2024年4月29日月曜日

タイに現れた謎の案山子生物 ~ ゴースト・スケアクロウ


■タイに現れた謎のカカシ生物 ~ ゴースト・スケアクロウ

今回は珍しくタイのUMA。

ま、UMAというか宇宙人というか、ゴーストというか、あまり野生動物的ではないので正統派UMAとはいえないものです。

このUMAタイのチエンラーイ (Chiang Rai) で目撃された案山子 (カカシ) に似た生物であったため、そのまま「チェンラーイの幽霊のような案山子 (Ghostly Scarecrow of Chiang Rai)」と呼ばれますが、長ったらしい上にあまりスタイリッシュではないためゴースト・スケアクロウと呼びましょう。

目撃されたのはタイ最北部のチェンラーイ県の農村部、かなりパラノーマル (超自然的) な存在ですが目撃されたのはわりと最近の2005年、しかも10人以上に同時に目撃されています。

最も最初に目撃したのはサワエン・ブンラチャサック (Sawaeng Bunratchasak) さんで、同年8月31日の午前8時~8時半ぐらいのことだったといいます。

はじめ宙に浮いているこの「物体」を生物ではなく最新鋭の案山子と認識したといいます。

しかしそれは決して案山子ではありませんでした。

ブンラチャサックさんに気付いた「案山子」は首をかしげるような仕草でブンラチャサックさんをその燃えるような赤い瞳を彼に向けたといいます。

その瞬間、ブンラチャサックさん背筋も凍るほどゾッとしたものの、その生物はまるで助けを求めるような懇願にも近い眼差しで彼を見つめ、決して危害を加えるような存在には見えなかったといいます。

体長はわずか30センチほど、腕はないように見え、足は尖っていたといいます。

頭部は体と比して大きく、その両側には頭部と同じぐらいの高さのある耳のような突起もありました。

ブンラチャサックさんは急いで村人たちを呼びに行きました。

その黄色の生物はまだフワフワと空中を浮いていました。

目撃者たちはそれが危険な存在ではないと分かると、その見た目よりも翼のような何ら推進力も持たない生物がまるで地球の重力など存在しないかのように浮いていることの方が奇妙に感じたといいます。

ゴースト・スケアクロウは多くの人々が押しかけても特に動揺した様子はなく、むしろ人々に対し無関心に見えたといいます。

そして1時間ほど辺りを浮遊していましたがやがてどこかへ去っていったといいます。

冒頭に述べた通り、これはUMA (特にフライング・ヒューマノイド)、ゴースト、宇宙人のいずれに該当するかも判断が難しいものです。

ただこの地域の人々はこのゴースト・スケアクロウを目撃する前夜、「浮遊する火」が水田に落ちたと主張し、その残骸は一切見つからなかったものの、UFOと関連付けたい、つまり宇宙人の可能性が高いと考えているようです。

目撃されたのはこの1日だけであり、この生物の証言もこれ以上の情報はありません。

この不思議な生物は一体何だったのでしょう?

一番ありそうなものとしてはフライング・ヒューマノイドの正体としてもありがちな人型バルーンの誤認です。

実際、この生物が目撃された地域から6マイル (約10キロメートル弱) 離れたドイカム (Doi Kam) の住人から、ゴースト・スケアクロウに似たヘリウムガスを充填させたゴム人形の情報が入りました。

