHが乱高下しており、1938年の屈斜路地震でpH4まで酸性化してしまったとのこと、これにて湖のほとんどの魚類は息絶えてしまったといいます。

耐酸性の魚類ですらこの自然が引き起こす不安定なpH濃度では水槽の魚のようにpHショックを引き起こしそうです。

日本でもっとも有名なUMAが生息するといわれる湖がこれほど厳しい水質というのは皮肉なものです。

ちなみに現在屈斜路湖でみられる魚はほとんどが放流したものだそうで、特に世界一の耐酸性能力をもつといわれるウグイ (Tribolodon hakonensis) が多いそうです。

ではクッシーのその正体は巨大化したウグイの可能性は?

pH4以下ですら生息できるウグイですが、最大でも1メートルはおろか頑張っても40~50センチぐらいでしょうから、巨大魚を正体と考えてもさすがにウグイとは考えにくいところです。

クッシーの目撃が始まったのは前述の通り1972年ごろであり、1938年の魚類大量絶滅後に放流したものが巨大化したか、魚類大量絶滅以前から生息していた大型魚 (巨大生物) が奇跡的に絶滅期を凌いだかいずれかです。

やはりUMAとしては化け物じみた生命力を期待し後者を推したいところです。

でもま水質がどうであれ、クッシーを見たという人がわんさかいるのもこれまた事実。

その正体も生存できる秘訣も皆目見当がつきませんが、なにか巨大な生物が生息していることを信じましょう。

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