(この画像からThe Backroomsの伝説は始まった)
■バックルームとは?
バックルーム(The Backrooms)という言葉を、最近耳にするようになった方も多いかもしれません。これは海外のインターネット・ミームから発生したサブカルチャーの一大ジャンルであり、今や現代における「新しい怪談」の形として、底知れぬ恐怖を呼び起こしています。
一般的にバックルームは、現実世界の物理的な境界を「すり抜け(No-clip)」、迷い込んでしまう異次元空間と定義されています。そこにあるのは、古びた黄色い壁紙、湿ったカーペットの不快な臭い、そして静寂を切り裂く蛍光灯の絶え間ないハミング音だけが続く、果てしない無人のオフィスのような空間です。
この「恐怖」の根源を説明するのはおこがましいですが、敢えて端的に解説するのであれば、バックルームの恐怖は「クロストロフォビア(閉所恐怖症)」と「ケノフォビア(空虚恐怖症)」という、相反する恐怖症の残酷な融合と言えるかもしれません。
海外のコミュニティでは便宜上「アゴラフォビア(広場恐怖症)」と称されることも多いですが、その本質を解剖すれば、室内における空虚を忌避するケノフォビアの方が、よりこの空間の残酷さを言い当てていると言えるでしょう。
出口が見つからない密閉された圧迫感(閉所)と、どこまで行っても「何もない」という圧倒的な空虚(虚無)。本来は対極にあるはずの二つの苦痛が、あの黄色い空間では同時に襲いかかってくるのです。
狭い空間や機能的な建築に慣れている日本人には、このバックルームの恐怖は伝わりづらいものかもしれません。しかし、どこに繋がっているとも知れない、記号化された黄色い廊下と部屋をじっと眺めてみてください。
想像してみてください。例えば、放課後の誰もいない学校の教室や、深夜の静まり返った廊下。あるいは、閉店時間を過ぎ、照明が落とされた薄暗いショッピングモールの店内を。
ふだんは人々の喧騒で溢れているはずの場所から、不自然に「人間」という要素だけが取り除かれたとき。そこには、ただの空虚ではない、何か禍々しい「圧倒的な虚無」が立ち現れます。
静寂の中で、規則的に並ぶ蛍光灯や、音もなく動くエスカレーター。それらは、人間が利用するために作られたはずなのに、主(あるじ)を失った瞬間に牙を剥き、私たちを拒絶し始めます。
見慣れた「部屋」という概念が反復し、ゲシュタルト崩壊を起こし始めたとき、あなたの本能は気づくはずです。そこは「どこかへ行くための場所(リミナル・スペース)」でありながら、永遠に「どこにも辿り着けない」場所であることに。
冒頭の何気ない写真をもう一度見つめ続けてください。
この得体の知れない怖さが、静かに、しかし確実に牙を剥くような気がしませんか?
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