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2025年1月31日金曜日

巨大キーウィは存在するか ~ ロア・ロア


■巨大キーウィは存在するか ~ ロア・ロア (ロアロア)

飛べない鳥、走鳥類 (平胸類) といえばアフリカのダチョウ (Struthio camelus) がやはり有名です。

他にも、ニューギニアを中心にインドネシアやオーストラリアに棲息するヒクイドリ (Casuarius casuarius)、オーストラリアのエミュー (Dromaius novaehollandiae)、南米のレア (Rhea americana) なんかがいます。

絶滅種であればなんといってもエピオルニス (Aepyornis) が有名です。

エピオルニス科の最大種、ヴォロンベ・ティタン (Vorombe titan) は体重800キロなんていわれています。(ヴォロンベ・ティタンは今後エピオルニス・マクシムス (Aepyornis maximus) に再分類されるかもしれません)

(ヒクイドリ)
(image credit: Wikicommons)

体重は遥か届きませんが、背の高さだけならニュージーランドのジャイアント・モア (Dinornis maximus) で最大4メートルに達したともいわれています。

さて絶滅種に話が飛びましたが現生の走鳥類がひとつ抜けています、ニュージーランドのキーウィ(Apteryx) です。

現生種の走鳥類の中で突出した小ささで体高は40~45センチとニワトリほどしかありません。

(ヒクイドリの卵)
(image credit: Wikicommons)

しかしこのキーウィを巨大化させたような走鳥類系のUMAがいるといいます。

今回の主役、ロア・ロア (Roa-roa) です。

目撃証言によるとロア・ロアの体高は七面鳥ほど (約1.2メートル) で、5種知られるキーウィの中で最も身長が高いのがオオマダラキーウィ (Apteryx haastii) の45センチの3倍近いの大きさがあります。

色はグレーであったり濃紺であったりとあまり一定してないようですが、膝のあたりまで羽毛で覆われているといいます。

人間が持ち込んだイヌやネコといった外来種から既知のキーウィたちは身を守る術がないのに対し、ロア・ロアはそのキーウィとしては巨体であり野犬たちとも互角以上に渡り合えるといいます。

ヒクイドリのナイフのようなカギ爪は時に人間をも殺傷することがありますが、ロア・ロアもまた鋭いかぎづめを有し、外敵と戦う場合は飛び上がってカギ爪で応戦するといいます。

但し、どこからどうみても平和そのものに見えるキーウィはその見た目通りカギ爪は持ちません。

(アップランドモアの足)
(image credit: Wikicommons)

こういった事実から、未確認動物学者ベルナール・ユーヴェルマンス (Bernard Heuvelmans) 博士はロア・ロアの正体として小柄なモア、ブッシュモア (またはリトル・ブッシュ・モア, Anomalopteryx didiformis) を、カール・シューカー (Karl Shuker) 博士はアップランドモア (Megalapteryx didinus) をそれぞれ候補に挙げています。(※どちらも和名が不明なので英名で読んでいます。無理矢理和名にするならそれぞれ「ヤブモア」と「コウチモア」です)

ブッシュモアは体高が1.3メートルとほぼ七面鳥サイズ、アップランドモアはモア最小種のひとつで体高は1メートル未満、いずれも大きさ的にはロア・ロアに近いものです。

またモア類は足の爪もキーウィと比べ発達していることからもロア・ロアを「大柄なキーウィの仲間」と考えるよりも「小柄なモアの仲間」と考えた方が習性的にも近そうです。

尚、はっきりしないもののブッシュモアもアップランドモアもジャイアントモア (Dinornis maximus) と同時期 (16 ~18世紀?) にマオリ族により絶滅させられたと考えられています。



(関連記事)



2025年1月30日木曜日

発砲されてもただじっと見つめ返す ~ ウルフ・ディア


■発砲されてもただじっと見つめ返す ~ ウルフ・ディア

1951年、アメリカ、オクラホマ州キャルメット (Calumet) で農場を営むラウブ (Laub) 夫妻の農場に不思議な生物が現れました。

目撃したのは夫人の方です。

「体高はハイイロオオカミぐらい、体重は推定50~60ポンド (約23~27キロ)、シカのように細長い脚をもち、体型はイヌに似ていました。

頭部は形状も大きさもシカと同じぐらい、でも尖った小さな耳はシカのそれとは異なりました。

体毛は赤褐色、尾だけは黒くウマのようにフサフサして、体に不釣り合いなほど大きなものでした」

分かるような分からないような、、、UMAにありがちな巨大であったり、パラノーマルな特徴を持つわけでもなく「ちょっとばかり風変わりなシカ」もしくは「ちょっとばかり風変わりなオオカミ」といった雰囲気が伝わってきます。

