2030年12月31日火曜日

このサイトについて



「くりぷとUMA大全 〜世界の奇妙な住人たち」は世界中のUMA(未確認生物)、絶滅種を含む不思議な動物 (珍獣) や植物、巨大生物、それに加えゴーストやUFO、そして昆虫食をはじめとする奇妙な食材や料理などを紹介しているサイトです。

特にUMAをメインとし、超メジャーなものから日本ではあまり馴染みのない超マイナーなUMAも数多く紹介しています。

不思議なお話が好きな方はどうぞごゆっくりご鑑賞ください。

2024年4月25日木曜日

ロシア、ヴェドロゼロ湖に潜むアクアマン ~ ウォーター・ゴブリン


■ロシア、ヴェドロゼロ湖に潜むアクア・マン ~ ウォーター・ゴブリン

フィンランドとロシアに跨るカレリア地方。

カレリアの自然や建造物はまさにおとぎの国のから抜け出してきたかのような非現実的な美しさに溢れています。

そしてこの地にはヴェドロゼロ湖 (Lake Vedlozero) という、これまた大変美しい湖があります。

ここにもし未確認生物が存在するというのであれば、それはきっと妖精のような姿をしているに違いありません。

さて、そんな怪物とは無縁そうなこの湖ですが、ちょっとばかり不思議な話がありました。

この湖のそばにある村の老人、P.F.ヤゴノフ (P. F. Yegorov) さんは、生前、この湖に光り輝く物体が空から降ってきたと常々語っていたのです。

決してパラノーマルの現象としてではありません、おそらくそれは隕石だった可能性があります。

(カトレアの建造物)
(image credit by Wikicommons)

ヤゴノフさんは既に亡くなっており目撃したのがいつだったのか正確な期日は分かりませんが、この噂を聞きつけ1990年代に入り湖底の調査が行われました。

その空から降ってきたもの、おそらく隕石、が湖底に眠っているかもしれない、しかし残念ながらその調査では何も発見することはできませんでした。

この探検隊に参加したメンバーの中にはロシアの未確認動物学者ヴィクトル・サプノフ (Viktor Sapunov) 氏も名を連ねていました。

収穫なしでさっさと撤収、というのもなんですからこの湖になにか他の伝説はないかと近隣の住民に聴いて回りました。

ダメもとの聞き取り調査、しかし驚いたことに地元住民たちの口から思いもかけない情報が引き出せたのです。

この湖では丸い頭の謎の小柄なヒューマノイド、「ウォーター・ゴブリン (Water Goblin)」なる未確認生物が目撃されていたのです。

水棲の獣人でしょうか?

それは妖精タイプなのか、それとも醜悪なタイプなのか。

サプノフ氏の情報は限定的であったため詳しいことは分かりませんでしたがそれでも十分過ぎるほどの大スクープです。

元々はソ連の機関紙であり現在はロシアの大手新聞プラウダはサプノフ氏の話を聞きつけると、もっと住民たちに詳しい話を聞こうと現地調査に乗り出しました。

ところがです、プラウダの記者たちがこの村に訪れ住人に話を聞いたところ、住人たちは誰一人としてそんな生物を見たこともなければ噂すら聞いたことがないというのです。

「あの湖で見たことのある変わったもの?アザラシぐらいかな」

この湖と地理的に近いヨーロッパ最大のラドガ湖にはワモンアザラシ (Pusa hispida) が生息しており、河川で繋がっていることから稀にこの湖にも訪れることがあるといいます。

しかし住民たちは彼らをちゃんと「アザラシ」と認識しており怪物とは思っていません。

上記の通り、ラドガ湖から来ていることすら理解しています。

ウォーター・ゴブリンは探索時にたまたま目撃したワモンアザラシからヒントを得たサプノフ氏の完全な捏造だったのか?

