■2.5トンの巨大ネズミ ~ ヨセフォアルティガシア・モンセイ
今回はヨセフォアルティガシア・モンセイ (Josephoartigasia monesi) です。
旧サイトで「ジョセフォアルティガシア・モンセイ (Josephoartigasia monesi)」として紹介していたものですが、ヨセフォアルティガシア・モンセイに改めます。
現在まで知られるあらゆる齧歯類の中でもっとも巨大であったのがヨセフォアルティガシア・モンセイです。
鮮新世から更新世前期にかけて約400万~200万年前まで南米ベネズエラ付近に生息していました。
体長は以前に紹介したフォベロミス・パッテルソニ (Phoberomys pattersoni) とほぼ同じで体高1.5メートル、体長3メートルと考えられています。
ただし、発見されているのは53センチもある頭骨のみであり、今後、全身の骨が発見されることにより値は大きく変わるかもしれません。
このような状況下であるため、ヨセフォアルティガシアの推定体重も研究者によってかなりのばらつきが見られます。
最も軽く見積もっているもので350キロ、最も重く見積もっているもので2586キロ、その開きは2トン以上もありますが、現在では1トン弱ぐらいが有力と考えられています。
ほぼ同体長のフォベロミス・パッテルソニが700キロぐらいと見積もられていることから、ヨセフォアルティガシアのほうが重いであろうという現在までの推測です。
一般的な乳牛・肉牛で700キロ前後なので「牛たちより一回り大きいネズミ」と考えたほうが実感が湧くかもしれません。
また前歯 (門歯) だけで10センチ以上もあり、咬合力 (こうごうりょく, 「咬む力」のこと) は現世のトラの3倍と見積もられています。
とはいえ、臼歯が発達していないことから水生植物や果物といった柔らかい植物を専門に食べていたと考えられており、この強力な門歯と咬合力は、穴を掘ったり肉食動物からのディフェンスに利用されました。
(パカラナ)
(image credit by Benjamin Frable)
ヨセフォアルティガシアは現世の「パカラナ (Dinomys branickii)」と類券関係にあることからジャイアント・パカラナ (giant pacarana) とも呼ばれます。
パカラナは南米に生息する大柄な齧歯類で、体長は最大80センチ (平均50センチ)、体重15キロ (平均13キロ) にも成長します。
パカラナの背中にはウリ坊のような模様があるため、ヨセフォアルティガシアの復元にもこの模様が入っている場合が多々見受けられます。
(パカ)
(image credit by MVHS-CR)
ちなみにパカラナは「偽物のパカ」という意味で、同じく齧歯類の「パカ (Cuniculus paca)」とその姿が瓜二つなことに由来します。
ところでヨセフォアルティガシアの頭骨が発見されたのは1987年ですが、モンテビデオ自然史博物館に保管されてからなぜか20年以上ほどほったらかしの憂き目にあい、2008年になって再発見、ようやく新種と認められることになった生物です。
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