2020年3月31日火曜日

新種の単孔類?こんな怪物が実在する? ~ ビルダッド


■正体は新種の単孔類? ~ ビルダッド (Billdad)

ビーバーのような平たいオール状の尾、カンガルーを思わせる後肢、、水かきのついた指、猛禽類を彷彿とさせるクチバシ。

既知動物のハイブリッド的容姿が特徴です。

これはアメリカ、メイン州に伝わる民間伝承の生物、ビルダッド (Billdad) です。

ご丁寧に「サルティピスキャトル・ファルコロストラトゥス (Saltipiscator falcorostratus)」なる学名も持ちます。

ビルダッドは山間部の河川に生息する生物で、大きさはビーバー程度 (1.2メートル)、体の各所は上記の通り複数の生物の特徴を備えていますが、そこまで荒唐無稽な姿をしているわけでもありません。

もう少し現実的に考えれば、くちばしを持ち後肢の発達したビーバーに似た生物と言い換えられます。

もちろん民間伝承の生物と考えられていることから伝えられるその生態や特徴は非現実的です。

一跳び60ヤード (約55メートル)、水面近くに上がってきた魚を見つけるや上空から飛びかかり尾を打ち付けて気絶させる、ビルダッドは有毒と考えられており肉を食べた人物は気分が悪くなり目は虚ろ、家から飛び出すとビルダッドさながらに跳ね回る、といった感じです。

しかしこういった生態を無視すればその姿はビーバーに似ており、おそらくビーバーを基に考えられたUMAであるか、もしくはビーバーを誤認したもの、といった考えが合理的に思われます。

ここでビーバーより似ている生物がいるのでは?と思った人も多いかもしれません。

そう、オーストラリアにしか生息していないカモノハシ (Ornithorhynchus anatinus) です。

(カモノハシ)

カモノハシの体はビーバーに似ており尾もオール状です。

猛禽類のクチバシとは言いませんが、カモのようなクチバシを持っています。

そして哺乳類でありながら強力な毒を持つのも特徴です。

後肢は特に発達していませんが、ビルダッドの特徴はビーバーよりもカモノハシのほうがより近いといえます。

そもそもカモノハシ自体、発見当初はビルダッドのようにハイブリッド生物として扱われた過去があります。

はじめてイギリスに送られたカモノハシの剥製は「ミズモグラ」と呼ばれ、どうせいろいろな生物を縫い合わせて作ったフェイクであろうと学者たちにまともに扱われることすらありませんでした。

しかしいくら入念に調べてもつぎはぎ等、細工の痕跡は見つけられず、どうもこの生物は実際に存在するらしいと、この生物が実在することを認めざるを得ない状況になっていきます。

そしてオーストラリアに動物学者が渡り実在することを突き止めます。

しかし実在する生物とわかっても混乱は収まりませんでした。

むしろ実在することにより混乱は深まったと言ってもいいかもしれません。

フランスの博物学者ジョルジュ・キュヴィエはかつて分類のよく分からないナマケモノ、センザンコウ、ツチブタ、ハリモグラといった生物を「貧歯類」に入れていましたが、めでたくカモノハシもここに分類したほどです。

当初の学名はジョージ・ショウによるプラティプス・アナティヌス (Platypus anatinus「カモに似た扁平足」)、しかしこれに異を唱えたヨハン・フリードリヒ・ブルメンバハによりオルニトリンクス・パラドクサス (Ornithorhynchus paradoxus「パラドックスの鳥の嘴」) を提唱。

真っ向から対立したものの、結局後者の属名と前者の種小名を合わせたオルニトリンクス・アナティヌス (Ornithorhynchus anatinus「カモに似た鳥の嘴」) に落ち着きます。

随分と話が逸れてしまいました。

さて、要はハイブリッド的姿の生物 (UMA) は安易に「既知動物を継ぎはぎして創造された生物」ばかりではなく、実際にそういった姿で実在する場合もある (あった)、ということを言いたかっただけです。

ビルダッドはあくまで民間伝承の生物ですが、北米大陸初の未知種の単孔類 (カモノハシ・ハリモグラ) が基になっているかも!?という夢のあるUMAでもあるんですね。

(参照サイト)
Strange New England

(参考文献)
世界動物発見史 (ヘルベルト・ヴェント著)

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2020年3月30日月曜日

頭が固い32センチの巨大ガエル ~ ヘルメットガエル


■頭が固い32センチの巨大ガエル ~ ヘルメットガエル

世界最大のカエルは?

動物に詳しいみなさんであれば即座にゴライアスガエル (Conraua goliath) の名が挙がることでしょう。

では2番目は?3番目は?

