「ライオンゴロシ」という名の生物はご存知でしょうか?
決してUMA (未確認動物) のような存在ではなく、実在する生物です。
史上最強レベルのライオンを殺すのだから、その凶暴さたるや凄まじいであろうことは想像に難くないでしょう。
しかし実はこのライオンゴロシ、動物ではなく植物に付けられた名前です。
とはいえ、ハエトリソウのようにあんな巨大なライオンを能動的に捕らえられるわけもありません。
それが出来ないのであれば、毒殺、もしくはトラップを仕掛けるぐらいしかありません。
しかしそれとて、ライオンゴロシにはライオンを殺せるような毒ももっていなければ、ウツボカズラのようなトラップも持っていません。
ではどうやってライオンを殺すというのか?
一般的に、ライオンゴロシは次のような植物であるといわれています。
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ライオンゴロシは発芽すると、地表近くに逆さに曲がった固い棘 (とげ) のある果実を実らせます。
無警戒にこの植物の近くを通るものなら、この固い棘が足に突き刺さってしまいます。
これはライオンとて例外ではありません。
刺さった棘は歩けば歩くほど深く突き刺さっていきます。
痛みに耐えかねたライオンはこの棘を抜こうと口で引っ張りますが、このとき、棘が口に刺さってしまい、ライオンの口内を化膿させることになります。
口の痛みに耐えかねのたうち回ろうものなら、その付近にある他のライオンゴロシの棘付き果実を体中に刺すことになります。
全身の痛み、そして口の痛みにより食物を取ることもままならなくなり、ついに飢えと喉の渇きでライオンは力尽きます。
その場でライオンは腐り始め、その栄養分は大地に染み渡るのと時同じくしてライオンの口や足、そして体中に刺さっていたライオンゴロシの実は地面にこぼれ落ちます。
種の落ちた大地は死んだライオンの栄養により、非常に栄養価に富んでおり、ライオンゴロシの芽が出てくるのです。
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と、こんな話です。
学名はハルパゴフィトゥム・プロクムベンス (Harpagophytum procumbens) といいますが、「逆さに湾曲した巨大な棘を持つ植物」といったような意味だそうです。
ライオンゴロシは、実際にライオンが生息するカラハリ砂漠がまたがる南アフリカ共和国、ナミビア、ボツワナに自生する植物です。
では上記のように実際にライオンを殺すのでしょうか?
個人的には非常に怪しいと思っています。
というのも、この「ライオンを殺す」という「伝説」ですが、表現方法に若干の差異はあるものの、どの本でも書いている内容はほとんど同じです。
これは、元になってた文献が極端に少ないときに見られる傾向です。
おそらく元ネタはひとつではないかと思われます。
和名が「ライオンゴロシ」ということもあり、日本では必ずライオンをも死に追いやる逸話が一緒に紹介されますが、海外ではそのような紹介はあまり、というかまったく見たことがありません。
これほど興味を引く特徴 (ライオンを餓死させて栄養分を得る) が海外でまったく紹介されていないとは不自然な気がします。
絶対ないとは言い切れませんが、あったとしても偶発的な事故、非常にレアなケースではないかと思っています。
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