これをウルフ・ディア (Wolf deer) といいます。

至近距離での目撃であり、お互いに2分ほど見つめ合ったといいます。

しかし夫人は我に返ると、牧場の牛たちが襲われやしないかと心配になり、大きな枝を拾い上げるとウルフ・ディアに向かって投げつけました。

驚いて牧場から逃げてくれることを期待してのものでした。

しかしそうはなりませんでした。

投げつけられた枝は見事にウルフ・ディアに命中、しかし微動だに反応せず、ラウブ夫人を見つめたままだったからです。

この光景を見てはじめてラウブ夫人はゾッとしたようです。

「ちょっとばかり風変わりなシカ」もしくは「ちょっとばかり風変わりなオオカミ」との考えが大きく後者に振れたに違いありません。

夫人は踵を返し、追いかけて来やしないかと不安になりながら速足で自宅に戻ったといいます。

夫に話すと、実は同じようなものを2年ほど前に見たことがある、という意外なこたえが返ってきました。

オクラホマ州での目撃は夫妻による2度の目撃だけでその後報告されることはありませんでした。

(タテガミオオカミ)
(image credit by Wikicommons)

しかし1971年3月21日、オクラホマ州から大分北のミネソタ州でウルフ・ディアと思われる動物が目撃されました。

D.R.クラーク (D.R. Clark) 、H.H.クリステンセン (H.H. Christensen) という名の2人の男性が車で走っていたところ、道路沿いを流れる小川の向こう岸にシカが見えました。

しかし近付くにつれ、それが普通のしか出ないことに二人は気付き車を道路わきに停めました。

クラーク氏は車を降り近づいてみることにしましたが、やはりそれは唯のシカではなく、シカとオオカミのハイブリッド的な姿をした動物でした。

車に残ったクリステンセン氏はクラーク氏がなにやらこぶしを振ったり腕を回してウルフ・ディアを威嚇しているようでしたがウルフ・ディアは20年前のラウブ夫人のときもそうだったように、ただジッと見つめ返すだけでなんら反応しませんでした。

クラーク氏はその態度に怒りだすと車に戻り銃を持って戻ると叫びながらウルフ・ディアに向けて何発も発砲しました。

その生物は少し移動し弾丸を避けると、もう弾切れと悟ったのか、クラーク氏の行為を嘲笑うかのように川岸に寝そべりジッとクラーク氏を見ていたといいます。

クラーク氏は怒りと不気味さでそれ以上ウルフ・ディアに構うのをやめ車でその場を立ち去りました。

以前に紹介したアパラチアのノット・ディアに似ていますね。

姿だけであれば南米中部に生息するタテガミオオカミ (Chrysocyon brachyurus) に似ていることからなんらかのアクシデントで動物園等から脱走し野生化した個体ではないか?ともいわれています。

(参照サイト)





2025年1月29日水曜日

地底人?洞窟人? ~ ソンドン洞のデビル・クリーチャー


■地底人?洞窟人? ~ ソンドン洞のデビル・クリーチャー

ベトナムのフォンニャ・ケバン国立公園にソンドン洞 (Hang Sơn Đoòng / Son Doong Cave) と呼ばれる洞窟があります。

この洞窟はつい最近といっていいほどの1991年、当時、沈香 (じんこう) を採るために違法伐採者として働いていたホー・カーン (Hồ Khanh) 氏によって偶然に発見された洞窟です。

幹線道路からかなり離れている上に上空からも判断不可、地形的に近づくのも困難な場所にあったことで長い間発見を逃れてきた洞窟です。

本格的な調査が入ったのは2009年のことで、洞窟の幅は150メートル、高さ200メートル、9キロメートルの長さがあり世界最大の自然洞窟といわれています。

さて、発見も調査もつい最近ということもあり、観光地として一般公開されたのは2013年、まだまだ謎に満ちた洞窟ですがここにUMAが棲息しているといいます。

(デビル・クリーチャー)

その噂が流れたのは2014年に公開された1枚の写真。

この写真はこの洞窟が発見された翌年、つまり1992年に撮影されたものだといい、撮影したのはこの洞窟の発見者、ホー・カーン氏だというのです。

暗い洞窟内ということもありその写真はかなり不鮮明です。

頭部と上半身の一部しか確認できないものの、爬虫類の特徴を持つヒューマノイド系のUMAを彷彿とさせ、アメリカ、サウスカロライナ州のリザードマン (トカゲ男) と似ているかもしれません。

これをソンドン洞のデビル・クリーチャー (Devil Creature of Son Doong Cave) といいます。

長らく人跡未踏だった巨大な洞窟、未知の生物、もしくは地底人・洞窟人といった未知の人種が棲息しているのでは!?

