1400種類以上のコウモリがいる中で、いわゆる吸血コウモリといわれるのはわずかに3種 (ナミチスイコウモリ、ケアシチスイコウモリ、シロチスイコウモリ) しかいません。
吸血コウモリの占める割合は全体の僅か0.2パーセント程の「超」少数派です。
にもかかわらず、「コウモリ = 吸血」というイメージを持つ人は少なくありません。
フィクションのドラキュラとのコラボの影響でしょう。
同じようなことはヘビにもいえます。
2900種ほど知られているヘビの中で毒を持っているものは600種ほど、さらにその中から人間を襲うものは約1/3の200種ぐらいといわれます。
ヘビ全体で考えると6.9パーセントほどが人間にとって危険ということになります。
ですが、見た目で嫌悪する人も多いせいか、「ヘビ = 毒蛇 = 危険」といったヘビ全体を危険視する向きがあります。
この比率を高いと見るか低いと見るかは個人によってばらばらでしょうが、ヘビだったらなんでもかんでも人間を襲うというわけでないことは分かるでしょう。
一方、危険極まりないヘビも多数存在するのもまた事実です。
有名どころでは、キングコブラやブラックマンバ、タイパンなどが危険な毒蛇とされますが、かれらを差し置いてカーペットバイパー (Carpet viper/ Echis carinatus) が最も人を殺しているヘビといわれます。
どれぐらい凄まじいかというと、カーペット・バイパーによる死者数は他のすべての毒ヘビによる死者数を合計した数よりも多いといわれています。
カーペットバイパーとその近縁種は現在12種知られており、インドやパキスタン、中東、それにアフリカ等、広く分布しています。
和名はノコギリヘビといいます。
カーペットバイパーは上記に挙げたヘビほど毒性は強くなく (といってもかなりの猛毒)、体も大きい種ですら1メートルは超すことはありません。
それなのにどうしてこのヘビによる死者数がそれほど多いのか?
まず、かれらの生息域が人間と、もろ被りしていることが挙げられます。
人口の多い地域に生息するため、咬傷事故の絶対数が多いためです。
毒蛇界最強と謳われるナイリクタイパンですが、確かに一咬みで成人100人分の致死量の毒を注入できる能力を持つといえ、砂漠のど真ん中に生息しており、人間が出会うこと自体がレアなため咬傷事故はまず起こりません。
一方、カーペットバイパーは小型かつ夜行性ゆえ、あまり目立たず発見が遅れることが咬まれてしまう原因となっています。
このヘビの体が小さいことが逆に人間にとっては仇となるのです。
そして致命的なのが、気性がすこぶる荒く、だれかれかまわず咬みついてくることです。
さらに悪いことに、この咬みつきは1度ならず、何度も何度も繰り返し攻撃してくるといいます。
とまあ、こういったことがもっとも危険なヘビにカーペットバイパーが選ばれるゆえんです。
日本にいたら気にも留めないヘビですが、南アジア方面に行く方はお気を付けを。
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