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2025年11月15日土曜日

毛むくじゃらのレイク・ サーペント 〜 アンギラ・ペルーダ


■毛むくじゃらのレイク・サーペント ~ アンギラ・ペルーダ

今回はアンギラ・ペルーダ (Anguila peluda)。

珍しくスペインのUMAです。

蛇のような細長い体型をした、いわゆるレイク・サーペントタイプの水棲UMAで、アンギラ・ペルーダもスペイン語で「毛むくじゃらのウナギ」を意味します。

プンタ・デ・アナガの池に棲息するといわれ、この怪物が棲息することからその池は後に「ウナギの棲む水たまり」を意味するチャンゴ・デ・ラ・アンギラ (Charco de la Anguila) と名づけられたとか。

プンタ・デ・アナガはスペイン領のカナリア諸島のひとつで最大の面積を誇るテネリフェ島 (Tenerife) の最北東端の海沿いにあるアナガ山脈に位置します。

アンギラ・ペルーダは古来より伝わるもので民間伝承性のかなり強いUMAで、地元住民たちはアンギラ・ペルーダを「悪魔の化身」と捉え退治したという言い伝えが残ります。

つまり現在は目撃されていないということです。

日本でいうと昔話に出てくる鬼が退治されたのと大して変わりありませんが、UMAの正体として敷居の高すぎる恐竜や彼らと同時代の海生爬虫類、もしくは現存するいかなる生物にも全く似ていないタイプではなく、前述の通りいわゆる「ウナギ」タイプというところに実在する (した) 一縷の望みを掛けましょう。


その「チャンゴ・デ・ラ・アンギラ」と現在呼ばれている池の規模が分かりませんが、「池」や「水たまり」と表現されることからそれほど大きなものでないことは推測できます。

淡水か塩水かも分かりませんが、ま、ウナギということにしておけばどちらでもいいでしょう。

アンギラ・ペルーダはとてつもなく大きいということで具体的な大きさは分かりませんが規格外に大きな個体のウナギということにしておきましょう。

問題はその名前の由来にもなった「毛」の方です。

捕まえて解剖したわけではないので、この毛は大きく3つのパターンが考えられます。

1つ目はその字義通り、全身に毛が生えている (もしくは毛皮を纏っている) というもの。

1個体だけの突然変異も一応これに含めておきましょう。

UMA界ではファー・ベアリング・トラウトがいますね。

(カエルアンコウ)
(image credit: Wikicommons)

2つ目はカエルアンコウ (Antennarius striatus) やその仲間のように、まるで毛のような突起が全身に生えているパターン。

そして最後に苔や水草が体全体についてしまった個体です。

1はほぼ不可能なので、2か3しかありませんが、3は川魚で実際に稀に観察されることがあるため、UMAのロマン上、新種である「2」を推したいと思います。

全身に毛のようなしなやかな突起を生やした巨大なウナギ。

その池が海に繋がっていたかは定かではありませんが、海にもほど近い地理的条件からきっと海から寄り道しただけに違いありません。

ちょっと寄り道し、居心地が割といいなと長居したところ人間たちに見つかってしまい「悪魔の化身」だなんだと大騒ぎされたため、アンギラ・ペルーダはそのまま海へと戻り、現在でも同種のヘアリー・イールはカナリア諸島の周りを泳いでいるかもしれません。

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2025年11月14日金曜日

マピングアリの亜種か!? ~ キダ・ハララ


■マピングアリの亜種か!? ~ キダ・ハララ

今回はキダ・ハララ (Kida Harara)。

南米を代表するUMAのひとつ、マピングアリ (Mapinguari / Mapinguary) と全く同一の生物を指しており、部族等による呼び名の違い、つまり別称に過ぎないという説も高いUMAです。

但し、マピングアリの目撃証言とキダ・ハララの目撃証言はあまり混同 (共有) されることはなく、どちらか一方でのみ語られることが多いため、一応別物の可能性も考慮して紹介します。

まぁマピングアリに詳しい人であれば、マピングアリの追加的目撃談とでも捉えていいかもしれません。

さてマピングアリという名称もなかなか奇妙な響きですが、キダ・ハララはそれ以上です。

気の抜けたような音感ですが基本「人喰い」と恐れられる存在です。

キダ・ハララという呼び名自体がマピングアリの別称の可能性が高いと書きましたが、キダ・ハララもさらにこの動物を指す別称が存在し、実際のところ収拾がつかなくなっています。

メガロニクス・ジェファーソニ (Megalonyx jeffersonii) 
(image credit : Wikicommons)

キダ・ハララはマピングアリと同様の生物と考えられていることから、巨大な絶滅した地上棲のナマケモノ、具体的にはメガテリウム (Megatherium) やミロドン (Mylodon)、エレモテリウム (Eremotherium) なんかが候補と上がっています。