とはいえ、たった1枚の写真であり、本当にそれが生物を写したものだったのか、それとも心霊写真等に多いパレイドリア (無秩序なパターンを既知のパターンに当てはめて、そこに何かがあるように錯覚してしまう心理現象) の産物だったのか判断が難しいところです。

但し、UMAファンには悲報があります、この「ホーカン氏により撮影された」というバックグラウンドストーリーはかなり信憑性が低いと言わざるを得ないのです。

というのも、ホー・カーン氏はこの洞窟を偶然に見つけて以来、長らくその場所を特定できず再訪することができていなかったのです。

2006年、新たな洞窟探索を行っていたイギリス洞窟研究協会がホー・カーン氏が発見したという伝説の洞窟の噂を聞きつけ、カーン氏と共同で探したもののそれでも見つけることはできず、ホー・カーン氏が単独で3年後の2009年になってやっと見つけたほどでした。

つまり発見した1991年から2009年の間、ホー・カーン氏はこの洞窟に訪れておらず、1992年に撮影されたというストーリーは矛盾しているのです。

というわけで、絶対ではありませんが誰かがホー・カーン氏の名を使ってデビル・クリーチャーを捏造した可能性があります。

ちなみにホー・カーン氏はこの洞窟を発見後、違法伐採から足を洗い真逆の自然保護活動家に転身、現在では自らが見つけた洞窟の観光ツアー業を行っています。

(関連記事)


2025年1月28日火曜日

車をひっくり返すほど怪力のハイラックスがいるらしい ~ ディブ


■車をひっくり返すほど怪力のハイラックスがいるらしい ~ ディブ

今回は東アフリカ、特にソマリア、エチオピアで目撃されるUMA、ディブ (Dib)。

パラノーマル感はほとんどなく、実在しても全くおかしくないUMAですが、こういっちゃなんですがその分神秘性は薄れます。

現地のソマリアではデワホ (dewacco) と呼ばれ、その姿はハイラックス (Hyracoidea) に似ているといいます。

ハイラックスは中東、アフリカに生息する生物で、和名の「イワダヌキ」というほどタヌキそっくりではありませんが「耳の小さな短毛のタヌキ」といった雰囲気はあります。

むしろプレーリードッグやウッドチャック、マーモットなんかの齧歯類に似ているかもしれません。

実際上顎の門歯は一生伸び続け (下顎の門歯は成長が止まる) 齧歯類を思わせますが、その目見た目大きさにも関わらず、解剖学的にはむしろゾウやカイギュウに近いともいわれています

さて目撃情報からディブの体長は1.2メートル、肩高0.6メートル、中型犬ぐらいで全くもって現実的な大きさです。

ですがハイラックスは最大で0.7メートルほど、ディブの正体がハイラックスの現生種と考えるには少々大き過ぎるかもしれません。

さらにいえばディブはそれほど大きくないにもかかわらず獰猛で、車の下に潜って車をひっくり返すほど力が強いなどといわれています。

この辺りの大きさと怪力具合のアンバランスさにパラノーマル感があっていかにもUMA的でいい感じです。

というわけでUMAの正体としては定番の絶滅種、今回はハイラックスの祖先3種を紹介しましょう。

まずはギガントヒラクス (ギガントハイラックス, Gigantohyrax)、現在の南アフリカに生息していたハイラックスの祖先で、「ギガント」という名前の割にはそれほど大きくなく体長は1メートルを超えるほどでした。

しかし現生種と比較すれば全然大きいのは確か、候補のひとつとして申し分ないです。

お次はメガロヒラクス (メガロハイラックス、 Megalohyrax)、こちらは「メガロ」の名に恥じぬ巨大さでバク (Tapiridae) を少し小柄にした程度、体長は1.5メートルほどもあるハイラックスでした。

こちらは候補としては申し分ないどころかUMAよりデカいです。

最後はティタノヒラクス (ティタノハイラックス, Titanohyrax)。

学名に「ギガント」「メガロ」と「巨大」を意味する形容詞を冠したハイラックスの祖先が続きましたがこちらは「ティタノ」とこれまた「巨大」を意味する形容詞を冠したハイラックスです。

メガロヒラクスでも十分大きかったですが、ティタノヒラクスはさらにその上を行き、ティタノヒラクスの最大種ティタノヒラクス・ウルティムス (Titanohyrax ultimus) は1.3トンに達したと考えられています。

ハイラックスの現存種は最大個体で70センチ、その多くは30~60センチぐらいしかありませんからとてつもない大きさであることが分かるでしょう。

UMAのディブの方はというと1.2メートルほど、こんなに大きくなくてもいいんです。

目撃例が救いなうえに、目撃の多いソマリアが政情不安により生物学者が気軽に足を踏み入れることができる国とは到底言い難いことを考慮すると、ひょっとすると新種の大型のハイラックスが潜んでいる可能性も無きにしも非ず。

あとは現存種で考えられるものとしては小型の生ける重戦車ラーテルことミツアナグマ (Mellivora capensis) といったところでしょうか。