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2024年6月30日日曜日

探検家ライメ氏の見た謎の爬虫類 ~ ピグミー・プレシオサウルス


■探検家ライメ氏の見た謎の爬虫類 ~ ピグミー・プレシオサウルス

今回はピグミー・プレシオサウルス (Pygmy plesiosaur)。

ラトビアの首都リガ生まれの著名な探検家、アレクサンドルス・ライメ (Aleksandrs Laime) 氏が目撃したUMAです。

15歳で既に航海技術を学び、腕試しにとなんと友人らと小型のヨットを盗みバルト海を横断しスウェーデンを目指したほどの生粋の冒険家。

バルト海横断は失敗しましたが、20代になると本格的に航海にのめりこみ、生まれたリガからアフリカのケープタウンへの航海を成功させる等、海の冒険家でした。

しかしその後商船に乗りカナダを経由して1940年、南米ベネズエラに着くとこの国に定住することを決断します。

それまでは航海一辺倒でしたが、ベネズエラに定住した後は南米のジャングルの探索に明け暮れました。

そして1955年、ベネズエラの山岳地帯アウヤンテプイ (Auyan-Tepui) を探検中に川沿いで目撃したのがピグミー・プレシオサウルスです。

(プレシオサウルスの骨格)
(image credit by Wikicommons)

プレシオサウルスといえばネッシーをはじめとするレイク・モンスターの正体としてかつて最もUMA界を賑わせた海生爬虫類です。

ライメ氏はこの生物を湖ではなく川、しかも上陸している姿を目撃したのです。

それも一度に3匹もです。

「彼らは川の大きな岩の上で日光浴をしていました。

わたしは初めアザラシかと思ったのですが、近づいてよく見てみるとそれはアザラシではなく、とてつもなく長い首を持つ絶滅した爬虫類のような頭部をしていることに気付きました。

彼らは脚の代わりに4つのヒレを持っていました」

情報はたったこれしかありません、山岳部の川で目撃された水陸両用の小さなプレシオサウルス。

あまり、というか全然聞いたことのないジャンルのUMAです。

大きさの言及がないですが、アザラシと思ったということなのでまあ1.5~2メートルぐらいと考えてみましょう。

もうひとつの条件は四肢がヒレ、もしくは四肢に水かきがついてヒレ状であり、陸上でも活動可能な生物ということになります。

既知生物の誤認であればライメ氏が最初に見間違えたと思った鰭脚類、そうでなければカメ、スッポン、オオトカゲ等の爬虫類が候補ではないでしょうか。

ただ鰭脚類が遡上するにはあまりに内陸過ぎますし、三頭がまとまってというのも少し厳しいかもしれません。
(オオヨコクビガメ)
(image credit by Wikicommons)

やはり既知種であれば体型的にも水棲・半水棲の爬虫類の方が都合がよく、南米最大のカメ、最大で甲長1メートルの個体が確認されているオオヨコクビガメ (Podocnemis expansa) が筆頭候補です。

19世紀までは生息数が推定数千万匹、川の航行を妨げるほど潤沢だったものの乱獲により大激減、20世紀になると大きな個体は珍しくなり誤認された可能性があります。

トカゲであればアルゼンチンブラックアンドホワイトテグー (Salvator merianae)、最大1.2メートル超と大きさ的に魅力的です、が、水棲でも半水棲でもありません。

未知種であれば、驚くほど首の長い大型のカメ・スッポン、もしくは半水棲のトカゲが有力でしょう。

敢えて哺乳類をあげるなら未知の首の長めのカワウソかな。

さてピグミー・プレシオサウルスの件はさておき、この時のアウヤンテプイの探検はライメ氏にとって生涯最も素敵なものだったようです。

というのもそれから40年後の1994年3月20日、体調がすぐれず自分に残された時間は少ない、もう一度あの偉大なウヤンテプイに登りそこで死にたい、と語ったそうです。

最期の夢を語ったその翌日、ライメ氏は心臓発作で亡くなりました。

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2024年6月29日土曜日

生物学者ビービ氏が目撃した未確認イヌ科動物 ~ イウォロ


■パイナップルを好むガイアナの未確認イヌ科動物 ~ イウォロ

アビサル・レインボー・ガーの記事で一度だけ触れたアメリカ、ニューヨーク生まれのナチュラリストにして探検家、鳥類学者、海洋生物学者、昆虫学者、と多くの肩書を持つ生物学者のウィリアム・ビービ (William Beebe) 氏。

