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2025年12月24日水曜日

触れれば感電死 ~ エレクトリック・ツリー


■触れれば感電死 ~ エレクトリック・ツリー

強力な電気魚(強電気魚)といえば、デンキウナギ(Electrophorus electricus)、デンキナマズ(Malapterurus electricus)、そしてシビレエイ(Narke japonica)などが有名です。

強電気魚は獲物や天敵を感電(麻痺)させる強力な電圧をかけることができますが、そこまで強力でない放電能力を持つ魚類(弱電気魚)も意外と多く、決して珍しい存在ではありません。

しかし、植物が放電するとしたら?
しかも強電気魚のような強力な電圧を放つとしたらどうでしょうか。

― 密林の奥で起きた異変 ―


1885年、フォン・イマー・ガッセンデ(Von Immer Gassende)中尉率いるドイツの探検隊が、パプアニューギニアの奥地で衝撃的な植物を目撃した記録が残っています。

探検隊のメンバーのひとりとして、著名なアメリカ人地質学者ヘンリー・バーナード・キュメル(Henry Barnard Kummel)博士も帯同していたといいます。

パプアニューギニア探検開始から12日目のこと、探検隊は久しぶりに密林から解放された開けた土地に到達しました。

切り開かなければ前進できない道なき道を進み、疲弊しきった一行にとって、そこは砂漠のオアシスのような場所でした。

しかし、そう思ったのも束の間、コンパスが不安定に動き始めるという異変が起き始めたのです。

まあ、富士の樹海に入るとコンパスが効かなくなる、なんて都市伝説があるぐらいで(実際はそんなことはありません)、ありがちな話ではあります。

ただし彼らの場合、密林から開けた場所に出た途端にコンパスがおかしくなるという、逆パターンでした。

― 電気を帯びた大樹 ―


異変はコンパスだけではありませんでした。

いくら開けた場所とはいえ、先ほどまで動物たちの鳴き声で溢れていた環境が、異常なほど静まり返っていたのです。

さらに、開けた地面には動物の死骸や骨がいくつも散乱していることに気付きました。

不審に思いながらも、各自が束の間の休息を取っていたその時、キュメル博士は動植物のサンプル採取を行っていました。

すると、見たことのない種の大木が生えていることに気付きます。

探検隊のメンバーがその木の表面を削り取ると、内部には炭素のような黒い芯が通っていました。

試しにその芯に触れた刹那、メンバーは激痛とともに悲鳴を上げます。

何が起きたのか分かりませんでした。

同じことをした別のメンバーの中には、気を失った者もいました。

興味を持ったガッセンデ中尉は、もしやと思い、銅線を使ってその炭素芯を調べたところ激しく反応。

内部に電流が流れていることが判明します。

それはまさしく、エレクトリック・ツリー(Electric Tree)だったのです。

この未知の植物は、後にエルサシア・エレクトリカ(Elsassia electrica)と名付けられました。

― 夢のエネルギーと消えた証拠 ―


しかし、隊長であるガッセンデ中尉が体調を崩したことにより長期滞在は不可能となり、探検隊は撤退を余儀なくされます。

彼らはエレクトリック・ツリーのサンプルを採取し、帰途につきました。

この謎の樹木の存在が本国に伝わると、大規模な植林によって発電所として機能させられるのではないか、という夢のような計画が持ち上がったといいます。

――話はここまで。

巨大なエレクトリック・ツリーが整然と立ち並ぶ植物電力プランテーション。
それはそれは壮大な景観に違いありません。

まさにクリーンエネルギーです。

しかし――

持ち帰られたという唯一の証拠、エルサシア・エレクトリカのサンプルは行方不明。

キュメル博士は実在する地質学者ですが、パプアニューギニア遠征に参加した記録は確認できていません。

ガッセンデ中尉に至っては、その存在自体が不明です。

確実な目撃者が複数存在するUMAとは異なり、この話はやや客観性に欠けるのも事実でしょう。

とはいえ、もし実在していたとすれば、UMAどころではない大発見となり、世界中が驚愕することは間違いありません。

UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)


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2025年10月16日木曜日

完璧な美少女の姿の実をつける樹は実在する ~ ナリポン


■完璧な美少女の姿の実をつける樹は実在する ~ ナリポン

今回はナリポン (Nariphon)。

タイの仏教神話に伝わる「美少女の実」をつける樹およびその実の呼び名です。

ナリーポン/ナリー・ポン (Nareepon/Naree Pon)、マッカリポン (Makkaliphon) 等々、タイ語の発音から聞いたまま英語のスペル化されたためでしょうか、呼び名は多岐にわたります。

旧サイトではナリーポンで紹介しましたが、日本ではナリポンが最も一般的な呼び名のようなので、今回はナリポンで紹介します。

生物 (もしくは生物の形状) の実をつける伝説の植物には「ワクワクの木」や「マンドラゴラ (マンドレイク)」「スキタイの羊」等があり、それらと同系統の未確認植物、UMP (Unidentified Mysterious Plants) といえます。

マンドラゴラは実在する植物ですが地下茎 (ちかけい) が人の姿に似ることと致命的な神経毒を持つことから伝説上の植物と勘違いしている人も多いでしょう。

さてこのナリポン、この樹は花が散った数日後、たくさんの実をつけるといいます。

(ナリポンが発見されたとニュースになりましたが、、、)

