このブログを検索

2019年9月30日月曜日

戦争でピンチになったら大爆発で敵も道連れ ~ ジバクアリ (自爆テロアリ)


■敵地で爆発 ~ 自爆テロアリ■

マレーシアに生息するジバクアリ (Camponotus saundersi) はその名の通り「自爆」を得意とするアリです。

自爆テロ蟻 (suicide bombing ants)」「爆発蟻 (explosion ants)」「カミカゼ蟻 (kamikaze ants)」等、英語圏での呼ばれ方も物騒なものが並ぶアリです。

さて、ジバクアリの兵隊アリですが、かれらは頭部、そしてからだの両側面に巨大な大顎腺 (おおあごせん) を持っており、ここには粘着性の毒液がたっぷりと仕込まれています

いわゆる本物の爆弾でいえば火薬に該当する成分です。

他の巣のアリたちとの戦争の際、ジバクアリは押さえ込まれたり、敵に囲まれたり、これにて万事休す、という場面になると、筋肉の収縮により頭部や腹部の大顎腺を爆発させ、毒液を敵に撒き散らします。

たっぷり毒液を浴びた敵国のアリたちは毒の作用でその場で死亡しますが、毒液を浴びてもその浴びた量が少なく間一髪助かったアリたちも安泰ではありません。

その粘着性の毒液は速乾性の瞬間接着剤さながら敵を地面に貼り付けてしまい、身動きできなくなるからです。

大顎腺を破裂させたジバクアリはやがて絶命してしまいますが、自分のひとりの命と引き替えに多くの敵兵を道連れにします。

まさにアリ界の自爆テロといえます。

(関連記事)
 生まれながらに敵前で自爆を強要されるカーストを持つアリ ~ イエロー・グー

 老兵は自爆して城を守る ~ ムヘイシロアリ (自爆テロシロアリ)


 大きな敵もお構いなし!20分で人すら殺す~ ジャック・ジャンパー 


 増えすぎると自ら投身自殺するアブラムシ ~ エンドウヒゲナガアブラムシ

最凶女殺人鬼 ~ クロドクシボグモ


■最強毒蜘蛛 ~ クロドクシボグモ

世界最強の称号を持つ毒蜘蛛、クロドクシボグモ

なにせこのクモの学名である "Phoneutria" はラテン語でずばり "murderess" の意、つまり「(女性の)殺人者」を意味します。

この恐ろしいクモがいったいどこに生息するのか気になるところでしょう。

クロドクシボグモは英名を "Brazilian wandering spider (「ブラジルのさまよえるクモ」の意)" ということからも分かるとおり、中南米です。(ブラジルにのみ生息しているわけではありません)

8種類ほど確認されているクロドクシボグモの仲間ですが、最大種で体長は5センチ、足を広げると15センチ前後とかなり大柄なクモです。

そしてもっとも気になる毒性ですが、これが凄まじく一匹のクロドクシボグモで、人間の致死量の数十人分の毒を持っているといいます。

ギネスで「もっとも有毒なクモ」に選ばれています。

そしてこの恐るべきヒットマンに咬まれたときの致死率、なんと0.14%!

えっ、たったの0.14%?

ヒットマン解雇確定です。

7000人が咬まれて死亡したのは10人だそうで、毒性は強いものの致命傷まで負う人は劇的に少ないようです。

これはこのクモの抗毒素血清が存在していることと、そもそもそ人間を襲うことを前提に進化していないことに原因があるかもしれません。

人間としては不幸中の幸いといったところでしょうか。

ただし、咬まれた後の激痛は耐え難く、しかもしばらく続くとのことで大変なことに変わりはありません。

なお、死亡者はほとんど子供ではないかと思われるので、子供は注意が必要です。

このクモは別名、「武装グモ (armed spiders)」とか「バナナグモ (banana spiders)」といわれます。

武装グモはその毒性からなんとなく分かるとして、バナナグモと呼ばれる所以は?

これは、このクモが日中は陽の光を避け、倒木などの陰や特にバナナの中に隠れる習性からそのように呼ばれます。

この習性が災い?して、クロドクシボグモがバナナの房ごとパッケージングされ、世界各地に出荷されてしまうこともたまにあるようです。

口も胃も腸もなにもない生物 ~ オラヴィウス・アルガルヴェンシス


■口も胃も腸もなにもない生物 ~ オラヴィウス・アルガルヴェンシス

地中海に浮かぶトスカーナ群島最大の島、エルバ島

このエルバ島沖の浅い砂浜にかなり奇妙な生き物が生息しています。

その名もオラヴィウス・アルガルヴェンシス (Olavius algarvensis)。

くるくるとコイル状に不規則に巻かれているため分かりにくいですが、海生の貧毛類で、いわゆる「海に住むミミズ」といえば分かりやすいかと思います。

ミミズと同様、からだには体節がたくさんあり、まっすぐ伸ばせばそれなりにミミズっぽく見えるはずです。

ですがそのままの状態ですとやっぱりミミズには到底見えない、というか、生物にすら見えません。

なんかの動物の内臓なんじゃないか、と思ってしまうほど奇妙なルックスですが、他の動物に寄生したりもせず、これでも単体でやっていけてます。

ただしこのオラヴィウス口もなければ胃や腸といったあ消化器官も、腎臓も肛門も何も持っていません

どうやって生きているのかというと、すべては体内に取り込んだ共生生物たちがやってくれます。

オラヴィウスの体内には4種だか5種だかの共生細菌が住み着いており、かれらが栄養分を作り出し、体内で不要になった廃棄物もかれら共生細菌がすべて処理してくれます。

オラヴィウスの役目はかれら共生細菌に場所を提供するだけ。

見た目こそ気持ち悪いですが、ゴミひとつ出さない究極のエコ生物です。

(関連記事)
 人間の祖先はガマ口で肛門なし ~ サッコリタス・コロナリウス

 巨大ミミズ ~ ディガステル・ロングマニ

 猛毒ワーム ~ ボネリムシ



 本当に存在したか?超巨大恐竜 ~ アンフィコエリアス・フラギリムス


超巨大海生生物の咆哮 ~ ザ・ブループ

(original image by anomalien.com)