この住人はゴースト・スケアクロウ騒ぎの起きる数日前にこのヘリウムガス入りの人間を見つけました。

これは鳥除けになるだろう、つまり案山子として用をなすだろうと自宅の庭の木に括り付けていたといいます。

しかし同月29日に暴風が吹き、その人形はどこかへ飛ばされてしまいました。

そしてこのゴースト・スケアクロウ騒ぎが起きたのはその2日後です、きっと庭に括り付けていたヘリウムガス人形に違いないと彼は確信したわけです。

この住人はこの人形が映った写真を持っていたことから、この写真をゴースト・スケアクロウの目撃者に見せましたが決して違うといったそうです。

但し、その写真はかなり解像度が低く、人形もはっきり判別できないほどだったというのであまり当てにはなりませんが。

但し、目撃した住民たちは声を揃えていいます、ゴースト・スケアクロウは意思を持って首を傾げたり浮遊しており、決して無生物ではないと。

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2024年4月28日日曜日

男子は死産か生まれて速攻死亡、それでも滅びない ~ アダクチリディウム


■男子は死産か生まれて速攻死亡、それでも滅びない ~ アダクチリディウム

本日は久しぶりにUMAではなく寄生生物シリーズ。

アダクチリディウム (Adactylidium) というダニの仲間で、1属4種知られています。

多くのダニは寄生生活を送るのでそれ自体それほど珍しくありませんし、また今回話題にするアダクチリディウムのライフサイクルは他の寄生虫等に見られる宿主 (寄生される側の生物) に対するマインドコントロールをするわけでもなく、至ってふつうの寄生生活です。

ですが、その生態自体が驚くほど奇妙です。

それではアダクチリディウムの生涯を簡単に見ていきましょう。

アダクチリディウムは主に中東に生息するダニでの仲間で、メスはアザミウマという体長1ミリにも満たない小さな昆虫の卵のひとつにに寄生し、その卵を食べて育ちます。

オスは一切寄生生活を送りません、寄生生活をするのはメスだけです。

オスはどうやって暮らしているかというと寄生生活を送るも何もオスは居ないので寄生する以前のの問題です。

オスがいない?

それは魚類に多く見られる性転換等によりオスが居なくなってしまうという意味ではありません。

アダクチリディウムにもオスとメスの雌雄が存在し生まれながらにオスとメスという別個の性別を持って生まれ、そしてその持って生まれた性を生涯全うします。

つまりオスとして生まれたものはオスとして死に、メスとして生まれたものはメスとして死ぬということです。

そんなに珍しいことではありませんよね、むしろ大多数の生物はこのようなライフサイクルを営みます。

なぜオスが居なくなってしまうのかというととても単純で、アダクチリディウムのオスは死んだ状態で生まれる (死産) か、もしくは生きた状態で生まれても食事することもなければメスと交尾することもなく生まれてすぐに (数時間程度で) 死亡するからです。

こう聞けばアダクチリディウムは単為生殖 (交尾なしでメスが単独で子供を産むこと) する生物と思うでしょう

仮にそうだとすればオスは不要ですが、メスのアダクチリディウムは子供を1度に5~8匹産む中に必ずオスが一匹だけ混じっています。

まあ便宜上「産む」と書きましたが、後述するようにこれは一般的に思い浮かべる「出産」とはかけ離れたものですが。

さて、この生まれても繁殖に全く意味をなさないオスを一匹だけ紛れ込ませる芸当は一体何なのでしょう?

どうせ役に立たないながら、そのエネルギーを生まれてくるメスに分配する方が自然界で有利に働くに違いありません。

しかし「彼」はただの役立たずではなかったのです。

アダクチリディウムの子は母親の子宮内で孵化し、その中で母親の体を内側から食べながら育ちます。

そしてオスは母親の子宮内で一緒に生まれた姉妹全員と交尾し、妊娠させていたのです。

これにてこのオスの役目は終了、そのまま子宮内で死ぬもよし、姉妹たちと一緒に母親の体を貪り外界に出てきて死ぬもよし。

そう、かれらは母親の出産によりこの世界に出てくるのではなく母親を内部から食べつくし体を突き破って出てくるのです。

そしてメスのアダクチリディウムたちは生まれながらに妊娠しているという不思議な生物なのです。

母親は子供たちに貪り喰われもちろん死にますが娘たちは悲観に暮れる暇はありません、寿命僅か数日のアダクチリディウムのメスたちは我先に寄生先のアザミウマの卵を探します。

