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2020年6月29日月曜日
2020年6月25日木曜日
アメリカの定番UMA ~ ジャージーデビル
「アメリカ、ニュージャージー州のリーズ・ポイント (Leeds Point)。
ここに住むデボラ・スミス・リーズ (Deborah Smith Leeds)、ジェイフェス・リーズ (Japhet Leeds) 夫妻の間には12人の子供がいました。
ジェイフェスは飲んだくれでろくに働きもしなかったため生活は困窮していました。
そんな折、13番めの子を身ごもったことを知ったリーズ夫人は未来を悲観し天を仰ぎます。
『ああ、次に生まれてくる子はいっそ悪魔であってほしい!』
それから数カ月後の激しい嵐の夜、産気づいたリーズ家に助産婦が呼ばれました。
別室には近所の人々が集まり赤ちゃんの誕生を待ちわびていました。
しばらくして出産は無事に済み、元気な男の子が生まれました。
近所の人々は部屋に呼ばれ赤ちゃんの誕生を祝福しました。
しかし、その幸せは束の間でした。
リーズ夫人の数ヶ月前の願いが実を結んだのです、そう『悪魔の子』を授かりたいというあの願い。
赤ちゃんは突如として巨大化しそしてまたたく間にその姿を変え始めました。
頭部から角が、手足の指先から巨大な鉤爪が、そして背中からコウモリのような巨大な翼が出てきたのです。
髪の毛は体全体に広がり毛皮と化し、頭部は肥大し節くれだった醜い顔へと変貌しました。
爛々と輝く赤い瞳は憎悪で燃えたぎっていました。
怪物は母親に飛びかかると激しく暴れ噛み殺しました。
助産婦を、そして集まった近所の人々へ次々と襲いかかり四肢を切り裂き殺戮を繰り広げました。
次に怪物の憎悪は隣の部屋にいた父親と12人の兄弟たちへと向かいます。
怪物は父親・兄弟たちにも容赦なく襲いかかりました。
その場にいたほとんどの人はデビルの餌食となりました。
しかし数少ない生き残った人々の証言によれば、襲撃を終えた怪物は煙突を抜け激しい嵐の夜空に向かって飛んでいったといいます」
(ジャージーデビルの写真といわれているもの)
有翼系のUMAとしてはモスマン (Mosthman) と並び有名なジャージーデビル (Jersey Devil)。
ジャージーデビルの起源はいろいろなパターンが存在しますが、これは代表的なもののひとつです。
いずれの話も同様におとぎ話的で現実感に乏しいものですが、デボラ・スミス・リーズ夫人は実在した人物であり実際に12人の子供がいたことも分かっています。
またUMAという特性上、ジャージーデビルの姿は諸説ありますが、もっとも浸透しているであろうジャージーデビル像は冒頭のものと思われます。
このイラストは夕刊紙フィラデルフィア・ブレディン (Philadelphia Bulletin) に掲載されたものです。
なぜ夕刊紙にジャージーデビルが取りあげられたのか?
1909年1月、ペンシルベニア州、フィラデルフィアのデラウェア・バレー (Delaware Valley) の広範囲に渡り雪の上に正体不明の足跡が無数に発見され、また多くの謎の生物の目撃があったからです。
目撃はペンシルベニアのカムデン (Camden) やブリストル (Bristol) にも広がり、証言によればその姿は「空飛ぶカンガルー」「ダチョウのよう (な生物)」であったといいます。
その起源やスケッチを見る限りとても存在する生物とは思えませんが、これ以降、ジャージーデビルはアメリカの定番的UMAとして今日まで目撃が続くことになります。
長くなるので数あるジャージーデビルの目撃事件はまたの機会にします。
今回はジャージーデビルの紹介まで。
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2020年6月24日水曜日
南米に始祖鳥の生き残りがいる? ~ ツメバケイ
■南米に始祖鳥の生き残りがいる? ~ ツメバケイ
チェルノブイリ・マンモス・チキンの記事を書くために10年ぶりぐらいで「雑学 世界の謎と不思議 (平川陽一 著)」を探して呼んでみました。
古本屋で見つけて買ったもので、発行日は1992年とかなり古いものです。
UMA中心というわけではなくミステリー本、オカルト本といった感じで内容は結構間違いも多いのですがなんか憎めないんですよね。
その中で「アマゾンに始祖鳥が生きている」という記事が目に止まりました。
「アマゾンの奥地には、1億2千万年前に絶滅したといわれる始祖鳥がいまなお生存しているのではないかと、一部の鳥類学者たちが指摘している」
始祖鳥 (アーケオプテリクス, Archaeopteryx) が現在まで生き残っているとは考えにくいですが、復元された始祖鳥とそっくりの鳥類が実際南米に生息しています、ツメバケイ (Opisthocomus hoazin) です。
おそらくこの本の「アマゾンで始祖鳥が生きている」というのはツメバケイのことを言っているに違いありません。
(ツメバケイ)
(image credit by Murray Foubister (Wikimedia))
ツメバケイとは南米アマゾン川とオリノコ川流域に生息する体長65センチほどの鳥類です。
羽毛のない青い頭部に大きな目、そして特徴的な冠羽 (かんう - 頭頸部から伸びる羽毛)、長い尾羽が目を引きます。
始祖鳥は飛ぶのが苦手だったと考えられていますが、ツメバケイもまた飛翔は得意ではありません。
他の鳥類と変わらぬ立派な翼を持っているにも関わらず、なぜ?
