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2025年2月28日金曜日

発光する目をもつレイク・モンスター ~ 铜山湖の怪物


■発光する目をもつレイク・モンスター ~ 铜山湖の怪物

今回は中国のレイク・モンスター、铜山湖の怪物 (Lake Dozan monster)。

「铜山湖」は日本の漢字を当てはめるとたぶん「銅山湖」ではないかと思うので「どうざんこ」でいいのかな。

铜山湖 (中国語読み: ほんしゃんふー) は河南省の駐馬店市 (ちゅうばてんし) にある湖で、漢江 (かんこう) 経由で長江水系と繋がっています。

1980年代から現在まで目撃が続く巨大魚系の水棲UMAです。

夏場のレジャーによる観光客の絶対数によるものなのか、この怪物の生態 (活発になる時期 or 回遊している等) によるものなのか、なぜかすべての目撃が5~9月に集中しています。

多くの目撃から铜山湖の怪物は全身が真っ黒でヘビのような長大な体を持つ生物と考えられ、その大きさはおよそ4~5メートルぐらいと推測されています。

中には体長100メートルの生物を見たという目撃もありますがあまりに常軌を逸しているためこれは含めないことにしましょう。

典型的なレイク・サーペント (ウミヘビ) 系のUMAかというとそうではなく、頭部に二本の角を持っていたというものや、かぎ爪を持っていた (つまり前肢もしくは四肢がある) というものも含まれます。

そのため铜山龍の異名を持ちます、つまりドラゴン的なUMAということです。

もっとも初期にこの怪物を目撃したこの湖の漁業組合に属す馬海利 (马海立) なる人物の話を見てみましょう。

1980年9月のとある夜のこと、馬海利さんは寝付くことができずボートを出して湖に入ったといいます。

すると不思議なことに緑色に明滅する二つの光に気付きました。

不思議に思った馬海利さんは光の方へとボートを進めると、それは謎の生物の「目」であることに気付いたのです。

体長は4~5メートル、頭部はヘビに似るもののウシほどの大きさで、口はフラットで大きく、鼻の穴はクルミほどの直径がありました。

漆黒の湖で目だけが緑色にギラギラと輝いていました。

夜間ということもあり体色については心許ないですが灰色もしくは黒に見えたといい、全身鱗に覆われているようだった証言しています。

怪物は馬海利さんのボートを襲おうとはせず悪臭を残しそのまま水の中へと姿をくらましましたが、怪物に驚いた馬海利さんは急いでボートを岸によせたといいます。

この生物は一体何だったのでしょう?

ヘビのような頭部という目撃で最も考えられるのは鰭脚類でしょうか。

しかし誤って遡上するには铜山湖はあまりに内陸過ぎて海からは遠すぎるかもしれません。

レイク・モンスターの正体として定番であり最有力のチョウザメはどうでしょう。

この湖でチョウザメの放流実績もあり、また前述の通り長江とも繋がっていることから長江流域の生物が湖に入り込む可能性も考えられます。

(ハシナガチョウザメ)
(image credit: Wikicommons)

つい最近になって絶滅が宣言されたヘラチョウザメの最大種、ハシナガチョウザメ (Psephurus gladius) はかつて長江に棲息していました。

体長3メートル超、300キロに達する巨魚であり湖に万一入り込めばUMA騒ぎを起こすに違いありません。

またこちらも既に絶滅してしまっている可能性がありますが、ヨウスコウカワイルカ (Lipotes vexillifer) も候補に入れておきましょう。

(ヨウスコウカワイルカ (奥) とスナメリ (手前))
(image credit: Wikicommons)

但し、ハシナガチョウザメ、ヨウスコウカワイルカ共に大きさは申し分ないものの吻が長く目撃証言の「ヘビに似た頭部」と大きく異なるのが玉に瑕。

そこで候補として挙げたいのがスナメリ (Neophocaena phocaenoides)。

湖南省の洞庭湖ではスナメリが確認されていることから地理的にも近い铜山湖に入ってくることもひょっとするとあるかもしれません。

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2025年2月27日木曜日

写真にも撮られた!深海に棲息する巨大タツノオトシゴか!? ~ マービン・ザ・モンスター


■深海に棲息する巨大タツノオトシゴか!? ~ マービン・ザ・モンスター

マービン・ザ・モンスター (Marvin the monster) はアメリカ、カリフォルニア州のサンタバーバラ沖 (オレゴン州沖の説もあり) で撮影された謎の生物です。