彼はあらゆる生物に精通していましたが、彼が目撃し記録している生物の中には現在でも確認できていない動物、つまり現時点でUMAであるものがいくつも含まれています。

先に挙げたアビサル・レインボー・ガーもそのひとつですが、今回はその中からガイアナ共和国で目撃したイウォロ (Iworo)、イヌ科のUMAを紹介します。

イヌ科のUMAはそのほとんどがオオカミタイプなのに対し、イウォロの正体はオオカミとは考えられておらずその点ではなかなか珍しいUMAといえます。

イウォロはカニクイイヌ (カニクイギツネ, Cerdocyon thous) やヤブイヌ (Speothos venaticus) に似ているものの一回り大きく、なによりもユニークな特性は彼らが「無類のパイナップル好き」という点です。

(カニクイイヌ)
(image credit by Wikicommons)

カニクイイヌは「蟹食い」の名を持つほどカニの依存度が高いわけではなく、昆虫、小型のカメ、トカゲ等の爬虫類、屍肉 (腐肉)、果物等々、なんでも食べます。

この名は氾濫原が形成されるとそこで容易に捕まえられるカニを食べまくっていたことに由来するといいます。

一方ヤブイヌは完全な肉食で群れで狩りをし、時には自分たちよりはるかに大きいイノシシに酷似したペッカリー (Tayassuidae) を狩ることもあります。

ヤブイヌは論外ですが、カニクイイヌを誤認した可能性はゼロではないでしょう。

しかしビービ氏はカニクイイヌももちろん知っておりイウォロとは異なる生物と断言しています。

イウォロはオオカミのような遠吠えにも似た鳴き声をもつといい、主食のパイナップルが見つからないと嘆いて鳴くといいます。

ビービ氏は友人のクリストファー・デイビス (Christopher Davis) 氏とイウォロを目撃したといい、イウォロはパイナップルを見つけることができずその独特の声で鳴いていたといいます。

(タイラ)
(image credit by Wikicommons)

そしてもうひとつ、可能性は低いですが個人的にイタチ科のタイラ (Eira barbara) も候補に挙げておきたいと思います。

雑食ですがなんといってもパイナップルを好み、イタチ科としては大柄でやや体高のあることから奇妙なイヌ科生物に映った可能性はあります。

(参照サイト)

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2024年6月28日金曜日

サルを主食とする木 ~ モンキー・トラップ・ツリー


■サルが主食? ~ モンキー・トラップ・ツリー

南米ブラジルのジャングルには、サルを捕えて栄養を摂る伝説の木、モンキー・トラップ・ツリー (Monkey Trap Tree) という食虫植物があるといいます。

植物学者ランドール・シュワルツ (Randall Schwartz) 博士の1974年の著書、「食虫植物 (Carnivorous Plants)」に掲載されているといいます。

この木はブラジル人探検家マリアーノ・ダ・シウバ (Mariano da Silva) 氏により発見されたもので、クモザル、マーモセット、タマリン等の小型哺乳類を引き寄せるフェロモンを出し誘引します。

フェロモンが出ているのは木の上部であり、その匂いに誘われ木を登るとたちまち大きな葉に包み込まれ身動きが取れなくなるといいます。

その動物たちを包んでいる葉は完全に消化しきるまで開くことはなく、次に開くときは動物たちは白骨化しており地面へばらばらと落ちてしまいます。

さて食虫植物が昆虫を捕らえられるのか?捕まえたところで消化できるのか?という質問についてはイエスです。

(ネペンテス・ラジャ)
(image credit by Wikicommons / left / right )

ウツボカズラの最大種、ネペンテス・ラジャ (オオウツボカズラ, Nepenthes rajah) やネペンテス・アッテンボロギ (Nepenthes attenboroughii) の捕虫器は容量が2リットルを超えるバケツみたいな大きさに成長することがあり、小型の哺乳類や爬虫類が誤って落ちて溺れ死に、実際に消化されているのも確認されています。

しかしモンキー・トラップ・ツリーは目撃者によればもっと能動的でハエトリソウ (Dionaea muscipula) タイプです。

ハエトリソウはハエももちろん捕えますが、全体の食事の約10%、ほとんどはアリとクモで構成されます。

この植物らしからぬ葉を閉じて獲物をつかまえる、という「能動的」な動作には恐ろしいほどのエネルギーが投入されるため、間違って閉じるということはできる限り避けなければいけません。

