2022年7月30日土曜日

踏んだら爆発 ~ 地雷ヘビ (ショート・グレー・スネーク)


■踏んだら爆発 ~ 地雷ヘビ (エクスプローディング・スネーク)

以前に、旧サイトにてこのUMAの記事を書いて初めて知った国、カルムイク共和国

カスピ海北東に位置し、渦中のウクライナとも地理的に近い国です。

おそらく、日本人にはあまりなじみのないこのカルムイク共和国に、とても興味深いUMAが棲息しているという噂があります、エクスプローディング・スネーク (Exploding snake) です。

といっても、当時参照していた海外サイトも既に閉鎖しており、エクスプローディング・スネークという名で検索してもその名のUMAは存在していません。

同一系のUMAで現在確認できるものはショート・グレー・スネーク (Short grey snake) のみであり、UMAらしからぬ普通の名前です。

その特徴から、ショート・グレー・スネークではつまらないと、エクスプローディング・スネークと誰かが命名しただけかもしれません。

さて、その特徴とは「爆発する (Explode)」ことです。

未確認動物学者、カール・シューカー氏によれば、ショート・グレー・スネークの体長は50センチ、直径が15~20センチと恐ろしく寸胴なシルエットをしているということです。

また、特に頭部の詳細な情報も伝えられいことから、目や口といった器官も顕著ではないものとみなされています。

目撃したカルムイクの人々証言によれば、この生物には骨がないといいます。

というのも、上記の通り、このヘビは体の中央に強い刺激を与えると「爆発する」のですが、爆発した後に残るのは直径1メートル以上に渡って飛び散った粘液のみだからです。

「爆発する」という特性は似ていないものの、巨大なワームということで、ゴビ砂漠のUMA、モンゴリアン・デス・ワームと比較され、その正体として候補に挙がる生物もやはり似ています。

ワーム (ミミズやイモムシ等) のような陸上の無脊椎動物にしては、あまりに大きすぎる (太すぎる) ことから、無難なところでは未確認のミミズトカゲ類が候補です。

ミミズトカゲはその名の通り、ミミズそっくりのトカゲです。

多くのものは四肢や目も退化し、大きさもミミズそのものですが、れっきとした爬虫類であり、もちろん骨もあります。

ほとんどはミミズと違わぬ大きさですが、なかにはシロハラミミズトカゲ (Amphisbaena alba) のように80センチにも成長する種が存在しますし、巨大ワーム系UMAの正体としてはもっとも理にかなった生物です。

(世界最大のミミズトカゲ、シロハラミミズトカゲ)
(image credit by Wikicommons/Public Domain)

骨の有無については、爆発とともにもろい骨が吹き飛んでしまったために骨がないと思われた、と都合よく解釈することにしましょう。

また、このUMA最大の特徴である爆発、つまりは自殺的行為はミツバチや一部のアリ、シロアリ (自爆テロアリヘイシロアリ等参照) に見られる真社会性の生物たちの特徴であり、もしかすると爬虫類初の真社会性をもつ生物かもしれません。

実際、目撃情報から、ショート・グレイ・スネークは多数で群れていることが多いといわれています。

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2022年7月27日水曜日

ボンダイビーチに打ち上げられた謎のミュータント・ペンギン


(image credit by Drew Lambert)

■ボンダイビーチのミュータント・ペンギン

今回はオーストラリア、ニューサウスウェールズ州のボンダイビーチ (Bondi Beach) で発見された謎の生物の死骸です。

ダークグレーと白に綺麗に染め分けされた体色、クチバシのように飛び出た口吻 (こうふん) 、そこだけ見ればペンギンのような雰囲気を漂わせます。

ん?ミュータント (突然変異) のペンギン?

そもそもボンダイビーチにペンギンが来るの?

