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■地球温暖化は無敵伝説のクマムシすら乗り越えられない
便宜上再掲しますが、不死身伝説のクマムシの超絶能力は以下の極限環境に耐えうるといわれています。
・ほぼ絶対零度 (マイナス273度) の低温から151度の高温 (数分程度)
・人間の致死量の1000倍以上の放射線 (57万レントゲン)
・真空
・極度の乾燥
まずはじめに断っておかなければいけないのは、生身 (活動状態) のクマムシはそれほど強靭な生物ではないということです。
クリプトビオシスという形態にトランスフォームしてはじめて上記の極限環境に耐えうる能力を手に入れます。
(クマムシの超絶能力の詳細についてはこちらの記事をどうぞ)
デンマーク、コペンハーゲン大学の生物学者リカルド・ネヴェス (Ricardo Neves) 博士らが今後さらに厳しくなるであろう地球温暖化にクマムシがどれほど対処できるかを調査しました。
クマムシが151度の高温やマイナス272度に耐えるといっても実は数分程度です、ただしマイナス200度程度であれば数日は絶えることが分かっており、低温に強いことだけはっきり判っています。
今回はよく分かっていない高温についての実験です。
世界で1150種以上いるといわれるクマムシを代表し、今回の実験に体を張って挑戦してくれたのはのクマムシの中でも屈強といわれるヨコヅナクマムシ (Ramazzottius varieornatus) です。
実験に参加したヨコヅナクマムシはすべてデンマークの軒樋 (のきどい - (雨どい)) から集められたものです。
まずは生身の体のクマムシを37.1度の環境に晒したところ、予想通り1時間で50%が死んでしまいました。
しかし不死身状態のクリプトビオシスにトランスフォームさせると、82.7度という高温で1時間耐えることが出来ました。
63.1度まで温度を下げると24時間も耐えることが出来たといいます。
不死身伝説の看板に偽りなし、クリプトビオシスにさえなってしまえばかなりの高温に耐えることが出来ることがわかります。
さて本題です、デンマークのこれまでの最高気温は36.4度、上記の実験で半数が死んだ37.1度とわずか0.7度しか違いません。
今後、温暖化によりさらなる気温上昇が懸念されることを考えると、生身のクマムシの多くは猛暑の日にあっさり命を落とすことになります。
いやいやいや、クマムシはクリプトビオシスにトランスフォームするから大丈夫、と思うかもしれませんが、クリプトビオシスはロボットの変形よろしくあっという間に変形することは出来ません。
長いものでは変形までに数時間から数十時間も要し、あ、暑いな、変形しよっ、みたいにはいきません。
ただし、ヨコヅナクマムシはクリプトビオシスまでにかかる時間は30分程度とあっという間です。
他のクマムシはどうであれ、ヨコヅナクマムシはなんとか生き延びれるはず、、、
さすがに気温差の激しい猛暑の日でも30分程度なら猶予があるはず、、、そう猶予はあります、がクマムシは「高湿度」環境だといくら暑くてもクリプトビオシスに変形しようとしない特性があります。
致死性の熱波に襲われた近い将来、高湿度であるがためヨコヅナクマムシはその能力を発揮することなく、灼熱の太陽にジリジリと焼かれてしまう日が来るかもしれません。
(参照サイト)
Newsweek
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