一説には怪物話を詮索する余所者のサプノフ氏にからかい半分でほら話をふっかけたとも言われています。

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2024年4月24日水曜日

バハマのもうひとつの巨大頭足類 ~ ジャイアント・スカットル


■バハマのもうひとつの巨大頭足類 ~ ジャイアント・スカットル

浅瀬の海に巨大な穴が開いたように見えるブルーホーム (blue hole)。

実際にその部分だけが回りよりも極端に深く、これは穴がいているように見えるのではなく実際に穴が開いているのです。

ブルーホールといえばこれ!というほど有名な中米ベリーズのグレイト・ブルー・ホール (Great Blue Hole) は直径318メートル、深さが124メートルという巨大なものです。

(有名な中米ベリーズのグレイト・ブルー・ホール)
(image credit by U.S. Geological Survey/Wikimedia)

美しさと不気味さの両極端の魅力を持つブルーホールを目にすれば、この中に得体のしれない怪物が棲息しているかもしれない、と思うのは自然な流れかもしれません。

そんなブルーホールに棲息する怪物の代表はルスカです。

ルスカはバハマのアンドロス島 (Andros Island) 沖のブルーホールに生息するといわれており、そのブルーホールがいずれであるかは分かっていません。

詳しくはルスカの記事を読んでいただくとして、多くの場合、ルスカは巨大な頭足類、特に巨大ダコとして描かれます。

そしてバハマにはルスカ以外にも巨大な頭足類が棲息しているといわれます、今回紹介するジャイアント・スカットル (or ジャイアント・スカトゥル, Giant Scuttles) です。

スカットルもまたルスカのようにその姿はタコであるかイカであるかはっきりしていませんが、バハマの言葉でスカットルは「タコ」を意味するということで取り敢えずタコとして考えていきましょう。(※名前に「タコ」とついていても生物学的にタコとは限らないため断定できません)

スカットルの触腕を広げた時の大きさは100フィートとも200フィート (約30~60メートル) ともいわれておりルスカとも引けを取らない巨大ダコです。

記録に残る最も古いスカットルの目撃情報は20世紀初頭のもので、グランド・バハマ島の長官が12歳のころに体験したものです。

ルスカの生息地としても有名なアンドロス島沖で父親と小舟に乗って釣りをしていた時のことです。

父親の仕掛けに何かがかかりました。

それは非常に重く大物であることは確かで、ゆっくりゆっくりとしか引き上げることはできませんでした。

父親が時間をかけ引き上げている最中、海をのぞき込むと獲物がうっすらと見えてきました。

なんとそれは信じられないほど大きなタコだったのです。

突如、父親の竿にかかる獲物の引く力が軽くなりました、タコがエサを手放したのです。

巨大なタコは急浮上すると、親子の乗っている船に触腕でしがみつき、船上に上がってこようかという勢いです。

二人は急いでパドルを手に取るとタコの体を何度も何度も殴打し引き離すことに成功しました。

スカットルは慌てて海の中へと消えていったといいます。

スカットルはこのように船そのものを襲うことが多いようで、地元の漁師たちはスカットルの触腕で船に巻き付かれた話をよくします。

但し、船を襲うにも関わらず、遊泳中の人やダイバーが襲われた事件は皆無であり、その見た目や行動とは裏腹に生身の人間には危害を加えないと信じられています。

これはスカットルのエサとしては人間はあまりに小さすぎてその対象となっていないからといわれています。

ところでジャイアント・スカットルはルスカとはどう違うのか?

これが実は難しく、敢えて言えばルスカが真に巨大ダコかそれとも巨大ダコに似たハイブリッド生物であるかはっきりしていないこと、またルスカと生息地が被っているもののルスカはブルーホールからほぼ動かないのに対し、スカットルは生息域がもう少し広くまたより深海に生息するなんていわれています。

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2024年4月23日火曜日

北米で目撃が頻発する巨大ナマケモノ ~ ゴープ (ゴルプ)


■北米発の巨大ナマケモノ ~ ゴープ (ゴルプ)

先史時代の地上性のナマケモノには巨大なものも少なくなく、UMAとしても頻繁に登場します。

特に南米で巨大ナマケモノ系のUMAは多く登場しますが、これは絶滅した巨大ナマケモノの化石の多くが南米大陸で発見されているからでしょう。

体長6メートルの最大種、メガテリウム (Megatherium) をはじめ、ミロドン (Mylodon) やグロッソテリウム (Glossotherium) 等、南米には多くの巨大な地上性ナマケモノが生息していました。

化石が発掘された地ではその生物が馴染み深くなり、UMAの正体としてその生物の名が挙がり易くなります。

しかし地上性の巨大ナマケモノが棲息していたのは南米だけではありません、特にメガロニクス (Megalonyx) は北米大陸全域に棲息し、体長も3メートルぐらいまで成長しました。

メガロニクス・ジェファーソニ (Megalonyx jeffersonii) 
(image credit by Wikicommons)

