■墓場バッタ ~ デビル・ホース
北米にロマレア (Romalea) という体長が8センチ近くまで成長する大型のバッタがいます。
湖のバッタは、一般的に成虫はラバー・グラスホッパー (lubber grasshopper) と呼ばれますが、これは「ノロマのバッタ」という意味で、かれらが飛翔することもなければ跳ねることも稀 (まれ) で、バッタらしからぬノロノロとした動きに終始することに由来します。
ちなみに飛ぶ気がないのではなく、羽が短く物理的に飛翔できません。
もちろん逃げも隠れもせず堂々としていられる理由はいくつかの防衛機能をもっているからです。
まずは体色。
育った地域や環境により、個体の色は大きく異なりますが、基本は黒地に黄色もしくはオレンジのアクセントが入った警戒色を身にまといます。
(image credit by YouTube "jplaloca")
警戒色など気にもせず近づいてきた天敵には後肢と羽を擦り合わせることにより警告音を発します。
この2つの防衛機能の効果がないとみるや、「一応」毒を持っているので (以前に紹介した毒バッタ、フィマテウスほどの猛毒ではありませんが)、天敵に向かって悪臭をスプレーし撃退するという3段ディフェンスです。
このロマレア、ノロマのバッタ以外にも、「墓場のバッタ (graveyard glasshopper)」「悪魔 (diable)」「黒い悪魔 (black diable)」「悪魔の馬 (devil horse ※英語)」「悪魔の馬 (cheval diable ※フランス語)」等々、数多くの愛称を持ちます。
このダークなあだ名は、ロマレアが特に幼虫時代、黒光りする漆黒の体色に由来します。
成虫は前述のように黒地に黄色のアクセントが入った警戒色をまとうのが基本ですが、黄色のアクセントがあまり目立たないほぼ全身漆黒の成虫も少なくありません。
北米ではときに大発生し農作物に甚大に被害を与えることもある迷惑な存在ですが、大柄で存在感があり、黒が映える超かっこいいバッタです。
(参照サイト)
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