1960年代初頭 (1961~1963年) に撮影された説が有力ですが、なぜかはっきりした時期は分かっていません。

当時、シェル石油がヒューズ・エアクラフトと共同開発し、海底の石油の埋蔵量を調査するために使用していた水中ロボット、モボット (Mobot) でカリフォルニア沖の海底を調査中、偶然に撮影した水棲UMAです。

(実際の画像)


現在のROV (遠隔操作型無人潜水機) のものとは異なりかなり画質が悪く、ほぼその生物のシルエットしかうかがい知ることはできません。

写真を分析した結果、体長15フィート (約4.5メートル) に対し、直径が6インチしかないという非常に細長い体型です。

撮影された角度の印象から巨大なタツノオトシゴ説もありますが、一般的にはシーサーペントの一種と考えられています。

マービン・ザ・モンスターは体を回転させながら前進する奇妙な動きをしていたものの速度は遅く、1時間近くもモボットの撮影範囲内にとどまり浮遊に近い状態でした。

UMA写真としては珍しくこの写真は全くフェイクの疑いもありません。

この生物はとても長いですが極端にボリュームが無く、UMA的には「シーサーペントの幼体」と考えることもできます。

既知生物で考えてみましょう。

じゃあまずウミヘビはどうでしょう?

この写真がどれぐらいの深度で撮影されたものか分かりませんが、爬虫類であるウミヘビは息継ぎの必要があるのでそんなに深く潜れそうもない、、、と感じてしまいますが、実は249メートルという潜水記録があります。

息継ぎせずに大丈夫なのか?と思いますが息継ぎなしに1時間ぐらいは平気で潜ることができ、中には3時間、最大8時間も潜れる種もいるとか。

大きさは?さすがに4.5メートルは無理ですが世界最大のウミヘビ、ヨウリンウミヘビ (Hydrophis spiralis) の最大個体に3メートルという記録があり (通常は2メートル以下)、大きさ的にも潜水できる深さ、潜水時間すべてマービン・ザ・モンスターの条件をクリアしています。

(サルパ)
(image credit: Wikicommons)

とはいえ、やはり現実的な路線ですとその大きさ、形状から刺胞動物のクダクラゲか尾索動物のサルパの可能性が高いでしょう。

クダクラゲにはマヨイアイオイクラゲ (Praya dubia) のように最大体長50メートルに、サルパもナガヒカリボヤ (Pyrostremma spinosum) のように10メートル以上、最大30 (最大42メートル?) に達することもあります。

いずれも微小な生物の群体ですが、時として信じられないほどの長さに成長します。


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2025年2月26日水曜日

熊本に怪物級の謎のスッポンが棲息している ~ クマモトオオスッポン


■熊本に怪物級の謎のスッポンが棲息している ~ クマモトオオスッポン

さて、今回は読者さんからいただいた目撃情報です。

この話は今から40年ほど前の出来事ということなので、1980年代半ばぐらいですかね。

早速お話を見ていきましょう。

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今から40年程前の話です。

僕が通っていた小学校は公立の小学校では無く国立だった為、バスで通学していました。

家からバス停まで、低学年の頃は父親が一緒に来てくれていたのですが、ある日父親が『何だ?あれは…』と何かに気付きました。

見ると60cmのマンホールより少し大きい位のヌメヌメした感じで黒光りしている丸い何かが有りました。

その何かは車に轢かれた直後だったようで、周りには赤い血の様な液体が広がっていました。

父親は『あれ。スッポンじゃ無いかなぁ…あんな大きいの見た事ないなぁ…』と言っていました。

学校から帰る頃には、沢山の車に轢かれたであろうその死体は原型を留めない程完全に潰れていて、結局何かはわからないままでしたが、あの日直径60cm程の何かの死体が有った…と言う話です。

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謎の生物の、いわゆるロードキル (轢死) 情報です。

マンホール大の甲羅を持つカメ自体は現存しますから物理的には全然あり得ることです。

これは熊本県の話とはいえ、もともと極めてあり得ないことですが、特に海沿いの道路とかではなく、ウミガメのロードキルというのは考えにくいところです。

目撃者さんの推測通り、やはり候補としては巨大なスッポンを推したいと思います。

巨大なスッポンは世界各地、特に東南アジアやアフリカに多く棲息しています。

(シャンハイハナスッポン)
(image credit: Wikicommons)

甲長1.4メートルの世界最大のスッポン、タイコガシラスッポン (Chitra chitra) やマルスッポン (Pelochelys cantorii)、ホアン・キエム・タートルことシャンハイハナスッポン (Rafetus swinhoei)、ナイルスッポン (Trionyx triunguis) 等々。

では日本ではどうでしょう?

