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2019年12月6日金曜日

イケメンほど気持ち悪い ~ クロスジヒトリ

(image credit by Newsweek)

■イケメンほど気持ち悪い ~ クロスジヒトリ

一時話題となった昆虫。

写真だけ見るとこんな生物いるはずがない、フェイクだ、とすら思わせるガ、クロスジヒトリ (Creatonotos gangis) です。

ハリガネムシのような寄生生物が腹部を突き破って出てきているようにも見えますが、正真正銘、クロスジヒトリの所有物、からだの一部です。

クロスジヒトリはアジアからオーストラリアにかけて生息する翼開長4センチ程度のそれほど大きくないガの仲間です。

腹部から突き出た触手全体が毛むくじゃらであることがさらに気持ち悪さを増幅させます。

この腹部から突き出る4本の触手状の器官は、メスを惹きつけるためのフェロモンを発するコアマタ (もしくはコレマタ, coremata) と呼ばれる発香器官です。

よって、これを持っている時点で、オスのガであることが分かります。

個体によっては自分の体長以上の巨大なコアマタを持つものもいます。

コアマタの大きさ、性能 (フェロモンの量) は幼虫時代にいかにたくさん栄養を摂取しているかで決まります。

コアマタが大きいほどメスにモテるわけで、これは「コアマタが大きい=育った環境がよく体も大きい=子孫を残すのに有利」といえるわけで、理にかなった自然の摂理といえます。

逆に貧困な少年時代 (幼虫期) を過ごしたクロスジヒトリはコアマタも小さく、フェロモンもほとんど発する能力を持たないといいます。

女子が寄ってくるわけもなく、一生モテないこと確定です。

判官贔屓な日本人ならモテないであろう小さなコアマタを持つ貧乏クロスジヒトリのためにメスをつれてきてあげたくなるに違いありません。

そんな不憫なオスを発見したら是非ともメスを探してきてあげてください、無理だと思いますが。

そういうわけで人間の目にグロテスクに映るクロスジヒトリほど、そのクロスジヒトリはメスにとっては超イケメンであり、有能なオスなのです。

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