(original image credit by Anna Frenkel Senckenberg)
■深海のメタリカ ~ マクロスティリス・メタリコラ
ハワイ-メキシコ間に広がるクラリオン・クリッパートン断裂帯の水深4000~5000メートルの深海。
ここにはコバルト、銅、マンガン、ニッケル、レアアースといった金属が豊富に含まれるマンガン団塊が高密度に存在してます。
この金属 (メタル) だらけの環境で体長6.5ミリのワーム状の甲殻類が発見され、にわかに注目を集めています。
それはなぜか?
このメタル環境に適応した甲殻類は、アメリカのヘヴィ・メタル・ロックバンド、メタリカ (Metallica) にちなんでマクロスティリス・メタリコラ (Macrostylis metallicola) と命名されたからです。
メタリコラ (metallicola) という種小名は「メタル (金属地帯) に生息する」という意味ですが、金属のメタル (metal) ではなくメタリカ (metallica) のスペルであることがポイントです。
この甲殻類の発見者であるドイツ、フランクフルトにあるゼンケンベルク自然博物館 (Senckenberg Research Institute and Natural History Museum) の深海生物学者トーベン・リール (Dr Torben Riehl) 博士は当然メタリカの長年のファンであり、今回の献名はメタリカへの恩返しだそう。
「メタリカのパワフルなミュージックはわたしの人生の中でとても大きな存在でした。
「マスター・オブ・パペッツ (Master of Puppets)」や「ワン (One)」はロック史に輝く突出した名曲であり、新種生物の名をメタリカに献名することでバンドになにかしらの恩返しができたかと思うととても興奮しています!」
個人的にも同意で「マスター・オブ・パペッツ」と「アンド・ジャスティス・フォー・オール (...And Justice for All)」の2枚のアルバムが好きです。
さてマクロスティリス・メタリコラですが漆黒の環境に生息するため目は退化しており、透き通った体をしています。
背中側から見ると足が見えず、また体節のある細長い体型のため、甲殻類ですがワーム状の生物に見えます。
トーベン・リール博士はメタリカの名を生物に与えることにより長年のファンであったメタリカへ敬意を表すと同時に、人々のこのような環境への認知度を高めたいと考えていたといいますが、それは大成功だったことは言うまでもありません。
いかに新種であろうと、深海で発見されたわずか6.5ミリの甲殻類が注目されることはまずありません、しかしメタリカへ献名することによりこのように世界中のマスコミに取り上げられ注目を浴びているのですから。
しかも当のメタリカからもフェイスブックを通じてお礼の言葉を受け取っており、まさにリール博士、念願かなったり。
(参照サイト)
Daily Mail
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