2022年9月16日金曜日

地中に生息し、人間の屍を喰らう犬 ~ アース・ハウンド


■地中に生息する人間の屍を食べる犬 ~ アース・ハウンド

日本は国土がそれほどでもない (世界61位) 割には人口の多い国 (世界11位) で隈なく探されているためでしょうか、UMA (未確認生物) がとっても多い国です。

イギリスはさらに日本より国土が狭く (世界80位)、人口も日本の2/3 (世界21位) ですが、さすがネッシー (Nessie, Loch Ness Monster) の故郷であるスコットランドを含むだけに目撃されるUMAの種類が大変多い国のひとつです。

日本もイギリスも「堅苦しく真面目そう」なイメージを抱かれがちですが、意外と遊び心はあるんです。

今回はそのイギリスからアース・ハウンド (Earth hound)、「地中の犬 (猟犬)」です。

その名の通り、地中に生息する犬 (hound) で、目撃証言での大きさに多少ばらつきはあるものの、ネズミぐらいの大きさから大きくてもウサギ程度というのが専らの噂であり、水生UMAの3メートルから10メートルといった幅のあるのではありません。

ネズミぐらいでありながら、頭部はまさに犬であり、四肢、特に前肢はモグラのように地中に穴を掘るのに適したものだといわれています。

尾はネズミのように長いというものから、体に対して犬ほどの割合でネズミのそれより短いというものまであります。

どうやって確認したのか分かりませんが、墓地に生息し人間の「新鮮な屍体」を喰うという、ホラー的な要素を持ち合わせており、いかにもUMA的な生物です。

とはいえ、19世紀末より今日に至るまで幾度と目撃されており、「なにか」が目撃されていることは疑いようもありません。

イギリスで地中に穴を掘る哺乳類といえばやはりアナグマ

大きさ的にも、特に成体まであと少しというものであれば大きさ的にも生態的にもかなりいい候補となります。

しかし、「未確認動物学者としては」という断りは入るものの、かなり生物学の知識を持ち合わせるカール・シューカー氏が、アナグマ (ヨーロッパアナグマ, Meles meles) が出るような地域に住む田舎の人々が「見慣れたアナグマを誤認するはずがない」と一蹴しています。

とはいえ、日本にもイタチやタヌキ、外来種のアライグマなんかたくさん生息していますが、通常の生活でなかなか目にするものではありません。

たくさん生息しているからと言って、見慣れた生物とは限りません。

そういうことを考慮すると土着のアライグマでも誤認する可能性は否定できません。

頭部が犬に似て「ブタの鼻」のようだという証言もあります。(まぁもともとモグラはブタ鼻に見えますけど)

ネズミとウサギの中間の大きさで頭部がブタ?

もしかして英語で「ギニア・ピッグ (Guinea pig, 「ギニアのブタ」)」ことモルモットのことでは?

(ブタバナアナグマ)
(image credit by Wikicommons)

南米原産のモルモットは16世紀にはヨーロッパに導入されたといわれていることから、18世紀以降にヨーロッパで目撃されるようになったアース・ハウンドの正体としてモルモットは決して見当はずれな生物ではありません。

なにせ「ギニアのブタ」ですものね。

しかし、モルモットはアース・ハウンドとは異なりそもそも尾がないですし、ピッグと名前がついているものの実は見た目が「ブタ」に似ているからそう呼ばれているわけではないともいわれています。

というのも、学名の(Cavia porcellus) の種小名はラテン語で「子豚」を意味し、またポルトガル語でも「インドの子豚」と呼ばれていることに由来するといわれているからで、鳴き声から来ているとも。

(知らなければ一体何なのか分からないマーラ)
(image credit by Wikicommons)

ヨーロッパアナグマを除くと土着の生物でアース・ハウンドと誤認する生物はなかなか見当たりません。

アース・ハウンドの正体として未知種のアナグマ・モグラの可能性を残しながら、導入種や外来種としてその特徴から野生化した前述のモルモットにくわえ、奇妙な姿のブタバナアナグマ (Arctonyx collaris)、そしてマーラ (Dolichotis patagonum) を挙げておきましょう。

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