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2025年10月18日土曜日

シーサーペントはこいつが生き残っているからだ! ~ パラエオフィス・コロサエウス


■シーサーペントはこいつが生き残っているからだ! ~ パラエオフィス・コロサエウス

海のUMAの代表格といえば大海蛇、シーサーペントですね。

その正体として、巨大なウナギやアナゴといった細長い体型の魚類、遊泳を得意とする大蛇、アミメニシキヘビ (Malayopython reticulatus) やビルマニシキヘビ (Python bivittatus)、それに絶滅種の首長竜等の大型の爬虫類が人気です。

「ウミヘビ」といいつつ「未発見の巨大なウミヘビ」が候補に上がることはほとんどありません。

現生のウミヘビはそれほど体格が良くないのが原因でしょう。

最大種はネジウミヘビ / キイロウミヘビ (Hydrophis spiralis) の3メートルです。

が、実際は古くから大型のウミヘビの存在が知られています。

今回は実在が確認されている、巨大なウミヘビ、パラエオフィス (Palaeophis) を見ていきましょう。

といってもパラエオフィスは全部が全部大きいわけではありません、種によってサイズはかなり差があり、最小種のパラエオフィス・カセイ (Palaeophis casei) は1.3メートルほどしかありません。

しかし大型種であるパラエオフィス・グランディス (Palaeophis grandis) は5メートル超、パラエオフィス・コロサエウス (Palaeophis colossaeus) に至っては小さな個体で8メートル、大型のもので12メートル超と推測されています。

5メートルでも満足ですが、パラエオフィス・コロサエウスの12メートルなら文句なし!、このサイズなら完璧にシーサーペントとして十分な大きさです。

パラエオフィス・コロサエウスが棲息していた時期は5600万年前から3390万年前の始新世、現在の北アフリカがある地域 (当時は海) の温暖な海です。

発見されているのは椎骨のみ、頭部の化石は発見されていないため食性に関してはあまり詳しく分かっていませんが、その巨体からウミヘビにして頂点捕食者、魚類はもちろん、ワニやカメといった爬虫類、そして海棲哺乳類まで幅広く襲っていたのではないかと推測されています。

そしてもっとも興味深いのは獲物のひとつとしてクジラも襲っていたのではないか?というものです。

クジラといえば巨大生物の代名詞。

イメージ的には現生のシロナガスクジラ (Balaenoptera musculus) を襲っている姿が頭に浮かびそうですが、そこまでの大型種ではなく、標的は小型のクジラたちです。

(史上最重量の噂のあるペルケトゥス・コロッスス)
(original image credit: Wikicommons)

初期のクジラには小型のものが多くいましたからね (とはいえ、ペルケトゥス・コロッススのように史上最重量クラスのクジラもいましたが)

とはいっても現生のウミヘビは主に小型の魚類を食べており、小型のクジラ類、例えば最小種、体長1.5メートルのコガシラネズミイルカ (Phocoena sinus) ですら襲うなんてことは想像もつきません。

ま、今後、主流になるかは分かりませんが、シーサーペントの正体としてウミヘビそのものが候補に挙がるのは理想であり、パラエオフィス生存説も加えておきましょう。

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2025年10月17日金曜日

はるか昔に絶滅したウミサソリ遭遇事件 ~ スペックス


■はるか昔に絶滅したウミサソリ遭遇事件 ~ スペックス (スぺクス)

今回はスペックス (Specs)。

スペックスとは1950年代に目撃されたという、ウミサソリに似た甲殻類系UMAにつけられたニックネームです。

それではこの「ウミサソリ遭遇事件」を見ていきましょう。

1959年3月11日、アメリカ、フロリダ州のマイアミビーチを船底がガラス製で海の底が見える大型ボート、コムレイド II (Comrade II) が観光客を乗せて出港しました。

(ガラス底のコムレイドII)
(image credit:)

ビーチから約2マイル (3.2キロメートル) の地点に差し掛かったころ、ベテランダイバーのボブ・ウォール (Bob Wall) 氏は海へと飛び込み、船の下を泳ぎながら観光客相手に海洋生物やサンゴ礁のガイドを始めました。

ウォール氏は水深35フィート (約10メートル) ぐらいを泳いでいましたが、海底洞窟があったため、その中を覗き込んでみると思いもかけないものが潜んでいたのです。

それは見たこともないほどの巨大な甲殻類でした。

円筒形の体は5.5フィート (約165センチ)、毛むくじゃらの脚は8本あり、尖った頭部には短い触角が生えていました。

奇妙なのはその目で、頭部から伸びた柄の先端に直径2インチ (約5センチメートル) もある大きな目玉が付いていました。

その怪物じみた甲殻類はウォール氏を見て逃げるどころか近寄ってきたため、慌ててウォール氏は水上へと逃げ帰りました。

ウォール氏はこの生物について、足は8本あるものの、もちろんタコではなく、甲殻類に似ているがカニでもイセエビでもないと証言しました。

ウォール氏はその生物がなんであるかの言及を避けた感じです。

本当になんであるか分からなかったのかもしれません。

で、冒頭の方で「ウミサソリ遭遇事件」と書きましたが、どこから「ウミサソリ」の話が出てきたかというと、この謎の生物の遭遇事件を、アメリカの未確認動物学者、故マーク・ホール氏がその生物はウミサソリではないのかと語ったことに端を発します。

(ミクソプテルス・キアレリ / Mixopterus kiaeri)
(image credit: Wikicommons)

ウミサソリは恐竜が現れる前に絶滅しており、存在するにはかなり敷居の高い生物です。

代表的なウミサソリのユーリプテルス (Eurypterus) は全体的なシルエットがサソリ風であり、海棲のサソリを連想させることからこの名を持ちます。

ユーリプテルスは最大種で50センチほどですが、ウミサソリの最大クラスともなると2メートルを優に超す種もわんさかおり、イェーケロプテルス (Jaekelopterus rhenaniae) は8.5フィート (約2.6メートル) にもなりました。