その実の姿は「完璧な美少女 (具体的には「16歳の乙女」とも)」の姿をしています。

まぁ細かいことを言えば「完璧な美」とはその地域や時代で変貌しますので普遍的なものではありませんから、かなり抽象的な言い回しではあります。

ま、そこら辺は皆さんそれぞれ「完璧な美少女」を思い浮かべてみるといいでしょう。

さて「彼女 (ナリポン)」たちは魔力を持ち、まるで人間のように歌ったり踊ったりすることができます。

しかし、内臓も持ちますが骨はなく非常に柔らかい体をしています、ま、いくら姿こそ人間に似ていても、所詮「植物の実」ですからね。

ナリポンの寿命は僅か7日間、魔力の尽きたナリポンの実は地面に落ちるとみるみる萎み、そしてミイラのようになってしまいます。

(ナリポンのミイラ)




さて、そんなナリポンですが「元」美少女、寿命の尽きた8日目以降のミイラ姿のナリポンがタイの寺院に保存されています。

それは元美少女であった面影は微塵もない醜い手のひらサイズの奇妙なミイラです。

チリをはじめとする中南米で発見されたら地球外生命体と確実に言われそうな代物です。

手足のぐにゃぐにゃ具合は確かに伝承通り骨が入ってなさそうですが、背中側から見ると背骨や肋骨のようなものが体内にあるように見えます。

是非ミイラになる前の「完璧な美少女」姿のナリポンを見てみたいですね~


2025年6月3日火曜日

飛行する透明の翼を持つ種 ~ ハネフクベ


■飛行する透明の翼を持つ種 ~ ハネフクベ

自ら動いて移動することが苦手な植物はその分布する地域を広げるのに種を飛ばすことで達成しようとします。

タンポポのような軽い素材にして風でどこかへ運んで行ってもらったり、美味しい実の中に種を紛れ込ませ鳥や動物たちに食べさせることによって運んだもらったりするのが一般的です。

ウリ科の一種、アルソミトラの仲間でジャワキュウリ (Javan cucumber) ことハネフクベ (Alsomitra macrocarpa) の種子はそのいずれでもない、方法を編み出しました。

タイやニューギニアを中心に自生するこの植物、その実の直径は30センチ、タンポポのように空を舞うのは絶望的な大きさで、この種入りの実を遠くへ運んでもらうには動物に食べてもらうのがいいです。

しかしハネフクベはそんな一般的な方法を選択しませんでした。

かつて人間が空を飛ぶのを夢見たように、この巨体にして彼女は空を舞う夢を諦めなかったのです。

そしてその夢は叶いました。

実の中にある種に翼をつけるという画期的な方法を思いついたのです。

ハネフクベは実の中で、薄く長く成長する包葉 (花序を保護する葉) を種に取付けることに成功しました。

(ハネフクベの種)
(image credit by Wikicommons)

種が熟すころ包葉は乾燥し、まさにブーメランのように両端が湾曲します。

その長さ13センチ、操縦士の種は翼の真ん中に鎮座、いつでも離陸OKです。

実が熟すと、一番下側に亀裂が入り最終的に穴が開くことで翼をもった種たちは空に放たれます。

GO!

そのまま地面に向かって真っ逆さま、、、なんてことにはならず、自然が生んだその絶妙の重さ・形状をもつ飛行機は揚力を得て、放たれた高さよりも高く舞い上がると、失速、急降下、再浮上というサイクルを繰り返し飛び続けます。

その飛行距離は数百メートルにも及び、また、この飛行機は極度の方向不安定性を持ち同時に放たれてもお互いにランダムな方向へと向かいます。

距離的にも方向的にも兄弟姉妹たちとは遠く離れ離れになることで家族間での資源の奪い合いも起こりません。

まさにいいことづくめ、自然が生んだ奇跡の乗り物です。

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2025年2月12日水曜日

魅惑の香りで人間を襲う食人植物 ~ フイ・フイ (ジュイ・ジュイ)


■魅惑の香りで人間を襲う食人植物 ~ フイ・フイ (ジュイ・ジュイ)

南米ボリビアとアルゼンチンに自生するという幻の人喰い植物、フイ・フイ (or ジュイ・ジュイ, El Juy-Juy)。

極端に情報が少ない怪植物ですが、およそ食虫植物もしくは人喰い植物として描かれる不気味なものではなく、その姿はとても美しいといわれています。

伝説によればその美しい容姿を持つフイ・フイは、人間が好む芳香で人間や大型の動物を誘惑します。

その香りには催眠効果を有しており、フイ・フイの元へたどり着いた人間はその場で眠ってしまうといいます。

眠ったが最期、植物は吸盤をもつタコの触手のようなツルを眠りに落ちた人間に巻き付け包み込んでしまうといいます。

と、ありそうにもない植物です。

植物は俊敏な動作が苦手なうえ (ハエトリソウを除く)、力も強くないため大きな生物を仕留めるのは困難です。

大型生物を敢えて狙うなら (真偽はともかく) ライオンを殺すライオンゴロシやヒツジを殺すプヤ・ベルテロニアナのように、獲物の息の根を止めてから栄養を奪うという方法しかないでしょう。

プヤはすべて南米原産の植物で、フイ・フイの伝説のあるボリビア・アルゼンチンにはプヤ・ウェッデリアナ (Puya weddelliana)、プヤ・ディキオイデス (Puya dyckioides)、プヤ・カステラノシル (Puya castellanosii) 等々、まだまだたくさんのプヤ属が自生しています。

プヤ属はパイナップル科で、中には10メートルに達する大型種も存在し、パイナップル科なので甘く心地よい香りをするものもあるかもしれません。

伝説的ながら、プヤ・ベルテロニアナがヒツジ等、大型動物を殺すということからも、プヤ属の中に人間を仕留めると種がいるという伝説ができてもそう不思議ではありません。
フイ・フイの食人植物というのを字義どおりに捉えることはできませんが、プヤ属以外でもそれなりに元になった植物は存在するかもしれません。