■探検家ライメ氏の見た謎の爬虫類 ~ ピグミー・プレシオサウルス
今回はピグミー・プレシオサウルス (Pygmy plesiosaur)。
ラトビアの首都リガ生まれの著名な探検家、アレクサンドルス・ライメ (Aleksandrs Laime) 氏が目撃したUMAです。
15歳で既に航海技術を学び、腕試しにとなんと友人らと小型のヨットを盗みバルト海を横断しスウェーデンを目指したほどの生粋の冒険家。
バルト海横断は失敗しましたが、20代になると本格的に航海にのめりこみ、生まれたリガからアフリカのケープタウンへの航海を成功させる等、海の冒険家でした。
しかしその後商船に乗りカナダを経由して1940年、南米ベネズエラに着くとこの国に定住することを決断します。
それまでは航海一辺倒でしたが、ベネズエラに定住した後は南米のジャングルの探索に明け暮れました。
そして1955年、ベネズエラの山岳地帯アウヤンテプイ (Auyan-Tepui) を探検中に川沿いで目撃したのがピグミー・プレシオサウルスです。
(プレシオサウルスの骨格)
(image credit by Wikicommons)
プレシオサウルスといえばネッシーをはじめとするレイク・モンスターの正体としてかつて最もUMA界を賑わせた海生爬虫類です。
ライメ氏はこの生物を湖ではなく川、しかも上陸している姿を目撃したのです。
それも一度に3匹もです。
「彼らは川の大きな岩の上で日光浴をしていました。
わたしは初めアザラシかと思ったのですが、近づいてよく見てみるとそれはアザラシではなく、とてつもなく長い首を持つ絶滅した爬虫類のような頭部をしていることに気付きました。
彼らは脚の代わりに4つのヒレを持っていました」
情報はたったこれしかありません、山岳部の川で目撃された水陸両用の小さなプレシオサウルス。
あまり、というか全然聞いたことのないジャンルのUMAです。
大きさの言及がないですが、アザラシと思ったということなのでまあ1.5~2メートルぐらいと考えてみましょう。
もうひとつの条件は四肢がヒレ、もしくは四肢に水かきがついてヒレ状であり、陸上でも活動可能な生物ということになります。
既知生物の誤認であればライメ氏が最初に見間違えたと思った鰭脚類、そうでなければカメ、スッポン、オオトカゲ等の爬虫類が候補ではないでしょうか。
ただ鰭脚類が遡上するにはあまりに内陸過ぎますし、三頭がまとまってというのも少し厳しいかもしれません。
(オオヨコクビガメ)
(image credit by Wikicommons)
やはり既知種であれば体型的にも水棲・半水棲の爬虫類の方が都合がよく、南米最大のカメ、最大で甲長1メートルの個体が確認されているオオヨコクビガメ (Podocnemis expansa) が筆頭候補です。
19世紀までは生息数が推定数千万匹、川の航行を妨げるほど潤沢だったものの乱獲により大激減、20世紀になると大きな個体は珍しくなり誤認された可能性があります。
トカゲであればアルゼンチンブラックアンドホワイトテグー (Salvator merianae)、最大1.2メートル超と大きさ的に魅力的です、が、水棲でも半水棲でもありません。
未知種であれば、驚くほど首の長い大型のカメ・スッポン、もしくは半水棲のトカゲが有力でしょう。
敢えて哺乳類をあげるなら未知の首の長めのカワウソかな。
さてピグミー・プレシオサウルスの件はさておき、この時のアウヤンテプイの探検はライメ氏にとって生涯最も素敵なものだったようです。
というのもそれから40年後の1994年3月20日、体調がすぐれず自分に残された時間は少ない、もう一度あの偉大なウヤンテプイに登りそこで死にたい、と語ったそうです。
最期の夢を語ったその翌日、ライメ氏は心臓発作で亡くなりました。
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