アリほど獰猛な昆虫はそうそういませんが、それゆえ戦闘で負傷し死んでいくものも少なくありません。
そんな中、戦死者の数を少しでも減らそうと試みるアリがいます、アフリカに生息するメガポネラ・アナリス (Megaponera analis) ことマタベレアリ (Matabele ants) です。
マタベレアリはシロアリを主食とするアリで、日に3~5回もシロアリの塚に襲撃をかけます。
マタベレアリの戦闘能力は高い上、襲撃も200~500匹のアリたちがアリ塚を囲んでから一斉攻撃するなど襲撃準備も抜かりなく、シロアリが見ていてかわいそうなほど圧倒的な強さを発揮します。
とはいえ、シロアリもただ黙ってやられているわけではありません、彼らなりに最大限の抵抗をします。
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そうなると、マタベレアリも全員無傷で済むというわけにはいきません。
しかも1日3~5回という襲撃回数、それだけ戦闘を繰り返せば、戦場で傷つくアリたちの数も相当数に昇ります。
襲撃後、怪我を負い自力での巣に帰還出来なくなったマタベレアリたちがそこかしこに倒れています。
襲撃のたびに多くの負傷兵が死んでいくようでは、そのうち数が減少し襲撃プランに支障をきたします。
そこでマタベレアリたちは考え出しました。
負傷兵を助ければいいと。
倒れている負傷者たちはフェロモンを分泌し、仲間のアリたちに帰還不能のSOS信号を発信します。
マタベレアリの救護班はSOS信号を嗅ぎ取ると、怪我人たちの回収に向かいます。
巣穴に運ばれた怪我人たちは救護班に傷口を含む体全体を舐められますが、その唾液には感染症を防ぐ抗生物質に相当するもの (抗菌性化合物) が含まれている可能性も示唆されています。
巣に運ばれた怪我人たちの80%は適切な治療なくしては24時間以内に死んでしまう重傷者たちですが、治療を受ければそのほとんどが治癒するそうです。
ここで興味深いのがより重篤な患者です。
治療で治癒される可能性を見込めるのは、足を1本、最大でも2本失ったものまでのようです。
それ以上の怪我を負ったものはSOS信号自体出さないか、もしくは救護班が助けに来ても暴れて回収されるのを拒否するそうです。
助けても無駄だと。
(参照サイト)
●Gurdian
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