というわけで、大きさ的には余裕でウミサソリなら何ら問題ありませんが、ウォール氏はその謎の生物の体を「円筒形」と表現しています。

ウミサソリの体は上下に極端に扁平しており、それこそ現生のサソリのような感じであり、というか現生のサソリ以上にぺったんこなので「円筒形」という表現からかなり遠いです。

また、柄の先に目玉があったとウォール氏は語っており、残念ながら柄の長さがどれぐらいなのかは分かりませんが、ウミサソリは柄の先に目がある種は少なくとも現時点では発見されておらずここら辺もマイナスポイントです。

そういうわけで大きさ以外、あまりシルエットは似ているとはいえず、ウミサソリ説はちょっと厳しいかもしれません。

まぁまだ発見されていないウミサソリの種も存在するでしょうし、仮に細々と生き残っていたとしたらずいぶんと姿も変わっている可能性もありますから完全否定はしないでおきましょう。

で、一番あり得そうなのはやはりエビです。

円筒形の体にとんがりヘッドはエビの特徴です。

で、イセエビなんかは目も飛び出しており、こちらもエビが有利。

問題は大きさのみです、、、が、この大きさが曲者ですね。

(巨大ロブスター、ジョージ)
(image credit: Florida Restaurant Law)

ロブスター (オマール海老) のような大きなハサミをもっていたともウォール氏は証言しておらず、単に体だけで165センチあったようです。

日本人的にはオマール海老のように、ロブスターといえば相対的に体に対し巨大なハサミを持つイメージですが、イセエビの仲間 (Panulirus) もロブスター (厳密にはスパイニー・ロブスター) と呼ばれます。

まぁ「体のでっかいエビ = ロブスター」ですね。

このスペックス目撃地点にもアメリカイセエビ (Panulirus argus) が棲息しており、候補になるかと思いきや、前述の通り、ウォール氏は「イセエビではなかった」とはっきり証言しています。

まぁモンスター級に大き過ぎてアメリカイセエビに見えなかった、というのは考えられるかもしれませんね。

いわゆるロブスター、オマール海老の仲間も棲息していますが、ハサミの言及がなかったのでこちらも脱落ですかね。

ちなみに今まで発見されたロブスター (オマール海老) で最も大きかったもので尾から離さ実の先端までで106センチメートルです。

(ミナミゾウリエビ / Parribacus antarcticus)
(image credit: Wikicommons)

まぁもうこうなるとお手上げで候補はいませんが、カニにもイセエビにも見えなかったということなので、苦し紛れのウチワエビはいかがでしょう?

この地域にもウチワエビを含むセミエビの仲間 (Scyllaridae) は棲息しており、頭部は尖がっていませんが、アメリカイセエビには全く似ていませんし、足も短いし特徴的にはさっぱりですが、未知のウチワエビの巨大種であれば訳の分からない生物として認識される「かも」しれません。



2025年10月16日木曜日

完璧な美少女の姿の実をつける樹は実在する ~ ナリポン


■完璧な美少女の姿の実をつける樹は実在する ~ ナリポン

今回はナリポン (Nariphon)。

タイの仏教神話に伝わる「美少女の実」をつける樹およびその実の呼び名です。

ナリーポン/ナリー・ポン (Nareepon/Naree Pon)、マッカリポン (Makkaliphon) 等々、タイ語の発音から聞いたまま英語のスペル化されたためでしょうか、呼び名は多岐にわたります。

旧サイトではナリーポンで紹介しましたが、日本ではナリポンが最も一般的な呼び名のようなので、今回はナリポンで紹介します。

生物 (もしくは生物の形状) の実をつける伝説の植物には「ワクワクの木」や「マンドラゴラ (マンドレイク)」「スキタイの羊」等があり、それらと同系統の未確認植物、UMP (Unidentified Mysterious Plants) といえます。

マンドラゴラは実在する植物ですが地下茎 (ちかけい) が人の姿に似ることと致命的な神経毒を持つことから伝説上の植物と勘違いしている人も多いでしょう。

さてこのナリポン、この樹は花が散った数日後、たくさんの実をつけるといいます。

(ナリポンが発見されたとニュースになりましたが、、、)

その実の姿は「完璧な美少女 (具体的には「16歳の乙女」とも)」の姿をしています。

まぁ細かいことを言えば「完璧な美」とはその地域や時代で変貌しますので普遍的なものではありませんから、かなり抽象的な言い回しではあります。

ま、皆さんそれぞれが「完璧な美少女」を思い浮かべてみるといいでしょう。

さて「彼女 (ナリポン)」たちは魔力を持ち、まるで人間のように歌ったり踊ったりすることができます。

しかし、内臓も持ちますが骨はなく非常に柔らかい体をしています、ま、所詮「植物の実」ですからね。

ナリポンの寿命は僅か7日間、魔力の尽きたナリポンの実は地面に落ちるとみるみる萎み、そしてミイラのようになってしまいます。

(ナリポンのミイラ)




さて、そんなナリポンですが「元」美少女、寿命の尽きた8日目以降のミイラ姿のナリポンがタイの寺院に保存されています。

それは元美少女であった面影は微塵もない醜い手のひらサイズの奇妙なミイラです。

チリをはじめとする中南米で発見されたら地球外生命体と確実に言われそうな代物です。

手足のぐにゃぐにゃ具合は確かに伝承通り骨が入ってなさそうですが、背中側から見ると背骨や肋骨のようなものが体内にあるように見えます。

是非ミイラになる前の「完璧な美少女」姿のナリポンを見てみたいですね~