■300人超を殺害した伝説のナイルワニ ~ ギュスターヴ
北海道東部の標茶町(しべちゃちょう)で、巨大なヒグマの目撃情報が相次いでいた時期がありました。
このヒグマに襲われた乳牛の数は60頭以上。
「神出鬼没」という表現がまさにぴったりで、監視カメラに捉えられたことも数回しかなく、ハンターの待ち伏せにも姿を現しませんでした。
牛の美味しい臓器だけを食べ、ときには殺した乳牛をまったく食べていないこともあり、「快楽殺人」ではないかと疑われたほどです。
ただ、これは上記の通り大変警戒心が強く賢い個体だったことから、牛を殺した直後に人間の気配を感じ、そのまま逃げてしまった可能性も否定できないでしょう。
「OSO18(おそじゅうはち)」というコードネームを持っていたこのオスのヒグマは、二足立ちすると身長3メートルに達し、体重も300キロ超とされる巨大グマ。
半ば伝説的な存在になりつつありましたが、UMAでもなんでもなく、正真正銘の実在するヒグマでした。
さて、今日の主役もOSO18同様、生ける伝説となった巨大動物、ギュスターヴ(ギュスターブ Gustave)です。
― 巨大ワニ、ギュスターヴ ―
ギュスターヴとは、東アフリカのブルンジ共和国に生息するとされる、巨大なオスのナイルワニ(Crocodylus niloticus)につけられたニックネームです。
ちなみに、アフリカの凶暴な怪物ワニに「ギュスターヴ(Gustave)」という、いかにもヨーロッパ風の人名がつけられているのは少々奇妙に感じることでしょう。
この名前、実は1990年代後半にこのワニを調査・捕獲しようとしたフランス人の爬虫類学者パトリス・フェイ氏(Patrice Faye)によって名付けられたものです。
「ギュスターヴ」はもともと北欧起源のフランス語の男性名で、本来の意味は「ゴート族の支え」や「神の杖」。
スウェーデン国王(グスタフ)などにも使われてきた、由緒ある立派な人名です。
もちろん「殺人ワニ」という意味の言葉ではありません。
フェイ氏は、地元住民から恐れられていた圧倒的な巨体にふさわしい、「威厳があり、どこか古風で大物感のある名前」として、あえてこの由緒ある名前をチョイスしたのかもしれません。
凶暴な怪物に人間の、しかも高貴な響きの名前が与えられている――
もしかすると現地の人々や研究者にとって、ギュスターヴは単なる野生動物ではなく、「畏敬の念」を抱かせる特別な存在に映っていた可能性もあります。
――まあ、名前が何であれ、喰われる側からすればそんな由来はどうでもいい話ですが。
ナイルワニは、イリエワニ(Crocodylus porosus)に次ぐ世界最大級のクロコダイルです。
オスはメスよりもはるかに大きくなり、大型個体では体長15フィート(約4.5メートル)、体重900ポンド超(約400キロ)に達します。
公式記録では、体長21フィート2インチ(約6.5メートル)、体重2400ポンド(約1088キロ)という巨大個体も記録されています。
そして、この規格外のナイルワニのさらに上を行くとされるのがギュスターヴです。
ギュスターヴは捕獲されていないため正確な測定値はありませんが、体長20フィート(約6メートル)、体重2000ポンド(約910キロ)ほどと推定されています。
爬虫類は生涯にわたって成長を続けるため、もし現在も生存しているのであれば、ナイルワニの最大記録を更新するほど巨大化している可能性すらあります。
― 300人超を殺した人食いワニ ―
しかし、ギュスターヴが世界的に有名になった理由は、単に巨大だからではありません。
最大の理由は、人間を襲うその凶暴性です。
ギュスターヴが初めて人間を襲ったのは1987年といわれ、それ以降、人食いはとどまることを知らず、推定300人以上が犠牲になったといわれています。
一度に10人以上を食べた、人を殺すことに快楽を覚え、殺しただけで食べずに去っていった――など、ギュスターヴには信じがたい逸話も数多く残されています。
さらに恐ろしいのが、その異常な生命力です。
現地のハンターや兵士たちが、幾度となくギュスターヴを仕留めようとしたともいわれていますが、体に残された傷跡は、長年にわたって人間から攻撃を受けながら生き延びてきたことを物語っています。
右肩甲骨付近には大きな傷があり、さらに銃弾によるものとされる3つの傷跡も確認されているため、これらが個体識別の特徴として挙げられています。
まるで普通の野生動物というより、何度攻撃されても倒れない「生ける要塞」です。
とはいえ、もともと気性が荒く巨大なナイルワニであるため、大型のナイルワニによる襲撃がすべてギュスターヴの犯行として数えられている可能性も高く、冤罪も少なくないでしょう。
― 本当に300人を殺したのか? ―
ナイルワニは見た目によらず非常に俊敏で、大型個体でも陸上を時速8.7マイル(約14キロ)で移動でき、水中では時速22マイル(約35キロ)に達するとされます。
ギュスターヴにロックオンされようものなら、水浴びをしている人間などひとたまりもありません。
しかし、それを踏まえても「300人」という犠牲者数はあまりにも多すぎます。
本当なのでしょうか?
