このブログを検索

2024年11月30日土曜日

秦の始皇帝の時代から伝わる謎の生物 ~ 太歳


■秦の始皇帝の時代から伝わる謎の生物 ~ 太歳

今回は竹東湖モンスターゼリー (タケジャッシー) の記事で触れた太歳 (たいさい) にスポットを当ててみます。

太歳は中国の「未確認生物」で、本場中国では「太歲」に加え「肉灵芝」「肉靈芝」「稱肉芝」等、いくつかの表現があります。

太歳は不思議な生き物で、そもそも動物なのか、植物なのか、菌類なのか、それすら定義するのが難しい存在です。

(地中タイプの太歲)
(image credit: YouTube/傑斯特Jester)

そういった意味では日本のUMA、ケサラン・パサランと似た傾向があるかもしれません。

まあそうはいいつつも概ね菌類と考えられていますが、またここでキノコであるか粘菌 (変形菌) であるかで意見が分かれています。

また太歳は大きく分けて3タイプ存在し、ひとつはキノコのように地中から地上に子実体を伸ばしているタイプ、もうひとつが人の目のつかない地中の中で育つタイプ、そして最後が水中で育つタイプです。

地上タイプはマンネンタケ(Ganoderma lucidum) に似ており、まさにキノコのように繊維状、地中タイプは肉厚で弾力性があり肉塊を彷彿とさせます、そして水棲タイプは「邪道」のようですが稀に発見されているようです。

(地上、キノコタイプの太歳)
(image credit: 百度百科)

一般的な太歳のイメージはおそらく地中タイプのものが「王道」であると思われます。

その存在は紀元前から知られており、食することにより「不老不死」になると信じられていたことから、秦の始皇帝は太歳を見つけるべく、3度の派遣をしたといいます。

特定の色・形はしていないものの、「赤いものはサンゴに、白いものは脂肪に、黒いものは漆に、緑のものは緑の羽根に、黄色のものは赤銅にそれぞれ似ており、氷のように光が浸透する」そうです。

「肉塊」と表現されるようにゴロッとしたシルエットで、目・鼻・口・四肢・尾といったような動物的な器官を持ちません。(但し「頭と尾を持つ生物」という説もあります)

高温でも腐敗せず、低温でも固まらず、また傷を負っても再生能力が高く自然治癒します。

太歳 (と信じられているもの) はこれまでに幾度か発見されており、非常に高額で取引されています。

例えば2015年に四川省成都で発見された太歳は13キロもあり、50万元 (約1千万円) で取引されました (≒77万円 / キログラム)。

同年には遼寧省東港長安鎮で単体ではありませんが140キロ分もの太歳が発見され、1キロ当たり1万元 (約20万円) で取引されました。

2016年には巨大な80キロの太歳が発見され、300万元 (約6千万円) の価値があると推定されました。

2017年には池の中から50キロもある太歳が発見され、4人がかりで水から引き揚げました。

(水中タイプの太歳)
(image credit: 人民图片)

この太歳の価値は100万元 (約2千万円) の価値があると推定されました。

とまあ、この太歳、UMAといいつつ時折発見されることもあり、しかも高値で取引されることから一攫千金の夢のある生物でもあります。

「捕獲」されていることから、このうちいくつかは科学的に調査されており、菌類であることが判明しています。

しかし、なにせ上記の通り大きく分けて3タイプ (地上・地中・水中) あり、その生育環境から同一の生物とは考えづらく、また、例えば王道である地中から発見されるタイプであっても、太歳自体の定義づけが明確ではないためそれらも同種の生物であるかどうか判断がつきません。

(関連記事)