といっても効率がいいことこの上ありません、交尾相手を探すステージをカットし、寄生する卵だけを見つければいいからです。

無事にアザミウマの卵を見つけたメスはその卵に寄生すると、次世代へとつなぐ子供たちを胎内で育みます。

そう、あと数日後には自分が食べられることを知りながら。

(寄生虫)





2024年4月27日土曜日

弾む!弾む!ヤマアラシのUMA ~ ルベラド


■弾む!弾む!ヤマアラシのUMA ~ ルベラド

今回は可愛らしいUMAです。

いっつもコイツは気持ちわりいもんしか書かねぇな、と思われるのも心外ですのでたまにかわいいの挟んでいます。

今回はフィアサム・クリッター (Fearsome critters) の中からルベラド (Rubberado) の紹介です。

日本ではローマ字読みしてルベラドですが英語圏ではラバレイドー (ラバーレイドー) と発音されます。

フィアサム・クリッターは何度か説明しているので詳しくは書きませんが、アメリカ・カナダに伝わる木こりたちのホラ話から生まれた民間伝承上の生物です。

ユーモラスがありスーパーナチュラルな性質を持つものも少なくありませんが、多かれ少なかれ実在する動物が元になっており、中には信じられないようなその性質が実在の生物でも確認される場合もあり、なかなか興味深い動物たちです。

例えば自分の尾を噛んで輪 (フープ) になりタイヤのように坂道を転げ落ちて獲物を捕らえるというフープスネークというフィアサム・クリッターがいますが、実在するドワーフ・リード・スネークは天敵から逃れるときに実際にフープ状になって転がって逃げることがあります。

今回のUMAルベラドは「荒唐無稽」な方のフィアサム・クリッター、つまり実在しそうもないタイプです。

ルベラドはUMAとしてh非常に珍しい、ヤマアラシタイプのUMAです。

ヤマアラシは南北アメリカに棲息するアメリカヤマアラシ科 (Erethizontidae) とアフリカやユーラシア大陸に生息するヤマアラシ科 (Hystricidae) に大別され、全く異なる継投で進化をしてきたにも関わらずそっくりな姿に進化 (収斂進化) した不思議な生物です。

(カナダヤマアラシ)
(image credit by Wikicommons)

大雑把にヤマアラシ科は地上性、アメリカヤマアラシ科は樹上性で、今回のルベラドはもちろんアメリカヤマアラシ科が元になっているのは明らかです。

ちなみにアメリカヤマアラシの最大種、カナダヤマアラシ (Erethizon dorsatum) は頭胴長が90センチ以上もあり尾を含めると1メートルを超し、北米大陸においてアメリカビーバー (Castor canadensis) に次ぐ2番目に大きな齧歯類です。

さて、アメリカヤマアラシの仲間は樹上性であることがルベラドに深く関係ありそうです。

フィアサム・クリッターのそのほとんどが世間一般のUMAと同様、人間にフレンドリーな存在ではありません。

しかしルベラドは、人間と特別友好的な関係にある生物ではありませんが、少なくとも攻撃を仕掛けてくるといった直接的な害を人間に与えることはないようです。

彼らはいつも笑っている愉快なUMAだからです。

その姿は球体に近く、ゴムのように弾力性のある体をしており、その特性を利用し弾みながら地面を移動するといいます。

これはカナダヤマアラシが細い木の枝の先端にある木の実や枝を好んで食べるため、よく木から落っこちることで有名でそれに由来するのでしょう。

また鳴き声も頻繁に発するとため、それが「笑い」と擬人化されたに違いありません。

ルベラドはその自身のバウンドの都度、大笑いするといいます。

ルベラド決して危険な生物ではないため狩猟により捕らえることも可能です、但し非常に弾力性のあるその毛皮はライフルの弾丸すら跳ね飛ばしてしまうということで捕まえるには他の方法を試さなければいけません。

