2020年5月4日月曜日

狂気の野獣 ~ アダラテリウム・フイ

(image credit by Denver Museum of Nature & Science)

■狂気の獣 ~ アダラテリウム・フイ

恐竜と時代をともにした哺乳類は概ね小柄です。

大抵は現世のネズミサイズ、しかしそんな中でもビンタナ・セルティチ (Vintana sertichi) やレペノマムス・ギガンティクス (Repenomamus giganticus)、ディデルフォドン・ボラクス (Didelphodon vorax) などは大柄なほうでした。

特にマダガスカルで発見されたビンタナ・セルティチは9キロにもなりその時代では規格外の哺乳類でした。

その姿は北米原産のウッドチャック (Marmota monax) に似ていたと推測されています。

ちなみにビンタナはたまたま「運良く」発見されたことから、マダガスカル語で「幸運」を意味する「vintana」がそのまま学名となりました。

(image credit by Denver Museum of Nature & Science)

今回上記の巨大な哺乳類たちの仲間入りをする生物が発表されました、アダラテリウム・フイ (Adalatherium hui) です。

アダラテリウムはマダガスカル北西部にあるマエヴァラノ累層 (Maevarano) と呼ばれる6600万年前 (白亜紀末期) の地層から発見されたもので、その姿はおそらく現世のアナグマに似ており、サイズは飼い猫ぐらい、体重は3.1キロと推測されています。

アダラテリウムもビンタナと同じマダガスカルに生息しており、また両者ともゴンドワナテリウム亜目に属します。

ゴンドワナテリウム亜目としてほぼ全身の骨格が発見されたはじめての生物となります。

このアダラテリウムという学名はマダガスカル語とギリシア語で「クレイジー・ビースト (crazy beast)」という意味だそう。

この生物はデンバー自然科学博物館 (the Denver Museum of Nature and Science) の学芸員、デビッド・クラウス (David Krause) 氏によって発見されたものですが、発掘されたのはなんと1999年。

なぜ今頃になって発表したのか?

共同研究者であるモナッシュ大学のアリスター・エヴァンス (Alistair Evans) 准教授によれば、ゴンドワナテリウム亜目の生物は断片的にしか知られていなかったため、復元はもとより、どういった生物か、生態はいかなるものだったか、そういったことを理解するのに20年も要したということです。

一般的に古生物で人気があるのは「強い」「巨大」「個性的」のいずれか、もしくはこのうち複数を持ち合わせているものであり、アダラテリウムの出る幕はありません。

しかし強くはなかったかもしれませんが、時代背景を考えれば哺乳類としては「巨大」であり体の構造は非常に「個性的」、ぜひ注目してみてください。

(参照サイト)
SCI NEWS
news.com.au

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