そのため短時間で2回の刺激を感じて初めて生物と感知し葉を閉じます。

しかしそれでもたまたま短時間で異物が2度も飛んできて2度刺激を与えることもあるでしょう、葉は生物と感知して閉じてはしまいますが、今度は閉じた後に5回の刺激がなければ消化酵素を出さないようになっています。

ただの無機物を挟み込んで消化液まで出す、とになるととんでもないエネルギーを消費した上に収穫ゼロというヘタすると命に係わるため、かなり考えられた進化を遂げています。

とこのように植物にしてみると能動的に動くのはハエを捕まえることですらこれほど大変ですから、サルを捕まえるにはとんでもないパワーが必要とされます。

事実上、厳しいと言わざるを得ません。

ただ、もしかするとモンキー・トラップ・ツリーはここから誕生したのではないか?という植物は存在します。

その植物はサガリバナ科のブラジルナッツ (Bertholletia excelsa)。

(ブラジルナッツの実)
(image credit by Wikicimmons)

高さ50メートルに育ち、その樹上には最大2キロにもなる固い殻に覆われた実をつくります。

50メートルの高さから固い2キロの物体が落ちてきてまともに当たって無事でいられるはずがありません。

人間ですらヤバいですから、小型の哺乳類ならそのまま意識不明の重体か死んでしまうでしょう。

まあそんなしょっちゅう当たることはないと思いますが。

白骨化した哺乳類が根元に落ちている、その木はいつもブラジルナッツ。

これはもしかしてこの木がサルを消化し骨を捨てているのでは?そう思ってモンキー・トラップ・ツリーが出来上がったかもしれません。

ちなみに似たような木にホウガンノキ (Couroupita guianensis) がありますが、こちらの実の重さは最大5キロになるとか。

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2024年6月27日木曜日

出遭ったものは死あるのみ ~ ミニワシトゥ


■出遭えば死あるのみ ~ ミニワシトゥ

ミズーリ川の水棲獣 (Water monster of the Missouri River) はその名の通り、ミズーリ川で目撃されるUMA、先住民族からはミニワシトゥ (Miniwashitu) と呼ばれます。

ミズーリ川 (Missouri River) はアメリカ最長の川であるため、7つの州を跨いで流れますが、その中でもノースダコタ州で目撃されます。

この川の流域にはかつて数千万頭ものバッファロー (アメリカバイソン, Bison bison) が棲息していましたがヨーロッパからの移民たちの乱獲により19世紀初頭には既に数百頭まで激減しました。

リョコウバトのようにどんなに夥しい生息数であっても絶滅するまで狩り続けるのがヨーロッパ移民たちの流儀ですが、アメリカバイソンはなんとか絶滅を免れ、現在は保護により50万頭前後まで数を戻しました。

(アメリカバイソン)
(image credit by Wikicommons)

といっても、入植者が来る前の1/100程度ですが。

さてミニワシトゥの話に戻りましょう。

この生物はまさにいま話したバッファローに似ているUMAで、先住民族の中でも特にダコタ族の伝承に根ざす生物のようです。

但し、その毛皮は真っ赤で背中はゴツゴツとしており、目は額の中央に一つだけ、その目の上にユニコーンさながら1本の角を持ちます。

ミニワシトゥは目撃されるのは春、常に上流を目指し流れに逆らいながら歩いているといいます。

滅多に人の目に触れることはないといわれ、実際それは人間にとっては良いことのようです。

ミニワシトゥは人間を襲うといった直接的な害を及ぼしませんが、それを見たものは盲目となり発狂し、そして長くは生きられないといわれているからです。

避ける方法はあるのか?

春のミズーリ川に近付かないことと、また、ミニワシトゥが現れるときは必ず咆哮が聞こえるといわれており、謎の咆哮を聞いたら川へ近づかないことで遭遇を避けられるようです。

とはいったものの、ノースダコタ州はアメリカ50州のうち19番目の面積を誇り、北米において特筆するほどの大きさではありませんが、それでも日本の国土の1/2もあります。

それでいて人口は80万人弱、これだけ人口密度が低いと故意に会おうとしてもなかなか難しそうです。

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