北米にモルモンコオロギ (Mormon cricket, "Anabrus simplex") という名の、実はコオロギではなくキリギリスがいます。
体長は8センチほどまで成長する大型の昆虫で、飛翔能力はないものの、いわゆるバッタの大群が飛翔する「飛蝗 (ひこう)」に似た行動を起こします。
(飛蝗の詳細についてはこちらの記事を参照ください)
モルモンコオロギの群れは数百万匹にまで膨れ上がると、エサを求め巨大な群れを成して移動をはじめます。
飛べないので、歩きとジャンプによる移動にもかかわらず、1日で1マイル (約1.6キロ) も移動できます。
畑などに到着するや我先にと農作物を食い荒らします。
と、ここまではよくある「飛蝗」と同じ行動ですが、ここから少しおかしくなっていきます。
(image by Youtube "6 On Your Side")
群れすべてがありつける食物があればいいですが、数百万匹の群れです、群れ全体が潤うほどの畑などそうあるものではありません。
そうするとやはり先頭グループが有利です。
中段グループ、そして後方グループと行くにしたがって、食事にありつける確率は下がっていきます。
なにせ先頭グループが食べまくっているのですから。
後方グループが畑に着いたころには何ひとつ残っていないという状況もありえます。
大型の昆虫なので食欲も旺盛です。
そうなると、空腹に耐えかねた後方グループが腹いっぱいになった先頭グループを襲いはじめます。
共食いのスタート。
当初は餌場を求めて大移動を始めたモルモンコオロギの大集団。
それがいつのころからか、大移動の理由が空腹により仲間を食べ始めた後方集団から逃げる先頭集団という図式に変わっているのです。
先頭集団は満腹になろうと歩みを止めるわけにはいきません。
(参照サイト)
ABC NEWS
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自己完結型の食物連鎖ですね…
返信削除人間の感覚で言えば「おぞましい」ですが、地球規模のサイクルとしては合理的なのかもしれませんね…
コメントありがとうございます。
返信削除記事が長くなるから書きませんでしたが、モルモンコオロギはそこが道路だろうと障害物があろうと迂回しない性質のため車に惹かれたりと「事故死」が多く、事故死した個体の「共食い」が基本のようです。
それでも足りない場合に生きた個体へ攻撃するようです。