(フラップを開いた状態のピーコック・スパイダー(Maratus volans))
■ダンスの失敗は命取り ~ ピーコック・スパイダー
旧サイト (UMAファン ~ 未確認動物) で紹介したピーコック・スパイダー (Peacock spider / Maratus volans) のアップデートです。
いまだに和名は分かりませんが、ピーコックとはご存じの通り「孔雀」のこと、オスの孔雀のみが煌びやかな飾り羽を持ちますが、ピーコック・スパイダーもまた孔雀にも負けない美しいフラップを持つのはオスのみです。
ピーコック・スパイダーは日本でも最もありふれた、そして目にする機会も多いジャンピング・スパイダー (Jumping Spider) ことハエトリグモの仲間 (Salticidae) です。
名前を知らずとも、家の中でピョンピョンと跳ねて逃げる数ミリ程度のクモ、といえば思い当たるでしょう。
ちなみにハエトリグモは5ミリにも満たない小さなものが一般的ですが、オーストラリアに棲息するヒルス・ギガンテウス (Hyllus giganteus) のように最大2.5センチオーバーの、ハエトリグモ界の"超"巨大種も存在します。
さてピーコック・スパイダー、この種もまたオーストラリアのクイーンズランド州やニュー・サウス・ウェールズ州に生息する種です。
体長は4~5ミリほどと多くのハエトリグモと大差ありませんし、一見したところでは雌雄ともに地味な体色です。
(フラップを畳んでいる状態のオスのピーコック・スパイダー)
ピーコックと命名されたる所以の派手なフラップはオスの腹部背面に畳まれています。
オスのみ有することからもわかる通り、これは女子向け、つまり求愛アイテムです。
目当ての女子を見つけたら畳んでいたフラップを地面に対して垂直に立て、正面からはっきりとその派手派手のフラップを確認できるようにします。
まさかあんな地味な体にこんな綺麗な模様のフラップが畳まれていたとは!
ピーコックスパイダーの仲間、マラトゥス科 (Maratus) は意外にも種類も多く、知られているものだけでも100種前後、その種によってフラップの形や色、模様は様々です。
(異なる種のピーコック・スパイダー (Maratus hortorum))
また、種によってダンスの振り付けも異なりますが、フラップを立て、4対ある足の前から3つ目の足 (第3脚) を垂直に上げるのは共通の儀式、このスタイルこそ求愛ダンスの幕開けを意味します!
天高く上げた足をワイパーのように左右に振りながら、自身も左右に小刻みに揺れて女子の気を引こうと様子を伺いながらのダンスパフォーマンス。
アホみたいにハイテンションの男子を尻目に、女子は正面を向いた4対8つの冷めた目でジッと男子のダンスを品定めします。
意中の彼女に見事ダンスを見染められればカップル誕生!パチパチパチッ
しかし、どうも雲行きが怪しい、気に入られていないんじゃないか?
そう思った男子諸君に忠告。
さっさとフラップを畳んで一目散にどっかへ逃げましょう!
女子はダンスが気に入らない場合、追い払うどころか、捕えて食べてしまいます。
なのでダンスの失敗は命取り。
嫌われる確率は、女子がすでに交尾済みであった場合、より高いという噂も。
ああ、そうだ、あと意中の彼女をゲットし、夢心地で交尾中の男子にも忠告がありました。
交尾が済むとやはり同じく男子を捕らえて食べてしまうので、終わったらさっさと逃げるように!
(関連記事)
なむさんはピーコックスパイダーのガチャガチャがあるのをご存知でしょうか?
返信削除まさかの立体化でテンション上がりました!
いつも面白い記事ありがとうございます!
いーえ、知りません(笑)そんな一般層に知名度あるんですかね?
返信削除お返事ありがとうございます!
返信削除ピーコックスパイダー ガチャ で検索するとすぐに出てくると思いますので、お時間ある時に見てみて下さい。
僕はピーコックスパイダーの事を昔のナムさんの記事で初めて知りました。
もしかしたらガチャの担当者もこちらのサイトを見てるのかもですね笑