富士山が日本でもっとも高い山であることは日本人であれば誰でも知っていることですが、これが2番目に高い山 (北岳) となると途端に知名度が下がります。

これと似たようなものです。

実は南米にもゴライアスガエルに引けを取らないほど巨大なカエルが生息しています、ヘルメットガエル (Calyptocephalella gayi) です。

ヘルメットガエルはチリ中央の一部の地域にのみ生息する固有種で、英語ではヘルメッティド・ウォーター・トード (helmeted water toad 「ヘルメット (を被った) ミズヒキガエル」の意) と呼ばれます。

頭骨が非常に頑丈でまるでヘルメットを被っているようだからこの名があるといいます。

さてゴライアスガエルの最大クラスとなると体長は32~34センチ、後肢を伸ばすと80センチ、3.3キロととてつもなく巨大なカエルです。

もちろんすべての個体がここまで大きくなるわけではありませんが、成体の体長・体重の平均では世界最大です。

実は一発勝負ならゴライアスガエルと互角のサイズを誇るヘルメットガエルも存在していました。

その個体はゴライアスガエルと同等の体長32センチ、体重も3キロ超えの超巨大なヘルメットガエルでした。

ヘルメットガエルは雌雄の差が大きく (性的二型)、メスがとても大きくなるため上記の個体ももちろんメスの記録です。

しかし通常は大きな個体でも1キロ程度までしか成長しません。

成長は遅く性成熟するまでに2年以上かかるため繁殖力は高くありません。

その代わりと言ってはなんですが非常に長命で24歳での産卵記録もあります。

オタマジャクシも巨大で15センチ、30グラムにまで成長します。

ヘルメットガエルは非常に獰猛なことで知られ、通常は昆虫などの節足動物を主食としますが、小型のものであれば魚類、両生類はおろか、爬虫類や鳥類、哺乳類と脊椎動物全般を捕食します。

といっても無敵ではありません。

世界各地で両生類を蝕 (むしば) むカエルツボカビ症、生息地への生活排水の流入、さらにゲームフィッシング用にアメリカから導入されたトラウト類たちに生息地を追われ、急激に数を減らしています。

しかしトドメはやはり人間。

チリではヘルメットガエルの肉が人気なのですが野生の個体は捕獲が禁止されているため養殖が行われています。

が、なにせ上記の通り成長速度が遅く出荷に2~3年もかかることからコスト面から養殖業は割に合わないのでしょう、結局は密猟が公然と行われており絶滅街道まっしぐらという悲しい現実です。

(参照サイト)
SCIENTIFC AMERICAN




爆弾探しはサイボーグ化された昆虫 ~ サイボーグ・イナゴ


■爆弾探しはサイボーグ可された昆虫 ~ サイボーグ・イナゴ

つい先日、カエルの細胞から創られた生体ロボット「ゼノボット」が話題となりました。

(ゼノボットの記事はこちら)

100%生体から創られているにも関わらず、通常のロボットのように人間によるプログラミングによる制御が可能です。

現在の大きさは1ミリ未満と顕微鏡サイズですが、今後大きく発展する可能性を秘めています。

(image credit by Baran Lab via The Washington Post/OneZero)

これと似たようなものに、2016年からスタートしたイナゴのサイボーグ化プロジェクトがあります。

アメリカ、ワシントン大学が研究するバイオロボティクスのひとつで、イナゴの優れた臭覚を爆発物探知に利用する研究です。

ゼノボットと異なり生体から創るのではなく、生体そのものにロボット (機械) を組み込む、いわゆる一般的に想像される「サイボーグ」のイメージに近いものです。

プロジェクトスタートから4年、スタート時はその奇抜な発想から世界的注目を集めるも、以降目立った動きはなく頓挫 (とんざ) したのでは?

しかしプロジェクトは着々と進行していました。

そもそも、なぜこのプロジェクトに選ばれたのがイナゴなのか?

まずはこの「イナゴ」ですがどの種のイナゴかは分かりません、単にアメリカン・ローカスト (American locust 「アメリカのイナゴ」の意) と書かれています。

ただし日本人がイナゴと聞いてイメージする小さなバッタとは異なり、ワタリバッタ (アフリカ等で大量発生するあのでかいバッタ) のような巨大種です。

この大きな体躯こそイナゴが選ばれた理由の一つで、それは彼らが非常に「頑健」であり「重い荷物を運ぶことができる」能力を備えているからです。

そしてもうひとつ、これこそもっとも大事なポイント、かれらは50000もの臭覚ニューロンを備えており、現時点で人間が人工的に作ることができる、いかなる臭覚センサーよりも感度が高いからです。

イナゴの脳に比較的簡単なインプラント手術を施すことによって爆弾を嗅ぎ分ける能力を身に着けさせることに成功、このサイボーグ・イナゴが実用段階まであと一歩というところまで来ているといいます。

一般的にテロリストたちが爆弾を作成する際に使用する硝酸アンモニウムや軍用爆発物TNT (トリニトロトルエン) およびRDX (シクロトリメチレントリニトロアミン) 等によって放出されるガスをサイボーグ・イナゴは嗅ぎ分けることができます

人間側はイナゴが感知したデータを遠隔で受け取ることができるわけで、理屈としてはイナゴを爆弾探知犬のように利用できます。

しかしサイボーグ・イナゴの寿命はインプラント後7時間程度、また行動制御の難しさ等、このままでの実用化は難しそうです。

この「短命」を克服するにはイナゴへの負担を軽減する新しいインプラント手法を構築するか、インプラント後に食物を摂取できるようにするか等が検討されているといいます。

「行動制御」については車輪付きの台座に乗せて移動させることで解決できるものと考えています。

しかしこれは現実的ではないようです。

研究者はこのサイボーグ・イナゴという生体そのものにロボットを組み込む手法よりも、ロボットにイナゴの臭覚センサー等一部の生体を組み込むほうが現実的だと考えているからです。

(参照サイト)
Daily Mail
OneZero

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