■爆弾探しはサイボーグ可された昆虫 ~ サイボーグ・イナゴ
つい先日、カエルの細胞から創られた生体ロボット「ゼノボット」が話題となりました。
(ゼノボットの記事はこちら)
100%生体から創られているにも関わらず、通常のロボットのように人間によるプログラミングによる制御が可能です。
現在の大きさは1ミリ未満と顕微鏡サイズですが、今後大きく発展する可能性を秘めています。
(image credit by Baran Lab via The Washington Post/OneZero)
これと似たようなものに、2016年からスタートしたイナゴのサイボーグ化プロジェクトがあります。
アメリカ、ワシントン大学が研究するバイオロボティクスのひとつで、イナゴの優れた臭覚を爆発物探知に利用する研究です。
ゼノボットと異なり生体から創るのではなく、生体そのものにロボット (機械) を組み込む、いわゆる一般的に想像される「サイボーグ」のイメージに近いものです。
プロジェクトスタートから4年、スタート時はその奇抜な発想から世界的注目を集めるも、以降目立った動きはなく頓挫 (とんざ) したのでは?
しかしプロジェクトは着々と進行していました。
そもそも、なぜこのプロジェクトに選ばれたのがイナゴなのか?
まずはこの「イナゴ」ですがどの種のイナゴかは分かりません、単にアメリカン・ローカスト (American locust 「アメリカのイナゴ」の意) と書かれています。
ただし日本人がイナゴと聞いてイメージする小さなバッタとは異なり、ワタリバッタ (アフリカ等で大量発生するあのでかいバッタ) のような巨大種です。
この大きな体躯こそイナゴが選ばれた理由の一つで、それは彼らが非常に「頑健」であり「重い荷物を運ぶことができる」能力を備えているからです。
そしてもうひとつ、これこそもっとも大事なポイント、かれらは50000もの臭覚ニューロンを備えており、現時点で人間が人工的に作ることができる、いかなる臭覚センサーよりも感度が高いからです。
イナゴの脳に比較的簡単なインプラント手術を施すことによって爆弾を嗅ぎ分ける能力を身に着けさせることに成功、このサイボーグ・イナゴが実用段階まであと一歩というところまで来ているといいます。
一般的にテロリストたちが爆弾を作成する際に使用する硝酸アンモニウムや軍用爆発物TNT (トリニトロトルエン) およびRDX (シクロトリメチレントリニトロアミン) 等によって放出されるガスをサイボーグ・イナゴは嗅ぎ分けることができます
人間側はイナゴが感知したデータを遠隔で受け取ることができるわけで、理屈としてはイナゴを爆弾探知犬のように利用できます。
しかしサイボーグ・イナゴの寿命はインプラント後7時間程度、また行動制御の難しさ等、このままでの実用化は難しそうです。
この「短命」を克服するにはイナゴへの負担を軽減する新しいインプラント手法を構築するか、インプラント後に食物を摂取できるようにするか等が検討されているといいます。
「行動制御」については車輪付きの台座に乗せて移動させることで解決できるものと考えています。
しかしこれは現実的ではないようです。
研究者はこのサイボーグ・イナゴという生体そのものにロボットを組み込む手法よりも、ロボットにイナゴの臭覚センサー等一部の生体を組み込むほうが現実的だと考えているからです。
(参照サイト)
Daily Mail
OneZero
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