これはツメバケイの食性に関係があります。
ツメバケイの主食は消化の悪い樹木の葉であり、消化するには大きな消化器官を必要とします。
ツメバケイの場合、消化器官のひとつである「素嚢 (そのう)」 が他の鳥よりも非常に大きく、竜骨突起を占める部分に素嚢が居座っています。
竜骨突起は飛翔するために必要な胸筋が付着する部位であるため、この部分を素嚢に圧迫されているわけですから付着する筋肉量に制限がかかり飛翔力を著しく損なうというわけです。
始祖鳥もツメバケイと同じく飛翔は苦手と考えられているのはこの胸骨や竜骨突起がいからです。
ところで成体のツメバケイが始祖鳥に似ているのはもちろん興味深いことですが、その和名の由来となった幼少期もまた興味深い鳥です。
ツメバケイは漢字で「爪羽鶏」と書きます。
これは生後2~3週間の間だけ左右の翼に各2つずつ「爪」を持っているからです。
これにはわけがあります。
ツメバケイはヒナの時期から非常に高い運動能力を持ち、巣に天敵が近づいてくると自ら巣から飛び出し水中へ向かってダイビングし逃げおおせます。
またヒナでありながら遊泳・潜水能力も高く天敵がいなくなるまで水草などに身を潜め危険が去るのを待ちます。
天敵がいなくなると自力で水中から這い上がり、木を登って巣に戻るのですが、その際に役に立つのがこの爪です。
こういったヒナの性質上、ツメバケイは水辺にしか巣を作ることはありません。
ところで飛ぶのは苦手にせよ、長い冠羽や大きな翼、上品な体色、その姿は優雅です。
にも関わらずかれらの別称は「スティンクバード ((腐ったような) 臭い鳥)」とか「スカンク・バード」とその優雅さとはかけ離れたものです。
それはなぜか?
単純にそれはツメバケイが臭いことに由来します。
この臭いの源は消化時の発酵臭であり牛糞に例えられるほどの悪臭を放ちます。
この体臭は一種のディフェンスとしての役割があると考えられており、実際、体臭だけでなく肉も臭いらしく人間も手を出しません。
生息地の減少により数は減っているものの、人間からも見放される悪臭により乱獲は免れ数は比較的安定しているといいます
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2020年6月23日火曜日
背丈なんと2メートル ~ チェルノブイリ・マンモス・チキン
「大人の男性か、それ以上の背があり、体重も100キロ以上。
チェルノブイリ原発の近くにある農家で飼育されていたものでしょう。
捕獲後は、ソ連の科学者が研究所で放射能汚染の影響について調べています」
こう語るのはロシア在住のイギリス人ジャーナリスト、トレバー・ホロウェイ (Trevor Holloway) 氏です。
ホロウェイ氏は一体何のことを言っているのかというと、もっともありふれた家禽であるニワトリです。
本の中ではこの謎のニワトリをマンモス・チキンと呼んでいるので、ここでもそう呼ぶことにします。
1986年4月26日に起きたチェルノブイリの原発事故、この事故後の処理をしていた作業員が近くの森の中から「大きな恐ろしい鳴き声」を聞いたことによりマンモス・チキンが発見されます。
通常のニワトリよりもクチバシと目が相対的に大きく際立っていたといいます。
で、成人男性の背丈ほどもあるニワトリ!?
イギリス人が言っているのでおそらく180センチぐらいということでしょう。
しかも当時の話として
「いまだに成長を続けている」
ということなので2メートル近くあるのではないかと推測されます。
(マレーチキン)
(image credit by Amuseofpc)
ちなみに世界でもっとも背の高いニワトリの品種はマレー・チキン (Malay chicken) で1メートル近く (90センチ) にもなります。
世界でもっとも重い品種はジャージー・ジャイアント (Jersey giant) の6.8キロ、次点でブラマ (Brahma chicken) の5.5キロといったところです。
これらはそれぞれの品種の大型個体の平均的な記録であり、1個体であればもっと背が高くもっと重いものも存在するでしょうが、既存種ではこのぐらいが限界です。
このことからもマンモス・チキンの背丈・体重がいかに異常値であるかがわかります。
マンモス・チキンは「雑学 世界の謎と不思議」の「チェルノブイリに巨大なニワトリ」の頁に載っていた「謎」のUMAです。
UMAは全部謎だろ!と言われそうですが、そういう意味ではなく、海外の記事を調べてもソースが見つからない、この本以外でこのUMAの話を聞いたことがない、といった意味での「謎」です。
海外のタブロイド紙なんかが元ネタかもしれませんが定かではありません。
放射能による突然変異で巨大化、B級映画にありがちなシチュエーションですが古き良きUMAの典型と言えます。
(参考文献)
雑学 世界の謎と不思議 (平川陽一 著)
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