■超巨大海洋生物の謎の咆哮 ~ ザ・ブループ

今回はブループ・モンスター (Bloop monster)、通称ブループ

現在、地球上で確認されている最大の生物はシロナガスクジラ (Balaenoptera musculus) で、その体長は最大クラスの個体だと全長30メートルを優に超えることが知られています。

しかし、そのシロナガスクジラすら「前座」に思わせてしまう得体の知れない存在が、1990年代後半に太平洋の深海で検出された「ブループ」と呼ばれる正体不明の音波現象です。

観測された「何か」は、シロナガスクジラの鳴き声よりもはるかに強大な音圧を持ち、しかも自然界の既知生物では説明がつかない周波数帯を示していました。

そのスケールは、理論上「シロナガスクジラを超えるサイズの生物」の存在を示唆するとされ、いつしかブループは「海の底に潜む超巨大生命体」として語られるようになったのです。

― 「ブループ」と一体何ものなのか? ―


はじめに断っておくと、「ブループ」という名称は、特定のUMA (未確認動物 / Unidentified Mysterious Animals) そのものを指す言葉ではありません。

正確には「正体不明の超低周波音」に付けられた呼び名であり、いわばUMAならぬUMS (Unidentified Mysterious Sound)、すなわち「未確認謎音」とでも言うべき存在です。

さてこのブループですが、1997年、アメリカ海洋大気庁 (National Oceanic and Atmospheric Administration / NOAA) の海洋監視システムによって偶然キャッチされた、非常に強力で不可解な音でした。

その音圧は既知の海洋生物の鳴音をはるかに上回り、録音機器のノイズでは説明できないほど明瞭な特徴を持っていました。

音の発生源とされる地点は南太平洋。

ただし、正確な座標は海中の複雑な反響によって特定が難しく、地図上では広大な「海の空白地帯」を指すにとどまっています。

― なぜ生物説が有力なのか ―


で、この謎の音がなぜ「謎のシーモンスター」と関係づけられるのかというと、ブループは自然現象や人工物に由来するいかなる既知の音にも当てはまらないからです。

それだけではありません。
ブループは「ただの謎の音」というだけでなく、動物由来の音に似た特徴を持っているという見解が当時の分析で示されました。

その理由として挙げられたのが――
「周波数が急激に変化する」という、生物の鳴音に特有のパターンです。

地球上最大の動物であるシロナガスクジラは、非常に強力な低周波音を発するといわれていますが、ブループはそのシロナガスクジラの音圧すら「上回るほど強い」というのです。

そして、もしこの音が本当に生物由来であるなら、その生物の推定サイズは 215メートル級になるという試算が紹介されました。

この推定値こそが、謎のサウンド「ブループ」を発した未知の巨大生物を
「ブループ・モンスター」
「ブループ・ビースト」
などと呼ばせる理由になっているのです。

― 謎の音から存在を推測するUMA ―


通常、UMAはそれが見間違いだろうと何だろうと、ほとんどの場合は「目撃情報」からその存在が知られることになります。

しかしブループは「謎の音」から存在を推測された、きわめて珍しいケースです。

未知の巨大生物の正体といえば、絶滅巨大生物の生き残り説が定番ですが、少なくとも現時点で、地球誕生以来シロナガスクジラより巨大な生物が確認されたことはありません。

つまり、絶滅種であっても該当する生物は存在しないということになります。

体長215メートルという推定は、さすがに「ない」と考えるのが妥当でしょう。
ただし――もしシロナガスクジラより巨大な生物が実在し、しかも人類がまだ発見できていないとしたら……。

ブループ・サウンドは、そんな「夢」を感じさせるエピソードでもあるのです。

― 巨大生物のイメージと発生源説 ―

ブループ・モンスターは、シロナガスクジラを筆頭に、絶滅種も含めた海生の巨大生物に濾過摂食者 (ろかせっしょくしゃ) が多いことから、そのような姿で描かれる傾向があります。

さて当初、ブループ・サウンドの発生源として有力視されていた候補の一つが「南極の氷の崩落音」でした。

しかし、ブループには自然現象よりも生物が発している可能性のほうが高いという見解があったこと、そして「巨大生物が発している音」という説のほうがあまりにもセンセーショナルで魅力的だったことが重なり、いつしか氷の崩落音説は忘れ去られた存在となっていきました。

― 現在も未解明の謎 ―


そして現在でも音の正体は完全には突き止められていませんが、ブループの正体はやっぱり南極の氷の崩落音ぐらいしか可能性はないのでは、という気もします。。

しかし、もし本当に巨大な未知生物が存在し、ブループのような音を発していたのだとしたら――想像するだけで海の神秘を感じずにはいられません。

(関連記事)






 ジョージアで撮影されたヤング・ビッグフット

 一大センセーションを起こした謎の巨大魚 ~ ウモッカ

 U-28クリーチャー、100年ぶりの復活 ~ カーニバル・クルーズ・モンスター


 タイの漁師が撮影した謎の水中生物


 半透明の頭部を持つ深海魚 ~ デメニギス