オーストラリアに生息する超猛毒蛇、タイパン。
タイパンは3種おり、日本語で単に「タイパン」と呼ばれるのは英名コースタル・タイパン (coastal taipan, Oxyuranus scutellatus) のことです。
他2種が、英名インランド・タイパン (inland taipan, Oxyuranus microlepidotus)、セントラル・レンジズ・タイパン (Central Ranges taipan, Oxyuranus temporali) で今回の主役はインランド・タイパンこと、ナイリクタイパンです。
和名ナイリクタイパンは英名を見れば分かるとおり、インランド・タイパンを直訳したもので、コースタル・タイパン、セントラル・レンジズ・タイパンもナイリクタイパン風に直訳すればそれぞれ、エンガンタイパン、チュウオウサンミャクタイパンといった感じになり、生息域を名前に冠します。
さてこのインランドタイパン、タイパンの中でもっとも猛毒であるどころか、世界中の毒蛇の中でぶっちぎりの毒性を持つ超猛毒蛇です。
一咬みで注入する毒の量は、成人男性100人以上の致死量に匹敵します。
また、あまり太くはならないものの、体長も3メートルを超えて成長するため十分威圧感もあります。
しかしこれほど巨大になり、とんでもない猛毒をもつ生物でありながら一部の動物好きを除けばナイリクタイパンの知名度は決して高いとはいえません。
それはなぜか?
前述の通り、タイパンの名はその生息域をあらわします。
ナイリクタイパンの生息域はオーストラリアの内陸部、人家のない半乾燥地帯であり、人と接することはほとんどありません。
それに加え、気性も穏和で遭遇しても好んで攻撃を仕掛けてくることもないため、咬傷事故が起こることはまずありません。
そのためコブラやマムシのように「殺人ヘビ」として、ナイリクタイパンの名が挙がることはなく、自ずと知名度も低くなるわけです。
とはいえポテンシャル的には地球上最強の猛毒蛇であり、咬まれれば終わりで過去には死者も出ています。
何もしない相手には何もしませんが、攻撃を仕掛けてくる相手に対してはディフェンス上やむを得ず咬んでくることが分かっています。
心優しき殺人鬼を怒らせるのは得策ではありません。
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