タトル・ボトムズ・モンスター (Tuttle Bottoms Monster)。
アメリカ、イリノイ州南部のタトル・ボトムズでいっとき頻繁に目撃された獣人系UMAです。
獣人系といえどビッグヒットのような完全な類人猿タイプのものではなく類人猿+アリクイ、もしくはかなりアリクイよりのUMAで、獣人系UMAとしてはかなり特殊な部類に入ります。
そういった点では、ゾウ系・アリクイ系のヒューマノイド、ナラビーン湖の怪物と同タイプといえます。
はじめて目撃されたのは1963年といわれており、それ以降1970年代まで目撃は続き、その間少なくともトータルで50以上もの目撃情報が警察に寄せられたと言われています。
警察に報告されたものだけでも50以上ですから、単に目撃した人たちの数はその何倍にも上るものと考えられます。
目撃情報の多くは頭部にアリクイのような長い吻を持った生物と報告されており、前述の通り、日本のUMAの命名規則に従えば「アリクイ男」と呼ばれるような姿をしています。
中には、クマに似ていた、類人猿そのもの (いわゆるビッグフット系) だったといったものも含まれることから、単純にクマを誤認したものも含まれていると推測されます。
姿に若干のばらつきはあるものの、共通しているのは「毛むくじゃら」という点です。
タトル・ボトムズ・モンスターの噂が流れると銃などで武装した若者たちが大挙してタトル・ボトムズの森にモンスター狩りにやってきたといいます。
興味深いのはセイリーンの郡保安官ジェームズ・L・トンプソン (James L. Thompson) 氏が若者から聞いたモンスター像です。
体長は8フィート (約2.4メートル)、身長は4フィート (1.2メートル) でアリクイのような吻をしていた、というものです。
これはオオアリクイ系ヒューマノイドというよりも、もはやオオアリクイ (Myrmecophaga tridactyla) そのものなのではないか?という描写です。
オオアリクイは体長は1メートルを超す程度ですが尾が長く大柄なものであれば全体で2メートルを超します。
後肢で立ち上がらない限り体高は1メートル前後でしょうし大きさ的にも頭部の特徴的にもオオアリクイが合致します。
見るからに平和そうな生物で実際にそうなのですが、生命の危険にさらされればその限りではなく、後肢2本で立ち上がりナイフのようなカギ爪で反撃します。
確実な記録でオオアリクイにより3名殺害されているのが分かっており、公式的な記録に残っていないものを含めればかなりの数になるかもしれません。
さてその正体がアリクイだったとしてもアメリカ中西部のイリノイ州の森に何故いたのか?
中南米に生息するオオアリクイがノコノコ海を渡って北上できるわけもありません。
正体がオオアリクイであれば、月並みですがペットとして飼われていたものや動物園から脱走したとしか考えられません。
しかし、これを聞いて残念がる必要はありません。
目撃から半世紀近くも経った2010年、新たな説が浮上したからです。
提唱したのは動物調査機構のシャドウズ・オブ・ザ・ショーニー (Shadows of the Shawnee) の創設者にしてタトル・ボトムズ・モンスターを目撃したことのあるバージル・スミス (Virgil Smith) 氏です。
バージル氏はこの怪物は決してオオアリクイなどではなく二足歩行する類人猿系の生物であるという主張しています。
それでは一体どこから来たのか?
タトル・ボトムズ・モンスターは政府の極秘裏に行われていた動物実験の産物であり、政府はおそらく意図的に森に開放したというのです。
同じくイリノイ州のマサック郡 (Massac County) でも似たような生物目撃されており、タトル・ボトムズ・モンスターと同一個体、もしくは同一ルーツをもつ生物かもしれないと考えています。
またスミス氏は米国農務省の元スタッフがタトル・ボトムズ・モンスターの調査をしていることを打ち明けられたとも主張しています。
いわゆる政府の陰謀論説、それが荒唐無稽であろうと古き良きUMAファンを満足させてくれる主張ではありませんか。
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