南米に生息するサシハリアリ (Paraponera clavata)。
2.5センチほどもある巨大なアリで、刺されたときの痛みが「銃で撃たれた痛みに等しい」という意味で通称「弾丸アリ (bullet ant)」と呼ばれます。
シュミット指数 (Schmidt sting pain index) というハチ・アリに刺されたときの痛みをレベル1~レベル4 (数値が高いほど痛い) で指数化したものがありますが、弾丸アリはレベル4+と上限値を上回ります。
リストの作成者にして刺され屋ジャスティン・シュミット (Justin Schmidt) いわく、
「純粋で激烈で華麗なる激痛。例えるならかかとに錆びた3インチの釘を刺し、燃え盛る炭の上を火渡りするようなものです」
ちなみにヒアリはレベル1です。
弾丸アリはスペイン語で "Hormiga Veinticuatro" と呼ばれ、直訳すると「24時間のアリ」。
これはこの刺された直後の激痛が衰えることなく24時間続くことに由来します。
さらにブラジルの先住民族サテレ・マウェ族 (Satere-Mawe) に至っては、「戦士」になるための通過儀礼に弾丸アリを利用します。
戦士になるためには80匹の弾丸アリ入り手袋をはめ、5分間耐えるのを20回成功してはじめて認められるといいます。
この儀式のあと数日間手が麻痺して使えなくなることもあるといい、この通過儀礼は連続して行えないため、早くても数ヶ月、長い場合は数年にわたってこの試験を受けることになります。
ちなみに弾丸アリの痛みの源は神経毒ポネラトキシン (poneratoxin) です。
このように弾丸アリの「痛み」についての逸話は枚挙に暇がありません。
しかしただ「刺されたら痛いだけ」の存在ではないようです、というのも先住民族たちはリウマチをはじめとする痛みの治療に弾丸アリの毒を利用しているからです。
弾丸アリに刺されて死んだりすることはまずないといわれますが、絶対に刺されたくないアリのひとつといえます。
日本への上陸はまだですが、この先ヒアリのように上陸しないとは限りません。
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