実は、このインパクトのある「300人」という数字は、正式に確認された犠牲者数ではありません。
この人食いワニに興味を抱いたフランス人、そう、先に名前を挙げたギュスターヴの命名者、パトリス・フェイ氏による試算です。
彼がギュスターヴを追跡調査した3か月間だけで17人が犠牲になったことから、このペースで人食いを続けていたとすれば、これまでの犠牲者は300人を下らないだろう、と推測したことが「300人以上」という数字のもとになっています。
つまり、300人というのは確認された被害者数ではなく、あくまで推定値なのです。
実際に「ギュスターヴによる犯行」とかなり確実に判断されているものは、60人前後とされています。
それでも、とんでもない数であることに変わりはありません。
一説には、ギュスターヴはその異常な巨体ゆえに、通常のナイルワニのように魚などを効率よく捕食することが難しく、人間や大型動物を襲うようになったのではないか、ともいわれています。
また、一か所にとどまるのではなく、タンガニーカ湖周辺からルジジ川流域にかけて神出鬼没に姿を現していたともされ、その行動範囲の広さも被害を拡大させた一因だったのかもしれません。
― 人間の罠をもかわした怪物 ―
もちろん、人間側も指をくわえて見ていたわけではありません。
2004年には、専門家チームがギュスターヴを生け捕りにするため、総重量1トン、長さ約10メートルにも及ぶ巨大な特製スチール製ケージを用意し、捕獲作戦を実施しました。
ところが、ギュスターヴはこの巨大な罠に入ることはありませんでした。
その知性なのか、単なる警戒心なのかは分かりませんが、罠を避けるように周囲を泳ぎ去ったといわれています。
人間が1トンもの巨大な檻まで用意しても捕まらない――
こうした逸話もまた、ギュスターヴを単なる「巨大なワニ」ではなく、まるで怪獣のような存在へと押し上げていったのでしょう。
しかし、そんなギュスターヴも21世紀に入ると、人前に現れることは次第に少なくなりました。
久々に姿を見せては、また長い沈黙に入るということを繰り返し、2015年頃を最後に目撃情報は途絶えています。
そのため死亡説もありますが、正確な誕生年そのものが判明しているわけではなく、現在も生存しているのかどうかは分かっていません。
ギュスターヴは現在の生死にかかわらず、実在する、あるいは少なくとも実在した可能性が極めて高い生物です。
ところが、その目撃証言の中には、体色が赤や黄色だった、頭から草が生えていた、首に宝石をつけていた――など、どう考えても普通のナイルワニとは思えない奇妙なものまで存在します。
すでに現地では、ギュスターヴそのものがUMA化しているというわけです。
300人以上を殺したという伝説。
何度攻撃されても生き延びたという不死身性。
そして、巨大な罠さえかわして人間の前から姿を消した怪物。
ギュスターヴが本当にどこかで生きているのなら、ブルンジの川のどこかで、今も静かにこちらを狙っているのかもしれません。
(参照サイト)





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ギュスターヴさん。単に巨大なだけじゃなく
返信削除首に宝石をつけるまで話が大きくなったのね
ギャンブラーにでもなったんでしょ
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