経済のグローバル化に伴い外来生物までも知らず知らずのうちに「輸入」されてしまうことが多々あり、外来種は世界的にも大きな問題になっています。
ニッチの競合により在来種の生息域が圧迫されるのはもちろんのこと、毒を持った外来種に至っては人間にも咬傷等の直接の害があります。
日本でのヒアリやセアカゴケグモなどが顕著な例です。
現時点では上記生物は定着して日も浅く、数もそれほどでないことから大きな事故は起きていませんが、今後はどうなるか分かりません。
さて、最近全米を震撼させている猛毒の外来種がいるといいます。
致死性の毒を持つといわれる小型のクモで、サウスカロライナからはじまりウエストバージニア、テネシー、ミシシッピと4つの州でわずか1週間の間に5人もの死者を出したといいます。
注意喚起のため殺人グモの特徴に加え写真も添えられています。
体長は1~1.5センチ程度と小柄、腹部はほっそりとしており全体的にスリムなシルエット、頭胸部は濃赤色、足や腹部は黄褐色で光沢があります。
鋏角 (牙) が大きく非常に好戦的な性質だといいます。
しかしわずか一週間という短期間で死者をそれだけ出した毒グモが今まで存在したでしょうか?
ふつうに考えて大いに怪しい情報です。
が、CGではなく毒グモの写真が添えられていることもあり、特定はあっという間でした。
これは世界中に生息するイノシシグモ (Dysdera crocata) の仲間で、稀に人間を咬むことはあってもほぼ無害、咬まれたとしても1時間程度かゆみを伴う程度だといいます。
一般的にウッドラウス・スパイダー (Woodlouse 「ワラジムシのクモ」) とかソウバグ・キラー (sowbug killer 「ワラジムシ殺し」) とか呼ばれることからも分かるとおり、ワラジムシを捕食することに特化しています。
もともとはヨーロッパ原産ですが現在では世界中に生息域を広めており、そもそも北米全域にも生息して久しいクモだといいます。
しかし、人家にはあまり近寄らず、またそれほど大きなクモではないため目にしたところでそれほど目立つものでないことから「見慣れぬ毒グモ」して一定数の信頼を得たようです。
この毒グモのニュースはSNS (主にフェイスブック) で広まったらしく、一種の都市伝説といえます。
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外来種だから危険だ、という先入観が災いしてこのような噂が広まったのでしょうかね・・・
返信削除ぶっちゃければセアカゴケグモやヒアリよりは日本のスズメバチの方がよほど危険ですし・・・(ただ、アリは生態系への影響は大きい)
デマ記事は面白いので拡散するけど、それについての否定記事が出たとしても拡散しづらいので、結局デマはそのままになっちゃうんですよね。
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