2020年8月7日金曜日

2本足のアシダカグモ、介護を受けて8本足に戻る

(image credit by Elina Walsh via ABC News)

■2本足のアシダカグモ、介護を受けて8本足に戻る

世界最大のクモは?

この「世界最大」には「最も体重が重い」と「最も体長が大きい」の2つの解釈があります。

どちらも満たしていればなんの問題もなくスムーズに世界最大が決定されますが、なかなかそううまくは行きません。

(巨大カマドウマともいえるジャイアント・ウェタの一種 Deinacrida mahoenui)
(image credit by Amanda Haigh/Wikimedia)

昆虫にしてもニュージーランドに生息するジャイアント・ウェタ (Giant wētā) の最大種、リトルバリアアイランド・ジャイアント・ウェタ (Deinacrida heteracantha) の71グラムを最大とするか、(足を含めて) 62.4センチの体長を持つフリガニストリア・キネンシス (Phryganistria chinensis) を選ぶかは人それぞれです。(ナナフシとしてはチャンズ・メガスティック (Phobaeticus chani) を好む人もいるかも知れません)

それではクモの世界ではどうなっているか?

まず最も体重が重いものとして諸説はありますが、南米に生息するゴライアス・バードイーター (Goliath birdeater) ことルブロンオオツチグモ (Theraphosa blondi) がそのひとつと言われています。

(ゴライアス・バードイーター)
(image credit by Snakecollector/Wikimedia)

最大体長12センチ、体重175グラム、足を広げた大きさは20センチ以上、最大クラスは30センチ近くなるといいます。

獰猛でカエルなどの両生類、ヘビやトカゲといった爬虫類から哺乳類であるネズミまで捕食します。

ただし、名前 (バードイーター「鳥喰い」) とは裏腹に鳥を捕食することはあまりないようです。

この名前はマリア・ジビーラ・メーリアン (Maria Sibylla Merian) の絵画に本種がハチドリを食べている姿が描かれていたことに由来するといいます。

メスの寿命がオス (3~6年) よりも極端に長く、最大25年とも言われています。

(ジャイアント・ハンツマン・スパイダー)
(image credit by Petra & Wilfried/Wikimedia)

さてもうひとつの世界最大候補はラオスに生息するジャイアント・ハンツマン・スパイダー (Giant huntsman spider) です。

和名がわからないので英名をそのまま直訳してオオアシダカグモ (Heteropoda maxima) と呼んでおきましょう。

こおオオアシダカグモの体長は4.6センチ、ほっそりした体型でルブロンオオツチグモの体長・体重に遠く及びませんが、足を広げた大きさは32.5センチとルブロンオオツチグモをわずかに上回ります。

これだけ大きなクモが21世紀 (2001年) になるまで発見されなかったこと自体、不思議としか言いようがありませんが、それはこのクモが人跡未踏の洞窟内に生息しているからです。

さて今日はこのアシダカグモの話題です。

オーストラリア、クイーンズランド州のタウンズビル (Townsville) に住むエリーナ・ウォルシュ (Elina Walsh) さんは自宅でアシダカグモを発見しました。

女性にクモや昆虫が苦手な人は多いですがウォルシュさんはアオジタトカゲやヘビ、サソリ等、一風変わったペットを飼っている人物でアシダカグモごときで悲鳴を上げるような女性ではありません。

それどころかこのクモを発見してとても不憫に思いました。

というのも長い足を持つことで有名なアシダカグモですが、この発見されたクモには足がたったの2本しかなかったからです。

本来8本あるはずですから6本失っています。

残っているのは右半身の第1脚と第4脚のみ、これでは動くこともままならず、運良く天敵に出会わなくても餌を捕まえることはほぼ不可能、餓死することは目に見えています。

このクモを助けてあげよう、ウォルシュさんはこのクモにペギー (Peggy) と名付け、水や餌として小さなゴキブリ等を与え育てることに決めました。

「はじめはもう彼女は助かる見込みはないわって、楽にさせてあげようかと思ったの。

でもグーグルで調べてみたの、そしたらクモは足が再生するっていうじゃない、だから試しみようと思ったのよ。

わたしは大きな動物が好きなの、だからアシダカグモなんかに興味はなかったんだけど気の毒に見えちゃって、だから助けようと思ったのよ」

脱皮に成功して足が元通り再生したら自然に返そうという彼女の計画、保護してから1ヶ月後、計画は見事望み通りうまくいきました。

(image credit by Elina Walsh via ABC News)

(参照サイト)
news.com.au
ABC News

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