実はボンダイビーチには少ないながらコガタペンギン (Eudyptula minor) が訪れます。

コガタペンギンは英名でもリトル・ペンギン (Little Penguin) と呼ばれ、その世界最小の小さくかわいらしい姿から妖精ペンギン (Fairy Penguin) と呼ばれることもあります。

そっかー、コガタペンギンのミュータントかぁ、、、かわいそう、、、

(image credit by Drew Lambert)

いやいやいあ、さすがにこんな湯たんぽみたいな形状で左右に広がった頭部は、ペンギンのそれとは似ても似つきませんし、鼻孔のような溝がありますし目も確認できません、ペンギンなわけないです。

さらに体全体を前後左右、どこからみてもヒレも四肢らしきものも確認できません。

どうやって水中を移動していたのでしょう?本当に海生生物?

単にヒレや四肢はちぎれてしまっただけなのでしょうか?

まずはその前に、もうお気づきの人も多いと思いますが、頭部が正面を向いているように見えるものの、冷静に見ればこの口は体の腹側に位置し、状態が逆エビ状に反りあがって正面を向いているだけなのでは?

腹側にある口の位置からこの生物はサメかエイ、軟骨魚類の仲間に違いありません。

サメかエイか?と言われたら、小さい割には厚みがあり、サメっぽく見えますが、ぐるっとこの怪物を一周しても、やはり背ビレも尾ビレも見当たりません。

湯たんぽみたいに分厚いのは気になりますが、エイのようです。

と、実は正体は判明しており、この生物は死ぬと姿が変わってしまうことでも有名な、ゴウシュウシビレエイ (Hypnos monopterygius) です。

(ゴウシュウシビレエイ)
(image credit by Wikicommons)

「シビレ」という名前の通り、シビレエイ (電気エイ) の仲間で、ゴウシュウシビレエイはその中でもトップクラスの最大200ボルトの電圧を獲物に浴びせることができます。
体長は40センチほど、生きているころからかなり特異な姿をしており、尾が異常なほど短くヌメヌメとしたその姿は、まるでエイどころかウシノシタ (シタビラメ) の仲間みたいです。

ゴウシュウシビレエイの英名はコフィン・レイ (Coffin ray)、「棺桶のエイ」です。

これは死して砂浜に打ち上げられると、体が膨張して「棺桶」のような姿になることに由来します。

今回の死体もエイとは思えないほど、体の大きさに対して厚みがあることからも納得でしょう。

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2022年7月26日火曜日

南米の砂漠を獣脚類がうろついている? ~ アリカ・モンスター


■南米の砂漠を獣脚類がうろついている? ~ アリカ・モンスター

UMAの正体が恐竜や、恐竜と同時代に生きた海生爬虫類であったり翼竜であったりしたのは一昔前であり、開発が進み未開の地がなくなるにつれ、UMAの正体としてそういった恐竜生存説は沈静化してきてしまいました。

そんな中でアリカ・モンスター (Arica monster) は古き良きクラシックな特徴、つまり恐竜の特徴を備えたUMAです。

しかもみんな大好きティラノサウルス・レックスを代表とする、獣脚類 (じゅうきゃくるい) の特徴を持ちます。

アリカ・モンスターの名は、南米チリ最北端の都市、アリカ (Arica) で目撃されたこと由来しますが、その多くの目撃はチリ最大の砂漠、アタカマ砂漠 (Desierto de Atacama) です。

アタカマ砂漠は、南北に細長いチリの国の形状そのままに、海岸に沿って南北に細長く伸びる砂漠で、年間降水量が極端に少ない地域として有名です。

絶対的に降水量の少ないアタカマ砂漠において、おのずと動植物の数や活動は制限されてしまいます。

とはいえ、完全に干上がって雨が降らない地域では生命活動はどう転んでも不可能ですが、そうでない地域には両生類や爬虫類も少ないながら生息しています。

アリカ・モンスターは獣脚類なんだから肉食獣でしょ?もっとでかいエサがうろついてくれないと、と心配になっているあなたに朗報です。

哺乳類も生息しており、ビスカッチャ (Viscacha) というチンチラの仲間や40センチ程度の小型のキツネ、チコハイイロギツネ (Lycalopex griseus)、もう少しでかいどころではリャマの親戚のグアナコ (Guanaco) なんかがいて、体重100キロ超に成長します。

(グアナコの群れ。恐竜のご飯にどうぞ)
(image credit by Wikicommons)

まあ少ないながらも動物の生息自体はしていますので、恐竜のご飯はなんとか大丈夫でしょう。

ではアリカ・モンスターはどのようなUMAなのか?

