2020年4月24日金曜日

パリの博物館も探した毛むくじゃらのヘビ ~ アルジェリアン・ヘアリー・バイパー


■パリの博物館も探した毛むくじゃらのヘビ ~ アルジェリアン・ヘアリー・ヴァイパー

北アフリカの大国、アルジェリア。

1952年、この国のほぼ中心に位置する都市、ドラリア (Draria) で非常に奇妙なヘビが地元住民によって目撃されます。

それは住民のひとりが、木の幹の一部に異様な膨らみがあることに気付いたことから始まります。

その膨らみ全体は赤褐色の「毛」で覆われていたため、あたかも木から毛が生えているように見えました。

(いったいなんだろう?)

男性は怪訝に思いました。

しかしおそらくはなんらかの病気による「異常な成長」に違いない、異変に気付いた住民たちもその「毛の生えた木」に興味を持ち木の周りを囲むように集まりました。

すると意外なことが起きました。

毛の生えた木の膨らみが突然動き出したのです。

それは決して木のコブなどではなく「毛の生えたヘビ」だったのです。

毛むくじゃらのヘビは地面に向かって木を降り始めました。

村人のひとりが謎の生物をよく見てみようと近づくと、シューッという威嚇音を立てそのまま草むらに滑り降りると森の中へ姿をくらませてしまいました。

まだまだ未発見の生物がたくさんいた19世紀の半ばです、ヨーロッパの人々が足を踏み入れていないアフリカやアジアには見たことにないような生物がたくさん生息していました。

フランスの首都パリにある国立自然史博物館 (Museum of Natural History) はこの謎の生物の噂を聞きつけ、是非とも館のコレクションにこの「毛むくじゃらのヘビ」を加えたいと考えました。

館はアルジェリアに職員を派遣し、この謎の生物、アルジェリアン・ヘアリー・ヴァイパー (Algerian hairy viper) の捕獲を試みます。

しかし努力の甲斐なくこの生物を見つけることは叶いませんでした。

そしてその後、現在に至るまで「毛むくじゃらのヘビ」が博物館の新たなコレクションとして加わることはありませんでした。

謎のヘビは二度と人間の前に姿を表すことはなかったのです。

未確認動物学者のカール・シューカー博士はその正体として未発見の巨大な毛虫ではないかと推測します。

しかし目撃情報から体長は22インチ (約56センチ) もしくは2フィート (約61センチ) といわれています。

ヘビとして考えれば小柄ですが毛虫としてはあまりに大きすぎます。

(ヘビと誤認するには厳しいか)

「毛の生えたヘビと誤認してしまうヘビ意外の生物」として、例えばイタチなどが候補に挙がります。

イタチは胴体が長い割に相対的に四肢が短いため、見慣れていない住民たちが四肢を見落としヘビと誤認したという考えです。

耳が特に小さい種であれば頭部も丸みがあり見ようによってはヘビっぽく見えなくもない、という感じですが、全体としてのシルエット、動作を考えるとヘビと誤認するとはなかなか考えにくいところです。

(ヘアリー・ブッシュ・バイパー)

そこで候補に挙げたいのがヘアリー・ブッシュ・バイパー (Atheris hispida)。

全身トゲのように毛羽立ったウロコに覆われたヘビで、まさにヘアリー (毛むくじゃら) なヘビです。

体長も最大でも29インチ (約73センチ) と、謎のヘビ、アルジェリアン・ヘアリー・バイパーと同サイズ。

難点としてはヘアリー・ブッシュ・バイパーは中央アフリカに生息するヘビであり、そもそもアルジェリアはヘアリー・ブッシュ・バイパーを含むブッシュ・バイパー属 (Atheris) の生息域から外れていることです。

現在であれば生息域以外でもペットが逃げ出したもの等で片付けられますが、19世紀半ばとなるとそういった可能性は低いかもしれません。

そういうわけで、アルジェリアン・ヘアリー・バイパーの正体は既知種ではなく、「アルジェリアに生息する未発見のブッシュ・バイパー」を推したいと思います。

しかし、当時ですら探しても見つからなかったことから、すでに個体数は少なくもしかすると絶滅してしまっているかもしれません。

ちなみにヘアリー・ブッシュ・バイパー、環境によっては強烈な神経毒を持っている場合があり、咬まれれば人間でも最悪死に至る可能性もあると言われています。

(参照サイト)
Pine Barrens Institute

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1 件のコメント:

  1. 木と誤認したならば、免疫不全で体表に苔やカビ生えた個体とか想像してまうなー。

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