2024年11月29日金曜日

植物と動物のハイブリッド ~ オーメン・ガリョ


■植物と動物のハイブリッド ~ オーメン・ガリョ

今回はポルトガル、ペセゲイロ (Pessegueiro) で目撃された、オーメン・ガリョ (Homem-Galho)。

ポルトガルのUMAは珍しいですね。

これはヴァネッサ・フィルダゴ (Vanessa Fidalgo) 氏が祖父から聞いた話だといいます。

目撃された日付がはっきり言及されていませんが、彼女の著作の発行年と話の内容から初めて目撃されたのは1960~1970年代と思われます。

ある秋の夜のこと、フィルダゴ氏の祖父がまだ若かりし頃、友人たちとつるんでいたとき、痩身でとてつもなく背の高いヒューマノイドに遭遇したといいます。

頭部には角というより植物的な枝を思わせる奇妙な突起物が生えており、頭部は苔のようなもので覆われていたものの人間のような「目」らしきものも確認できました。

若者たちは最初はギョッとしたものの、怪物を捕まえようと追いかけました。

追いかけながら石を投げつけましたが、怪物は森の中へと逃げ込みました。

しかも人間では分け入るのが困難な木立が生い茂る場所へと逃げ込んだため、その植物的な姿と相まって森へと溶け込んでしまい怪物を見失ってしまいました。

見失ってすぐ、動物ような鳴き声と草木を引きずるような音だけが静寂の森に響きました。

それは怪物の鳴き声と森の中を移動する音だったに違いありません。

祖父はその時の恐怖を「動物たちが怯え逃げ出すまで、すべてが凍り付いた」と表現しました。

威勢の良かった若者たちも我に返ると、恐怖でそれ以上追跡しようという気持ちは萎えてしまい村へ戻ることにしました。

夜遅くまで開いているカフェに着くと今さっき体験したばかりの怪物について話しましたが、まあ仕方ないでしょう、誰一人として彼らの話を信用するものはいなかったといいます。

しかしその後、この地域ではこの奇妙なヒューマノイドの目撃が散発されるようになり、21世紀に入ってもそれは続いているといいます。

体が枝のように細いことからポルトガル語で「小枝の男」を意味するオーメン・ガリョと呼ばれます。

地理的には全く異なるアメリカ、ウェスト・バージニア州で目撃されたベジーマン (ベジタブル・マン) と随分と姿が似ているようです。



2024年11月28日木曜日

兵庫県加古川のリバーサーペント ~ ムッシー


■兵庫県加古川のリバーサーペント ~ ムッシー

今回は兵庫県を流れる加古川 (かこがわ, Kako-gawa, River Kako) の怪物、ムッシー (Mussie) です。

向島公園 (むこうじまこうえん) 付近を流れる加古川で目撃されたことからこの名で呼ばれます。

ムッシーは、2022年7月13日、ラジオ関西トピックス・ラジトピさんが動画で紹介していたものです。

高砂市 (たかさごし) の向島公園から河口付近 (河口から約200メートルの地点) に向けて撮影されたものだそうで、撮影地点からムッシーはかなり離れているため、トリミングするとかなり解像度が低くなり正直なところ検証するにはかなり厳しいです。

但し、わずかに水上に見えている部分 (背中?) から判断するとかなり細長い形状をしている印象で、体を左右に波打って進んでいるように見えます。

ということは取り敢えずはリバーサーペントの可能性が高いということになります。

撮影者によれば「青黒い大きな生き物」がうごめいているように見えたとのことです。

こういった細長い生物でまず気になるのはその生物が1匹なのか、それとも複数の生物が縦列になって泳いでいる、もしくは小魚の群れではないか、といった点です。

実際動画を見てみると解像度が低く複数の個体にも見えるときもあればひとつながりに見えるときもあり微妙です。

(川に浮かぶムッシーの影)

ラジトピさんはこの生物の体長を6~10メートルと推測しています。

この近辺の生物に詳しい東播磨漁業協同組合の川崎さんに聞いてもこの生物の正体は分からないといい、大きさ的にはクジラぐらいあるものの泳ぎ方がクジラのそれとは異なるし、そもそも加古川の河口付近は非常に浅くクジラが迷い込める水深はないとのことです。

クジラやサメのような巨大生物が迷い込めないほどの水深で6メートル以上もある生物、リュウグウノツカイ (Regalecus russelli) でも迷い込んできたのでしょうか?