アリカ・モンスターの初めての目撃者はサンティアゴ (Santiago) からはるばるやってきた旅行者たちだったのですが、アリカとイキケ (Iquique) の2つの都市をを結ぶ道路を車で走っている最中に出くわしました。

彼らは地元でその謎の生物の話をすると、アリカの市民たちからも同様の生物を目撃したという情報が続々と寄せられました。

目撃情報によれば、体長 (おそらく体高) は1.8メートルほど、非常に発達した後肢の筋肉でカンガルーのように二足歩行し、鋭い歯を持つ獣脚類のような頭部をしていたとのこと。

足跡も残っており、まるでカンガルーエミューのような三本の爪の足跡だったといいます。

(小さいぞ!ドロマエオサウルス)
(image credit by Wikicommons)

アリカ・モンスターはその正体として、なぜか北米出身のドロマエオサウルス (Dromaeosaurus) が候補に挙がっていますが、これは地理的にもまあ、アフリカやアジアと比べれば近いですし、名の通った恐竜であること、そして体長が目撃情報と同じ1.8メートルだったことが影響しているのではないかと思われます。

但し、ドロマエオサウルスは体長こそ1.8メートルあるものの、尾が長いですから体高はせいぜい1メートル程度しかありません。

おそらくはドロマエオサウルスのプロフィールの1.8メートルだけで判断してしまったのかもしれません。

尾の長い獣脚類は二足立ちしたとき、体長から受けるイメージよりもはるかに体高が低いので注意が必要です。

大きさは大差ありませんが、せめて南米アルゼンチンで発掘されたドロマエオサウルス科 (Dromaeosauridae) のネウケンラプトル (Neuquenraptor argentinus) とかに差し替えてあげたほうがいいような気がします。

まあ限られたエサのことを考えるとドロマエオサウルス/ネウケンラプトルぐらいのほうが、昆虫やトカゲ、せいぜい家禽類を捕らえて食べれば問題ないだろうと、大きさ的には逆に好都合とみるべきかもしれません。

しかし、こんなクラシック的なUMAが、21世紀に入ってからも目撃は頻発するのは不思議です。

水生生物であれば、大きな波や泡の目撃が巨大水生UMAの目撃にすり替わることがあるのでまだ分かりますが、陸生のしかも恐竜系UMAの目撃が脈々と続いているというのはなかなかのことです。

それでは彼らが見たものは一体?

タラパカ大学の古生物学者、カオデロ・サントロ (Caodero Santoro) 氏は、アリカ・モンスターの目撃者たちと実際にあってデータを収集し、アタカマ砂漠北部は恐竜たちが生息するにあたって環境的に決して悪くなく、細々と生き残っている可能性もある、とリップ・サービスなんだか本気で言ってるんだかわからないコメントを残しています。

そうですね、恐竜が生き残っていたら最高!これがUMAファンたちに向けたアリカ・モンスター正体の第一候補、というか希望ですね。

では現生動物と誤認するとしたら?

やはり、まずはカンガルーでしょう。

詳しくは「宮城の真山で目撃が多発するカンガルー ~ ファントム・カンガルー」の記事を読んでいただくとして、ファントム・カンガルーというのは生息域以外で目撃されるカンガルーのこと。

つまり、オーストラリア以外の地域の自然下で目撃されるものは、原則、すべてファントム・カンガルーとなります。

実際にはカンガルーだけでなく、同種のワラビーワラルーも含まれ、要するに動物園等から脱走し野生化したものです。

ファントム・カンガルー現象は世界各地で起きているのであり得なくはないでしょう。

(レア)
(image credit by Wikicommons)

そしてもうひとつの誤認候補は巨鳥レア (Rhea americana) ですね。

チリはレアの生息域から完全に外れていますが、南米の鳥類であり、陸続きの南米ですからファントム・カンガルーよりもむしろハードルは下がるかもしれません。

生息域でないからこそ、見慣れないレアをカンガルーのように二足歩行するラプトルのような小型獣脚類と捉えてしまった可能性もあるのでは?ということで、こちらもアリカ・モンスターの誤認候補に付け加えておきましょう。

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