メガテリウムに至っては体長6メートルの超巨大ナマケモノでしたが、キダ・ハララはもう少し控えめで大きくても体長3メートルぐらいといわれています。

(メガテリウムの全身骨格)
(original image credit: Wikicommons)


ナマケモノとして、というより野生動物で3メートルでもかなり大きいですが、キダ・ハララはそれよりもさらに小さい、人間と同程度という説もあり、マピングアリよりも実在する可能性は高そうに感じます。

毛色は暗い赤褐色、がっしりとした体格で太い腕を持ち、その先端には大きな湾曲したカギ爪を有します。

ふだんは四つ足で移動しますが、後肢二本で立ち上がることができます。

全体のシルエットはオオアリクイ (Myrmecophaga tridactyla) に似るものの、頭部はナマケモノのそれに似ているといいます。

オオアリクイとナマケモノの頭部は似ても似つかないことからオオアリクイの誤認ではなさそうには感じます。

かといって現生のナマケモノは樹上棲であり、さらにミユビナマケモノの最大種、ノドチャミユビナマケモノ (Bradypus variegatus)、やフタユビナマケモノ (Choloepus didactylus)  でも体長を1メートルを超えることはなく、そもそも見た目も全然怖くないので誤認しているとは考えにくいところです。

(オオアリクイ)
(image credit by Wikicommons)

ところでキダ・ハララの名称について再度触れると、キダ (Kida) は「獣」「野獣」といった意味をなし、ハララ (Harara) は笑い声の擬音、と解釈されキダ・ハララは「笑う野獣」意味するのではないかと考えられています。

人間目線であれば、ナマケモノは笑ったよう顔 (模様) をしていることから、そういった意味ではキダ・ハララは現生の樹上性のナマケモノの可能性があるかも?と思ってしまいます。

が、この「笑う野獣」の意味はキダ・ハララの鳴き声から来ているといわれ、その巨躯、怖さにも関わらず、甲高い笑ったような鳴き声を発するようです。

その「人喰い」と恐れられるのに対し、可愛らしい鳴き声は一見すると不釣り合いに感じますが、油断させて獲物をおびき寄せるための「声の擬態」とも考えられています。

尚、未確認動物学者のパット・エスパーニャ (Pat Espanha) 氏が、キダ・ハララを目撃した人物のひとりであるジェオヴァルド (Geovald) 氏に取材を試みたところ、見せた図柄のうち最も近いのは地上棲巨大ナマケモノであったといいます。

意外なことにキダ・ハララの目撃は21世紀に入っても依然として続いており、血眼で自分たちを探す人間たちを、木陰からニヤニヤしながら観察しているかもしれません。











2025年11月13日木曜日

鉄が呼吸をはじめた日 ~ 生きた金属、ビンガムトン大学の挑戦


■鉄が呼吸をはじめた日 ~ 生きた金属、ビンガムトン大学の挑戦

金属が、呼吸し、自らの意志で動き、自己修復能力を持つ――
そんなまるでSFのような話が、にわかに現実味を帯びてきました。

アメリカ・ビンガムトン大学の研究チームが、液体金属とバクテリアを融合させた「生きた電子生命体」を発表したのです。

――ついに「金属が呼吸する時代」に突入したようです。

以前に「ゼノボット」と呼ばれる、アフリカツメガエル (Xenopus laevis) の幹細胞から創られた「ロボット」が話題となりましたが、今回は金属と生命体の融合です。

「生物」と「無生物」の境界線がますます曖昧になってきましたね。

― バクテリアが、金属を動かす ―


研究チームが使ったのは、常温で液体となるガリウム・インジウム合金 (EGaIn)。
そこに、電気を発生させるバクテリアの一種、金属還元細菌ジオバクタ― (Geobacter sulfurreducens) を加えたのです。

注目すべきは、このバクテリアが持つ「金属から直接エネルギーを引き出す」という特異な生態です。

まさに自然界のサイボーグとも言えるこの微生物が、人工的な金属に「生命の息吹」を吹き込んだのです。

すると、金属の中を電子が流れ、まるで細胞膜のように化学的エネルギーが循環しはじめたのです。

この合体体は「外部電源なしで自己駆動」し、ダメージを受けても「修復」します。
しかも、バクテリアの代謝が止まると活動も止まる――つまり、これは「死の概念を持つ金属」です。

研究者たちはこの現象を「リビング・エレクトロニック・システム (Living Electronic System)」と呼び、「電子工学と生命科学の境界を越えた」とコメントしています。