もういちど動画を見てみましょう。

あれ?一見すると左右に波打って泳いでいるように見えたものの、どうも画面の左右、どちらにも全く進んでいる気配がありません。

上流へと向かおうとしているものの、遊泳力の弱さからほとんど前方に進むことができないためその場にとどまっているように見えるのでしょうか?

この画質だとここら辺が検証の限界ですが、オカルトライターのおかゆうさんが現地調査をされている動画を見つけました。

おかゆうさんの動画によれば東播磨漁業協同組合の川崎さんが言っていた通り川幅こそ200メートル以上もあるものの、河口付近は非常に浅く川岸近くは膝程度、川の中央付近でも1~3メートルしかないとのこと、確かに大型の海生哺乳類やサメでは座礁してしまいそうです。

さらにおかゆうさんが現地に行ってみると非常に多くの流木が川岸に打ち上げられており、また浅い川底に引っかかったままの流木も多数発見されていました。

干潮時は水位がさらに下がることにより川底に引っかかった流木が顔をのぞかせ、これが細長い生物、ムッシーの正体ではないかと推測しています。

確かにムッシーは体を左右に波打って泳いでいるように見えるものの前後どちらにも進行しておらず、これが川底に引っかかった流木であれば説明がつきます。

というわけでムッシーは流木の可能性が高そうですがご当地UMAとしてこれはこれでありでしょう。

(参照サイト)



2024年11月27日水曜日

寝転んだら二度と起き上がれない ~ ハガグ


■寝転んだら二度と起き上がれない ~ ハガグ

北米大陸の主に五大湖周辺に伝わる民間伝承の生物群、フィアサム・クリッター (Fearsome critters)。

今までにもジャッカロープフープスネークジョイント・スネークアグロペルターカクタス・キャットファー・ベアリング・トラウトスノリゴスター等々、フィアサム・クリッターはたくさん紹介してきましたが、今回はその中でも代表格のひとつハガグ (Hugag) を紹介します。

ハガグはアメリカ、ミネソタ州とウィスコンシン州に棲息するといわれる姿も大きさもヘラジカに似た生物です。

しかし一見するとヘラジカに似ているハガグですが、上顎が分厚く地面と干渉してしまい通常ヘラジカが主食とする地面に落ちた果実や草を食 (は) むことができません。

といっても何かを食べなければ死んでしまいます。

そのためハガグは摂食時に上顎が干渉しない小枝であるとか樹皮を食べるといいます。

しかしなんといってもハガグの体で最も特徴的なのは四肢です。

彼らの四肢は短く、しかもその脚には関節がないため寝転ぶことができません。

厳密に言えば寝転ぶことはできますが、寝転んだが最期、関節のない棒のように柔軟性のない脚では二度と起き上がることができず、そのまま餓死してしまいます。

つまりハガグは常に立っていることを強要された悲しき動物なのです。

しかし彼らとて力を抜いて休息を取りたい時があります。

どうすればいいのか?

森の中で休息をとる方法はただひとつ、木に寄りかかることです。

力を抜いても棒状の四肢は体を支えてくれ、寄りかかってさえいれば転ぶ心配はありません。

しかしこの習性は仇にもなります、ハガグ狩りをする人間のハンターたちはその習性を逆手に取り木に切り込みを入れておくのです。

何も知らずに休息を取ろうと切り込みの入った木に寄りかかったが最期、ハガグの体重に耐え兼ねた木は折れ、ハガグはひっくり返ってしまいます。

罠を仕掛けたハンターは翌朝足をばたつかせもがいている哀れなハガグを見つけることでしょう。