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魔女の館の庭にはきっとこんな怪植物が生えている、そんな雰囲気を持つその名もウェルウィッチア。
名前に「ウィッチ」が入っていることから、魔女のウィッチ (witch) となんらかの関係がありそうな植物ですが、まったく関係なく、スペル (Welwitschia) も異なります。
ウェルウィッチアの属名は、この植物の発見者であり、探検家、そして植物学者でもあるフリードリッヒ・ウェルウィッチ (Friedrich Welwitsch) に由来します。
和名をサバクオモトといい、一般的にはキソウテンガイ (奇想天外) という名で呼ばれます。
ウェルウィッチアはアフリカのナミビア共和国にあるナミブ砂漠に自生します。
1億年ほど前に出現したと考えられており、当時から現在に至るまでその姿をほとんど変えず生き延びてきた植物界の「生きた化石」です。
ウェルウィッチアは非常に寿命が長いことでも知られており、もっとも長寿なものは2000年以上生きていると考えられています。
ウェルウィッチアの奇妙な姿を特徴付けているのは、幾重にも重なり不規則に曲がりくねった葉っぱです。
キャベツのように何枚も何枚も重なっているように見えますが、実はウェルウィッチアはその長い生涯を通して、わずか1対2枚の葉しか持ちません。
しかし、どう見ても2枚には見えません。
実はこれ、成長につれ葉の両端が縦方向に裂け、裂けた葉はそのまま付け根にとどまります。
これを繰り返すことにより、たくさんの葉をつけているように見えます。
とどまった古い葉は劣化し不規則に曲がりくねっているため、結果としてウェルウィッチアの特徴的な風貌を形成します。
ちなみ2枚の葉は、最大で4メートルぐらいになるといわれています。
不思議なことに、ナミブ砂漠に自生するウェルウィッチアには若い個体は存在していないといいます。
ウェルウィッチアは砂漠に自生するものの、サボテンのように貯水能力に長けているわけでもなければ、フッカツソウのように耐乾性に優れているわけでもありません。
わずかの湿度を夜間に葉から吸収しますが、それだけでは不十分であり、最大10メートルほどに成長する長い根を地下水層にまで伸ばし地下水を汲み上げます。
現在みられるウェルウィッチアは、かつてこの地帯が現在のような乾燥地帯になる前に生まれたものであり、それ以降に生まれたウェルウィッチアは地下水層に届くほどの根を成長させる前に枯れてしまうため、若い個体が存在しないのではないか、といわれています。
現時点では深刻なほど数は少なくないといいますが、若株が育っていないことに加え、ウェルウィッチアの飼育が非常に難しいこともあり、今後絶滅を危惧される植物のひとつに数えられています。
(参考文献)
「毒・食虫・不思議な植物」 (奥井真司 著)
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