世界中に生息するオオヒキガエル (Rhinella marina) ですが、これはかつて害虫駆除を目的に世界各地に移入さたたためです。
害虫・害獣駆除を目的に移入された生物は、ほぼ確実に本来の目的を達成できないばかりか在来種の脅威になります。
オオヒキガエルも例外ではありません。
からだが大きいうえに毒性が強いため天敵が少なく、さらに繁殖力も高いため移入先で増え放題です。
この煮ても焼いても食えないカエルを食べるネズミがいます、オーストラリアのラカリ (Hydromys chrysogaster) です。
(image credit by VICE)
ラカリ (Rakali) の和名はオオミズネズミ、名前の通り大型の水生ネズミで、尾を含めなくても30センチ以上もあります
さてこのラカリ、この「食えないオオヒキガエル」の腹部を切り裂き、毒のある胆嚢 (たんのう) を引きずり出し (除去し) て心臓と肝臓だけを食べていることが分かりました。
その際、ラカリは意図的に「非常に大きい個体のみ」を選別して狩りを行っていることも分かっています。
大きいカエルのほうが可食部が多いのはもちろんのこと、外科手術も容易になるからではないか、と考えられています。
15日間の調査の結果、ラカリに殺されたと思われるオオヒキガエルが38匹見つかり、そのすべての個体に腹部に1センチ四方の手術痕がありました。
ところで、この外科手術の手法をどうやって獲得したのか?
オオヒキガエルがオーストラリアに移入されたのが1935年、それから80年以上もの月日が流れています。
80年かけてゆっくりと代を重ねて獲得した秘伝、、、ではないようです。
というのも調査した地域にオオヒキガエルが侵出したのはせいぜい遅くても2年前ということが分かっています。
ということはわずか2年以内にこの手術を確立したのです。
毒に当たっては学習するという試行錯誤を繰り返した結果なのか、もともとオーストラリアに生息する有毒のカエルを参考にした経験則か、いずれかではないかと考えられています。
また、この秘伝の手術は親から子へ継がれていると考えられています。
いずれにしても毒のせいで誰も手を出さない潤沢な獲物に目をつけるとはさすが賢いネズミです。
(参照サイト)
FOX NEWS
VICE
(関連記事)
0 件のコメント:
コメントを投稿