■罪人に食べさせ死ななければ無罪となった猛毒豆 ~ カラバルマメ
西アフリカ原産の15メートルにもなる豆の木、カラバルマメ (Physostigma venenosum)。
真っ黒なインゲン豆のような種子は猛毒を有します。
カラバルマメは学名をフィソスチグマ・ベネノスムといい、この豆の毒はアルカロイドの一種でフィソスチグミン (フィゾスチグミン) といいます。
多くの毒物が少量であれば薬になるように、このフィソスチグミンも眼圧を下げる効果から緑内障の治療に使われきました。
しかし大量に摂取すれば死に至ります。
このカラバルマメの実はその特性から原産地であるナイジェリアのカラバルでは神明裁判 (Trial by ordeal) に用いられていた過去があります。
神明裁判とはその真偽を神に委ねるもので、その方法は宗派や時代によりさまざまですが、カラバルの人々の取った方法はとてもシンプルかつ恐ろしいものです。
魔女等の疑いで告発された人は身の潔白を証明するためカラバルマメを食べる、ただそれだけ。
潔白の証明とカラバルマメを食べることに何の関係が?
実はカラバルマメには真実を見抜く力が宿っているとかつて信じられていたのです。
この豆を食べて死ぬのは罪人だけ、無実であれば絶対に死なないと考えられていました。
たから告発された者はただカラバルマメを食べればいいのです。
審判はカラバルマメを通して神が下します。
食べて死ななかった者は身の潔白が証明され無罪となり解放されます。
バカげている?確かに。
助かったのはただ体強かっただけじゃないのか?と
しかし後世になってこれはそれなりに理にかなった方法で正当性もあったという解釈もあります。
んなアホな、と思うでしょう。
その理由はこうです。
自分が罪人でなければカラバルマメなど恐るるに足らず、一気に食べてしまうに違いありません、結果として毒が消化する前に全部吐き出してしまい助かります。
一方、自分が罪人である自覚がある者は恐れおののき少しずつ食べるでしょう、その結果として少しずつ毒が消化されるため死に至ります。
という解釈ですが、食い方なんてそんなん人それぞれですって。
冤罪製造マシーンです。
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