一部のアリ (ジバクアリ参照) やシロアリは巣を守るため、戦闘時、万事休すと見るや敵を巻き添えに自爆することが知られています。
爆発という衝撃的な方法は取れませんが、アブラムシの仲間にも自殺するものがいます。
エンドウヒゲナガアブラムシ (Acyrthosiphon pisum) です。
このアブラムシはアブラバチの一種、アフィディウス・エルヴィ (Aphidius ervi) の宿主です。
アブラバチに卵を産み付けられると為す術なく、アブラバチの幼虫に体を食われまくった挙句、羽化されてしまいます。
そういうわけで、どうせ食われて羽化されるぐらいならアブラバチの子供を巻き添えに死んだほうがマシと考えます。
羽化させないことにより、次世代の自分たちの仲間のリスクを相対的に下げることが出来るからです。
ではどうするか?
アブラムシの天敵はテントウムシですが、テントウムシは寄生されているアブラムシを優先的に食べてくれるわけでもなく、食べられる確率は寄生されていないアブラムシと平等です。
ただ待っていても仕方ありません。
かといってエンドウヒゲナガアブラムシは自爆アリや自爆シロアリのように自らを爆発させることは出来ません。
実はとても単純な方法です。
アブラムシの自殺の方法は投身自殺です。
たかっている植物から故意に地面に落ち、地面の熱と乾燥によりテントウムシに食べられるよりもはるかに早く死に至るからです。
ただし、寄生されたらすぐに投身自殺するわけではなく、産卵の能力がある場合はその限りではないとのこと。
つまり、自身の子孫を残せる確率と、寄生蜂が羽化する確率を両天秤にかけ、よりよい選択をしているらしいのです。
よって成熟していない若い固体の自殺率は、性成熟した固体よりもはるかに高いといわれています。
ただし、涼しい地域に生息するアブラムシは、地面に落ちても熱と乾燥で死ぬ確率は、テントウムシに早く食われる確率は必ずしも高いとはいえず、自殺率も下がるとのことです。
(参照サイト)
NEW SCIENTIST
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