ラットキング (rat king, 「ネズミの王」) という言葉の響きから、巨大なネズミのUMA (未確認動物) を想像する人も多いと思いますが、実はラットキングとは、特定のUMAの名称ではなく奇妙な謎の現象です。
ラットキング現象とはいかなるものか?
ラットキングとは複数のネズミたちの尾が複雑に絡み合い、運命共同体というべき共同生活を強いられたネズミたちの集団現象を指します。
ネズミたちの尾はあくまで絡まっているだけであり、奇形等により複数の尾が癒着しているわけではありません。
その証拠に絡まった紐を外すように丁寧にほどいていけば個々の数匹のネズミに別れるのです。
(original image credit by Ivo Kruusamägi)
この現象が見られる地域はヨーロッパに集中しており、そしてネズミの中でもクマネズミがほとんどだといいます。
ラットキングが構成されるネズミの数は10匹前後が多いものの、最大で32匹で構成される巨大なラットキングも発見されています。
ラットキングの発見時はそのほとんどは既に死んでおり、ミイラ化したものもあります。
しかし、大変古い記録ですが1748年にドイツの農場で発見されたラットキングは生きている18匹ものネズミで構成されていたといいます。
さて、気になるのはそもそもこんなことが自然に起こるものなのだろうか?ということです。
確かに紐のように細長い尾を持つネズミといえど、人間が意図的に結びでもしない限り、離れ離れにならないほど強固に絡みつかせることは不可のように感じます。
確かに生まれた後にうろうろしているうちに絡み合ってしまうよりは説得力があるような気がします、が、その絡み合う原理については述べられていません。
また、もう一つの謎として、ラットキングのネズミたちは死んだ状態で発見されるものの、子ネズミだけということでもなければ、致命的な傷 (脱落したネズミを飢餓時にたとえば共食いといったような) を負ったネズミは特にいないということです。
これはつまりラットキング状態である程度の期間、どのネズミも脱落せずに生きながらえたということを意味します。
人間の飼育下であればそれもある程度は可能ですが、自然下ではそう簡単なことではありません。
ラットキング一族はその大所帯分の大量の食事を常に確保せねばならず、何より天敵から身を隠すのが非常に困難です。
壁をよじ登ることはほぼ不可能であり、狭い場所に隠れることも出来ません。
一匹であれば通り抜けられる隙間もラットキング一族では通り抜けることは出来ません。
たった一匹が捕まっただけで、それこそ芋づる式で全員が捕まってしまいます。
まさに運命共同体。
はじめのほうに書いたとおり、ラットキングの構成は10匹前後が多く、そのほとんどがクマネズミという特徴があります。
クマネズミが一度に産む子供の数は10匹前後といわれており、この数については特に矛盾がありません。
とはいえ、10匹を大きく上回る数で構成されたラットキングも見つかっており、しかも世界中に生息する珍しくもないクマネズミで構成されているにもかかわらず、ラットキングの伝説があるヨーロッパでしかほとんど発見されていません。
こういった点からもやはりラットキングはフェイクである、と考えられており、実際、フェイクと判明しているものも存在します。
ただし、そのすべてがフェイクである証拠はなく、奇跡的にラットキングが実在した (する) 可能性も否定は出来ません。
なお、非常にレアケースではありますが、スクウィレル・キング (squirrel king 「リスの王」) 、つまりラット・キングのリスバージョンも発見されています。
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