― 科学が生んだ「半生物」の衝撃 ―


このニュースを報じたサイエンス・アラートやテック・エクスプローは、「金属が生命の定義を侵食し始めた」と評しています。

それもそのはずです。
この液体金属は、バクテリアの「呼吸」によって電気信号を生み、外部環境に反応します。
つまり、感じて、動く金属なのです。

研究チームはこれを「知能のある素材」の初期形態と位置づけ、将来的には「自己修復する回路」や「生体インターフェイス素材」への応用を目指しています。

――それはもしかするとサイボーグを超えた「金属生命体」を誕生させるかもしれません。

― スライムの夢か、ターミネーターの予告か ―


動く金属。治る金属。死ぬ金属。

それは、映画『ターミネーター2』に登場した液体金属T-1000が現実化する序章かもしれません。

ビンガムトン大学のプロジェクト・リーダー、サイード・ラシディ博士はこう語ります。

「我々は生命と機械の間に『中間地帯』を創りつつある。」

その中間地帯こそ、UMAファンが昔から愛してきた領域――
「生き物と無生物の境界がぼやける場所」なのかもしれません。

― 科学がUMAを創る時代へ ―


20世紀のUMAたちは森や湖から現れました。

21世紀のUMAたちは、さらに研究室の培養皿の上からも現れます。

生物と金属が手を取り合う時代。
もしかすると、UMAという言葉の意味も、もう一度定義し直さなければならないのかもしれません。

次に生まれる「未知の生物」は――
もしかすると、「生まれた」というより「組み立てられた」存在になるかもしれません。

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2025年11月12日水曜日

神奈川県の江川で目撃された怪生物 ~ エギー


■神奈川県の江川で目撃された怪生物 ~ エギー

今回は江川の怪物、エギー (Eggie)。

し、し、知らねーぞ、そんなUMA!

と生粋のUMAファンが慌てふためいているかもしれませんが安心してください、自分が勝手にそう呼んでいるだけですから知らなくて当然です。

誰もそんなニックネームでは呼んでいませんが、ニックネームがある方が覚えやすいですからね。

山口敏太郎さんの「本当にいる日本の未知生物案内」にて「ワニのような怪物」と紹介されているものです。

土地勘がないのでそのまま参照させていただきますが、神奈川県横浜市緑区東方町 (ひがしがたちょう) と池辺町 (いこのべちょう) の間にある江川で謎の生物が目撃されたということです。

江川がどこにあるのかよく分からないのですが、都筑区の親水施設の江川でしょうかね。

さてこの江川で、1989年4月21日の夕刻、近所に住む志田さんという女性が飼い犬の散歩中に川で謎の生物を目撃します。

体色は銀色で爬虫類的、特にワニやトカゲ的であったもののどちらでもなかったということです。

特に大きさは言及されていません。

体型的にはヘビのようにすら見えたということですが、志田さんによれば前肢で水を打って泳いでいたということで、少なくともヘビではなかったようです。

志田さんのいる川岸に向かって泳いできたといいますが、その後どうなったのかは不明です。

それからわずか3ヶ月後の同年7月20日、初めに目撃された場所から500メートルほど離れた重田さんという方の自宅庭に似たような生物が出没、目撃されています。

今回は陸上での目撃であったため、その姿もより詳細に伝えられています。

目撃した重田さんによれば、やはりその生物は爬虫類的でヘビのような体に赤い前肢、頭部はカエルに似ていたといい、尻尾を振って物置小屋の下へと潜っていったということです。

但し、この目撃証言でも大きさは語られておらず、おそらくは奇妙な姿であるものの、両目撃者が逃げようとしたような記述が無いことから、また、物置の下へ潜れるということからバカでかい生物ではなかったと推測されます。

最初に目撃された時は前肢をばたつかせて泳いでおり、その不格好な遊泳から水棲の生物とは考えられず、陸棲の生物に違いありません。

仮に両生物が同一の生物というのであればワニではなく、トカゲであった可能性が高そうです。

おそらくオオトカゲではないと思いますが、いずれにしても外来種、ペットとして飼われていたものが逃げたのかもしれません。

そこそこの大きさで、ワニにも似ておりトカゲ的であり、細長い体型でヘビをも想起させる、、、なかなか候補は出てきません。

(レッドテグー)
(image credit: Wikicommons)

ま、星の数ほど種類のあるトカゲですから特定することは不可能ですが、前肢が赤色だったという証言から、テグートカゲの仲間でレッドテグー (Salvator rufescens) なんかはいかがでしょう。

前肢だけではなく、体全体が赤褐色ではありますが。

レッドテグーは南米に棲息するトカゲで、体長は50センチを軽くオーバー、最大体長はオスで1.4メートル、メスで1メートルにもなります。

大きく存在感がある上に気性が穏和なため、世界中でペットとして出回っていることから、もしかして当時の日本でも輸入されていたかも?(正直わかんないス)

んで、

いやいやいやいや、エギーの正体は絶対に外来種なんかではない!と仰られるUMAファンもおられるでしょう。

まさにUMAファンの鑑。

そんな方はエギーの正体を純国産の未発見の大型のトカゲ、と考えるのもいいでしょう。

(参考文献)
本当にいる日本の未知生物案内 (山口敏太郎著)