メガテリウムがあまりに大き過ぎるためメガロニクスが若干見劣りしますが現生のクマの最大個体ほどある体長のナマケモノで、実際に遭遇しようものなら腰を抜かすでしょう。

さてUMAの話に入りましょう。

今回のUMAはもちろん巨大ナマケモノ系で北米で目撃されるゴープ (or ゴルプ, Gorp) です。

ニューヨーク州に住む15歳の匿名の少年が超常現象研究家のジョン・A・キール (John A. Keel) 氏にゴープとの遭遇体験の手紙を送ったことからこのUMAの歴史はスタートします。

「3、4年ほど前のことです、わたしの近所にある沼のほとりで真っ白の怪物を目撃しました。

それからというもの、わたしは近所で何度もこの怪物に遭遇しています。

そしてある夜のこと、そいつはついに私の家の庭に現れたのです。

体高は12~18フィート (約3.6~5.4メートル)、6~8フィート (約1.8~2.4メートル) 程の長い尾を持っていました。

全身が毛皮で覆われており、季節に問わず真っ白い毛をしていました。

そいつは単独でいるときもあれば二匹でいるときもありました。

二足歩行も四足歩行もできました。

これは絶滅した巨大ナマケモノの2倍ほどの体長があります。

わたしの家族も全員そいつを目撃していますし、他にも2人ほど目撃した人を知っています。

わたしは現在15歳でくだらない冗談をいう歳ではありません、確かに目撃しましたし彼らは実在します」

大きさはともかくクマじゃないの?と思う人は多いと思いますし、実際その可能性は高いといえますが、ゴープの目撃者はクマではなく巨大なナマケモノに似ていると口をそろえます。

超常現象研究家のロン・ストリックラー (Lon Strickler) 氏に超至近距離での遭遇体験を送った女性もクマではなくナマケモノに似ていたと証言しています。

「2010年ごろのことです、その怪物の体高は6~7フィート (約1.8~2.1メートル) ぐらい。

二つの目があって後肢は後ろ側に湾曲して、四肢には長い爪がついていました。

後肢はとても短かったです。

車のガラスを挟んでわずか数インチ先でその怪物はわたしを覗き込んできました。

わたしが悲鳴を上げるとその怪物は向きを変えゆっくりと四足歩行で去っていきました」
他にも全米各地で巨大ナマケモノの目撃はありますが、やはり一瞬クマと錯覚するものの決してクマではなくナマケモノに似た生き物であるといいます。

タイプ的にビッグフットの亜種ともいえなくもありませんが、目撃者はクマやビッグフットとは決して違うといい、60年以上現代まで目撃が続いている不思議な不思議なUMAです。

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2024年4月22日月曜日

毒ガニ ~ アンダーウォーター・フライ (クイックイッヤーイェー)


■毒ガニ ~ アンダーウォーター・フライ (クイックイッヤーイェー)

今回は毒ガニ。

毒ガニといえばスベスベマンジュウガニ (Atergatis floridus) ですが、今回の毒ガニはUMAのほうです。

このカニはカナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のチリワックの先住民族に伝わる伝説の猛毒ガニで、アンダーウォーター・フライ (Underwater Flies)、「水中の蠅」と呼ばれます。

先住民族はアンダーウォーター・フライをクイックイッヤーイェー (クウィックウィッヤーイェー, Xwixwiya:ye) と呼びます。

スベスベマンジュウガニが海棲であるのに対し、アンダーウォーター・フライは淡水棲で大きさは手のひらほど、それほど大きなカニではないようです。

カニでありながらハエ (fly) と呼ばれるのはその姿と敏捷性で、姿が似ているだけではなく水中の中をまるでハエのようにすばしこく動き回るといいます。

そしてその猛毒についてですが、スベスベマンジュウガニ等、猛毒のカニは体内に毒を溜め込みますが、能動的に毒を使うことはなくあくまで毒を持っているだけ、つまり食べなければ平気です。

つまり触ったりハサミで挟まれたりしてもちろん平気です、しかしアンダーウォーター・フライはその点が大きく違います。

このカニはもちろん体内に毒を有してますが、その毒を能動的に、つまり攻撃に使うことができます。

アンダーウォーター・フライは相対的にハサミが大きいといわれ、このハサミにはおそらく毒腺が仕込まれており、天敵をハサミで挟むことで天敵に毒を注入することができます。

