「釣り上げたとき、ぱっと見は海藻が引っかかってるのかと思ったわ。
でも笑っちゃったの、どう見たって魚じゃないし、海藻でもないって分かったから。
戦闘態勢の特大ミミズみたいだったわ」
アメリカ、テキサス州のポートイザベル (Port Isabel) で釣りをしていたアリッサ・ラミレス (Alyssa Ramirez) さんは奇妙な生物を釣り上げたとそう思ったといいます。
長い体を収縮させながら体の側面から生えるトゲをムカデの足ようになだらかに動かす生物。
「すっごい興味があったの、だって海洋生物が好きなんだもの。
だからこの生物を記録しておくために何枚か写真を取ってテキサス公園野生生物局 (Texas Parks and Wildlife Department) に (なんの生物化特定してもらうために) 送ったわ」
(image credit by The SUN / Alyssa Ramirez)
これは環形動物のウミケムシですが、専門家によればおそらくヘルモディケ・カルンキュラタ (Hermodice carunculata) という種で、英名はベアーデッド・ファイアワーム (Bearded fireworm)、「アゴヒゲのウミケムシ」の意です。
和名が分からないのでアゴヒゲアザラシの英名ベアーデッド・シール (Bearded seal) に習いアゴヒゲウミケムシと仮に呼びましょう。
アゴヒゲウミケムシの体長は通常5~10センチ程度ですが最大で35センチに達するウミケムシ最大の種で、地中海から大西洋の熱帯沿岸海域に広く分布します。
サンゴやイソギンチャク、甲殻類をエサとします。
毒の有無に関わらず、この姿を見て素手で触る人はあまりいないものと思われますが、わりと強めの神経毒を持っており、刺されると火に触れたような感覚に襲われるといい、これがウミケムシを英語でファイアワームと呼ぶ所以です。
水から上げるとそのグロテスクな風貌から「刺されたら死ぬ」的な都市伝説もどきも存在しますが、そこまで毒は強くはありません。
しかしウミケムシの毒は神経毒であり刺された後しばらく激しい痛みと炎症が続き、場合によっては吐き気やめまいなど重篤な症状に陥ることもあるといいます。
ただし、アゴヒゲウミケムシの動きは遅く、不用意に掴んだり間違って踏んだりしない限り刺されることはまずないといい、基本的に危険な生物とは考えられていないそうです。
(参照サイト)
The SUN
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