(冬眠するリストロサウルス。ゆるキャラみたいでかわいい)
(image credit by Crystal Shin)
■リストロサウルスは冬眠したに違いない
今回はまるで顔面の先端を切り落としたような、もしくは正面から押しつぶしたような、そんな個性的なルックスのリストロサウルス (Lystrosaurus) です。
多くの恐竜を差し置いて食玩UHA味覚糖のチョコラザウルス第3シリーズでフィギュア化もされたことで日本では一般的にもそこそこの知名度はあるかもしれません。
(UHA味覚糖チョコラザウルスのリストロサウルスのフィギュア)
(チョコラザウルスは一体成型ではなく組み立て式というのが楽しい)
チョコラザウルスは造形のクオリティはもちろんのこと、定番の古生物を押さえつつもときおり見せるマニアックなラインナップが魅力のひとつです。
カラーリングも独創的で、このリストロサウルスは半透明樹脂に着色することで透明度のある淡いオレンジ色に仕上がっており非常に映えます。
このクオリティで当時150円程度で売られていたと思うと信じがたいですよね。
さてリストロサウルスの話に移りましょう。
リストロサウルスは名前こそ恐竜そのものですが、その名とは裏腹に恐竜ではなく単弓類で、恐竜がまだ地球上に登場する以前の三畳紀前期の2億5千万年前ほどに繁栄していました。
通常、体長は1メートル前後ですが最大種では2.5メートルもありました。
一般的な記事で取り上げられることはまずないため、おそらくそれほど人気もないと思われるリストロサウルスですが、現在とても話題となっています。
(リストロサウルスの骨格)
(image credit by Rama/Wikimedia)
なんでもリストロサウルスが冬眠をしていた可能性を示唆する証拠が見つかったというのです。
これが本当であれば冬眠というのが比較的最近になって獲得した機能であるという説は覆されることになります。
内容が難しくて誤訳しているかもしれないので簡単に書きます。(間違っている部分は後で直します)
ハーバード大学のミーガン・ホイットニー (Megan Whitney) 氏とワシントン大学のクリスチャン・シードル (Christian Sidor) 氏の両研究者は、南極圏に生息していたリストロサウルス6体と南アフリカに生息していたリストロサウルス4体の牙をスライスし断面を詳細に調査しました。
両地域のリストロサウルス共に牙の断面には年輪のように同心円の成長模様が刻まれていることを確認しましたが、南極圏のものには南アフリカの個体には見られなかった間隔の狭い同心円が密集し太いリングが刻まれていることに気付きました。
ふたりによればこの分厚いリングは象牙質の沈着が少ないこと = リストロサウルスが長期に渡ってストレスを受けていたことを示唆するものだといいます。
何をいいたいかというと、これは冬眠をする現生動物の歯にも同様の徴候が見られることから、リストロサウルスも冬眠していた証拠になるのではないか、そういうことなのです。
とはいえこのことをもってリストロサウルスが冬眠していたことは決定的ではなく、あくまで仮設であるということをホイットニー氏は強調します。
また冬眠したのがリストロサウルスに限定されることでないことも同時に言及しています。
つまりはリストロサウルスの冬眠について研究している現時点では、少なくともリストロサウルスは冬眠という能力を獲得していたのではないか?ということをふたりは言っているのです。
また当時の南極は現在より遥かに温暖であり一部の地域には森林さえ存在して (いたと考えられて) おり、冬眠自体必要があったのかという疑問も生じます。
しかし現在よりも温暖であった当時でも南極では多くの時間太陽が昇らなかったため、高地に生息していた多くの脊椎動物は冬眠が必要だったはず、とホイットニー氏は考えています。
(参照サイト)
Live Science
UW NEWS
(関連記事)
リストロサウルスはペルム紀の大量絶滅を生き残った生物として知られていますからね、冬眠は乗り越えるための術だったのでしょうか。
返信削除この時代リストロサウルス類だらけだったみたいなので多様性も生まれたのかもしれませんね。
返信削除