そしてその毒たるやすさまじく人間ですら命を落とすほど強いといいます。

さてこのカニ、実在するのかどうかというとUMAですからね、それは分かりません。

ただスベスベマンジュウガニも死んだ人はいませんが毒の含有量だけなら余裕で人を殺せるほどなので、人を殺せるほどの毒を持つカニ自体は既に存在しており、問題はその毒の使い方のみとなります。

気になるのは先住民族の言うこのカニに「フライ」の名を与えた理由。

姿がハエに似ているカニ、というのがどうしても解せません。

これはカニではなく刺す水棲昆虫、タガメであるとかマツモムシであるとかが誇張されて伝わった可能性があるかもしれません。

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2024年4月21日日曜日

大飢饉を呼び起こした魔性の植物 ~ ハングリーグラス


■大飢饉を呼び起こした魔性の植物 ~ ハングリーグラス

「ハングリー・グラス」

今日は久しぶりに動物ではなく植物の話題、といっても普通ではなく怪植物です。

ハングリー・グラス (Hungry Grass) はUMA風に表現すればUMP (Unidentified Mysterious Plants, 「未確認植物」の意) という表現になります。

アイルランドに伝わる怪植物でそのハングリー・グラスという名は「飢えた草」を意味し、この「飢えた」にはいくつかの解釈があります。

まずこのハングリー・グラス自体が字義通り飢えていると解釈する場合、それは「人喰い植物」である説と「作物を食べる植物」というふたつの考え方に分かれます。

前者であれば直接人に敵対し、後者であれば人間との食物の取り合いとなり間接的に人と敵対することを意味します。

そしてもうひとつの解釈、ハングリー・グラスが能動的に人や作物を食べるのではなく、この草が生えている一帯を人間が歩くと、その人物は飽くなき飢えに苦しむ、もしくは空腹過ぎて倒れる、という説があります。

これはもしかすると草原を歩いていたときに原因不明の失神等で倒れたりしたことを、合理的に説明しようとした末の迷信かもしれません。

いずれにしてもこの植物に人間は近寄るべからず、といった存在です。

この植物はアイルランド、マンスターのベアラ半島にあるハングリー・ヒル (Hungry Hill / Cnoc Daod) という実在する丘 (実際は山) を発祥とすると信じる人もいます。

もちろん「ハングリー」という名を持つからです。

このハングリー・ヒルに生えるハングリー・グラスの逸話があります。

ハングリー・ヒルは海沿いの丘でここを超えるとそこには海が広がります。

海に行くにはこの山を越えなければいけません。

しかしこの山には魔性のハングリー・グラスが生い茂っており無事に山を越えることはできません。

実際この丘を上った人は二度とその姿を見ることはないといいます。

ある時、このことを知らない若い釣り人が海に行きたいとこの村に訪れました。

人々は彼をとめましたが村人たちに彼は耳を貸しません。

彼はリンゴとサンドイッチを携帯すると、リンゴを食べながらハングリー・ヒルに登っていきました。

すると想像通り、静かだった地面は突如うごめき、ハングリー・グラスが次々と地面からヘビのようにのたうち回り青年を包み込もうと襲い掛かりました。

しかし彼はそれを気にも留めずリンゴを食べ続けました。

すると彼がリンゴをひと咬みするごとに襲い掛かってきたハングリー・グラスは地面に崩れ落ちていくのです。

そして青年がリンゴを咬みながら歩を進めるごとに襲い掛かってきたハングリー・グラスは地面に崩れ落ち、そしてすべてのハングリー・グラスは青年から離れました。

彼は無事に海へと辿り着くことができました。

ここからハングリー・グラスの上を歩くときは2つの食べ物を食べながら歩けば襲われないという逸話が出来上がりました。

もちろんこれはフィクションですが、このハングリー・グラス自体は19世紀、特に19世紀半ばにピークに達したジャガイモ飢饉 (Potato Famine) の未曽有の辛い体験が深くかかわっているのではないかといわれています。

この大飢饉でアイルランドは100万人以上の餓死者・病死者がで、また島外へ人口の20%程が流出したことにより急激な人口減を引き起こしました。

この時代、ジャガイモを次々と枯らせたジャガイモ疫病菌の存在は分かっておらず、ハングリー・グラスのようなスーパーナチュラルなものでも創造し自分たちを納得させない限り精神が持たなかったのかもしれません。

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