かなり最近、2023年8月に鳥取県日野町の日野川でニホンスッポン (Pelodiscus japonicus) の巨大な個体が発見されました。

ニホンスッポンは通常は甲長20センチ前後、しかしこのとき捕獲されたものは甲長だけで38センチ、体重5キロもある超大物でした。

とはいえ、目撃者さんの甲長60センチには遠く及びません。

潰れて甲羅が少し広がったとも考えられますが、轢かれた当初は原形をとどめており、直径60センチまで広がるとは考えにくいです。

しかし前述の捕獲された38センチのスッポン、これはほんの序の口、甲長50センチを超える個体が発見されたこともあるといい、非公式記録ではあるものの60センチオーバーの個体もいたとか。

ということを考えると、大きめのスッポンが潰れて大きく見えた、とか海外の巨大スッポンのテレポートアニマル説を出さずとも、日本史上最大級のニホンスッポンの巨大個体だった可能性があります。

(ナイルスッポン)
(image credit: Wikicommons)

夢のあるところでは未発見の巨大スッポンですね。

その場合、新種としてクマモトオオスッポン (Kumamoto giant softshell turtle) とでも呼びましょうか。

ちなみに、絶滅種ではありますが、ヒタチナカオオスッポンという甲長80センチ以上の巨大スッポンがかつて日本の沼沢地に生息していました。

引き続きUMA、グリッチ、ゴースト等々、現実的なものからパラノーマルなものまで募集していますのでお気軽にコメント欄に書き込むかメールしてください

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2025年2月25日火曜日

人の世の生き血をすする ~ キュウケツガラパゴスフィンチ


■人の世の生き血をすする ~ キュウケツガラパゴスフィンチ

吸血する動物といって真っ先に思いつくのはコウモリに違いありません。

実際に吸血するコウモリは1400種以上知られる全体の0.2~0.3パーセントに当たる南米に生息する3種のみ。

ほとんど存在しないにもかかわらず、この3種により甚大な風評被害を受けており、その見た目も相まって人間と同じ哺乳類にも関わらず忌み嫌っている人も少なくありません。

さて今回はUMAではなく吸血する実在する鳥のお話、ガラパゴス諸島に生息するスズメほどの大きさのハシボソガラパゴスフィンチ (Geospiza difficilis)。

フィンチたちは各島の環境に合わせ食性や体つきなど変化させていきました。

その中でダーウィン島 (Darwin Island) とウォルフ島 (Wolf Island) にのみ生息するハシボソガラパゴスフィンチの亜種、キュウケツガラパゴスフィンチ (Geospiza septentrionalis) はなんと吸血します。

英名はヴァンパイア・グランド・フィンチ (Vampire ground finch) で単にヴァンパイア・フィンチとも呼ばれます。

猛禽をはじめとする肉食の鳥は珍しくありませんが、血を吸う鳥は唯一無二です。

初めに誤解なきように断っておくと、彼らの食性は他島のフィンチたちと同じ雑食で、種子であったり昆虫がメインです。

決して吸血一本でやっているわけではないのです。

しかし メインのエサが欠乏する乾季になると、ナスカツオドリ (Sula granti)、アオアシカツオドリ (Sula nebouxii) といった自分たちよりもはるかに大きなカツオドリに近寄りその鋭いクチバシで皮膚を傷つけ吸血します。

圧倒的な体格差でありカツオドリたちは逃げることも追い払うことも容易であるにも関わらずそういった仕草をほとんど見ません。

これは元来、フィンチがカツオドリの羽に就いた寄生虫を食べてあげていた共生関係から進化したのではないかと考えられています。

現状、吸血する代わりに寄生虫を取ってくれているのか分かりませんが (まあ雑食なので見つけ次第食べてはいそうですが)、カツオドリはギブ・アンド・テイクと信じて血液を提供しているようです。

キュウケツガラパゴスフィンチの不埒な悪行三昧はこれだけにとどまらず、カツオドリが卵を産むと、それを岩から転がり落して割って食べるということもします。

カツオドリはなんてお人好しなんでしょう。

桃太郎侍がこれを知ったらカツオドリは確実に斬られていることでしょう。

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