但しルベラドの肉は非常に美味であり苦労してでも捕まえる価値はあると考えられています。

特にルベラドの肉を使ったシチューは美味しいといわれ一度は食べてみたい一品です。

ただひとつだけ覚悟しないといけないのはルベラドのシチューを食べた後、笑いが止まらなくなりルベラドのように暫く弾んでしまうということです。

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体長25メートル、史上最大級の魚竜が発見される ~ イクチオティタン・セベルネンシス


■体長25メートルのギョリュウが発見される ~ イクチオティタン・セベルネンシス

時事ネタも軽く触れましょう、そのうちUMAの正体になる可能性もありますので。

とてつもなく巨大な魚類の化石が発見されました。

発見されたのはイングランドのサマセット (Bristol) かブリストル (Bristol) かはっきりしませんが、取り敢えずイングランドの港湾地域です。

もともとこの骨が発掘されたのは8年ほど前の2016年、謎の骨として少しの間ほったらかされた後、ブリストル大学の古生物学者ディーン・ロマックス (Dean Lomax) 博士のチームにより史上最大級の魚竜として認識されました。

発見当初はあまりの大きさから恐竜の化石と認識されていたともいいます。

魚竜と聞いて最も有名なのはおそらくイクチオサウルス (Ichthyosaurus) で、これは「魚のようなトカゲ」(ichthys:魚, saurus:トカゲ) を意味します。

イクチオサウルスは魚でもなければ恐竜でもなく海棲の爬虫類で姿こそ違えどUMAの正体として馴染み深いプレシオサウルス (Plesiosaurus) やエラスモサウルス (Elasmosaurus) 等の首長竜ら近縁です。

首長竜は海生爬虫類ながら恐竜然とした姿をしていることから恐竜ほどではないにしろ一定の人気があるのに対し魚竜はいまいちぱっとしない感は否めません。

大抵の魚竜はもろにイルカそっくりに収斂進化 (しゅうれんしんか) している上、体長も3~4メートルとそれほど大きくないからでしょう。

シーラカンスのように奇跡でイクチオサウルスが現在まで生き残っていたとして、目撃者が「イルカに似た奇妙な生物を見た」と証言しても、それは「イルカとかカジキを見ただけだろ」と一蹴されるに違いりません。

そんなこともあってUMAの正体として魚竜が候補に挙がることはまずありません。

さて今回発見された巨大な魚竜はイクチオタイタン・セベルネンシス (Ichthyotitan severnensis) と命名されました。

属名にタイタン (titan, 「巨人」の意) が入っている時点で分かる通り、「巨大な魚」の意を持つ魚竜です。

棲息していたのは今から2億100万年以上前の三畳紀です。

発見された化石は非常に断片的で顎の一部分のみ、しかしその不完全な顎の部分だけで1.8メートルもありました。

全長はいくらになるか?

まずは既知集の巨大魚類を見ていきましょう。

魚竜の最大種といえばショニサウルス (Shonisaurus) やシャスタサウルス (Shastasaurus) ですが、現在どちらに分類されるか浮いた状態になっているショニサウルス・シカネンシス (Shonisaurus sikanniensis) もしくはシャスタサウルス・シカネンシス (Shastasaurus sikanniensis) は全長が21メートル以上になったと推測されています。

今回発見された顎化石がこのシカネンシスと同じプロポーションであると仮定するとイクチオタイタン・セベルネンシスは全長25メートルに達するといいます。

ちなみに今回の論文を発表した古生物学者ディーン・ロマック等のチームは断片的なイクチオタイタンの全長に関する質問については慎重さを維持し言及を避けており、あくまで部外者によるセンセーショナルな記事が大好きなマスコミ向け体長です。

史上最大の硬骨魚類として知られるリードシクティス (Leedsichthys) も当初の全長28メートルの推定値から全長17メートルほどまで縮んでおり、イクチオタイタンの推定値も縮んでいく可能性はあります。

が、それを考慮しても史上最大級の魚類であったことは間違いないでしょう。

(参照サイト)
National Geographic

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