2020年6月1日月曜日

実在したのか? ~ ベルグマンベア (カムチャッカオオヒグマ)


■実在するのか? ~  ベルグマンベア (カムチャッカオオヒグマ)

史上最大のクマは?

最大クラスのクマは立ち上がったときの身長はおおよそ12フィート (3.6メートル) 前後で横並びなのでここでの最大は「最重量」ということにします。

(アルクトテリウム・アングスティデンス)

現時点ではショートフェイスベアの一種で南米に生息していたアルクトテリウム・アングスティデンス (Arctotherium angustidens) が身長3.5メートル、体重1.6トンで頭一つ抜けている感じです。

(アルクトドゥス・シムス)
(image credit by Dantheman9758 (Wikimedia))

次点はキタアメリカジャイアントショートフェイスベア (Arctodus simus) で体長は大差ありませんが、体重は1.1トンほどと大幅に落ちます。

それでは現生最大のものは?

筆頭候補はホッキョクグマ (Ursus maritimus) とコディアックヒグマ (Ursus arctos middendorffi) です。

いずれも最大クラスは600キロ以上となり優劣つけがたいところですが、平均体重ではホッキョクグマに分があるようです。

ちなみに公式記録ではありませんが、19世紀にアラスカで射殺されたホッキョクグマの998キロという記録があります。

(コディアックヒグマ)
(image credit by Hollingworth, John and Karen)

しかしこの両者をまったくよせつけない巨大なクマがいるといいます。

1920年、カムチャッカ半島の動物相を調査していたスウェーデンの動物学者、ステン・ベルグマン (Sten Bergman) は地元住民からそれまで見たことのない黒いクマの毛皮を見せられます。

(ウルスス・アルクトス・ベリンギアヌス)
(image credit by Rigelus)

その地域にはヒグマの亜種でカムチャッカ・ブラウン・ベアと呼ばれるウルスス・アルクトス・ベリンギアヌス (Ursus arctos beringianus) が生息しますが、ベルグマンが見せてもらった毛皮は毛色や毛の長さがカムチャッカ・ブラウン・ベアとは異なり、また遥かに大きなクマのものを思わせました。

またベルグマンはその謎のクマのものと思われる足跡を発見しますが、その大きさは長さ14.5インチ (約37センチ)、幅10インチ (約25センチ) という巨大なものだったといいます。

これらのことからベルグマンはこのカムチャッカ半島にカムチャッカ・ブラウン・ベアとは別にヒグマの亜種にして現生最大のクマが生息していると確信します、この毛皮の持ち主こそベルグマンベア (Bergman's bear) です。(和名:カムチャッカオオヒグマ)

ベルグマンの見積もりによれば体重は500~1100キロと最大サイズに至っては既知の現生のクマでは太刀打ちできません。

ベルグマンはこのヒグマの亜種にウルスス・アルクトス・ピスカトル (Ursus arctos piscator) という学名を提案しました。

しかしこのベルグマンベアはとても悩ましい存在です。

というのもベルグマン自身もその巨大グマの生きている姿を目撃していないだけでなく、ベルグマンの報告以降、誰もそのクマの生きている姿を見たものがいないからです。

それ故、ベルグマンが報告した1920年にはすでに絶滅していたと考えられていますが、ベルグマンベアがそもそも亜種と認識できるクマであったかどうかも議論の余地があります。

単にその見せられた毛皮が既知種 (カムチャッカ・ブラウン・ベア) の飛び抜けて大きい個体であった可能性も捨てきれないからです。

とはいえ夢のある話であることに変わりはありません。

一説には後肢2本で立ち上がったときの身長は15フィート (約4.6メートル) などといわれ、体長に限っていえば現生どころか史上最大のクマの称号すら得ることができそうです。

さすがに身長15フィートは盛り過ぎな気がしますが、つい最近まで、いや、もしかすると現在でもカムチャッカ半島のどこかでホッキョクグマやコディアックヒグマよりも巨大な種が生息しているかもしれません。

(参考文献)
Cryptozoology A to Z (Loren Coleman/Jerome Clark著)

(参照サイト)
National Geographic
巨大動物図鑑

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