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2025年11月16日日曜日

1977年に起きた宇宙クラゲのミステリー ~ ペトロザヴォーツク現象


■1977年に起きた宇宙クラゲのミステリー ~ ペトロザヴォーツク現象

『1977年の秋、北欧とロシアの空に“巨大なクラゲ”が浮かんだ。
科学者も軍も説明できないその光の正体は、今もなお議論の的だ」

大気圏を漂う発光体やプラズマ状の未確認存在は英語圏ではアトモスフェリック・ビースト (Atmospheric Beasts「大気圏の野獣」) と呼ばれ、その一種としてアトモスフェリック・ジェリーフィッシュ(Atmospheric Jellyfish「大気圏のクラゲ」)というクラゲ状の未確認飛行物体が語られています。

今回は、その中でも代表的な存在として知られるペトロザヴォーツク現象(Petrozavodsk phenomenon)を取り上げます。

ペトロザヴォーツクはロシア連邦カレリア共和国の首都で、この都市上空に現れたことから名づけられました。

― 未明の北欧とロシアに広がった光 ―


(実際のペトロザヴォーツクの謎の物体の写真)

ペトロザヴォーツク現象は、1977年9月20日の世界時午前1時から20分間、フィンランド周辺からロシア北西部にかけて広い範囲で観測されました。

西端と東側の観測地点には大きな時差があるため、現地時間は地域によって異なりますが、北欧やロシア西部では深夜から未明にかけて発生したとされます。

観測者の一人であるフィンランド、クルキヨキ(Kurkijoki)のエンジニア、A・ノボジーロフ(A. Novozhilov)氏は、高度300〜500メートル付近に「それ」が浮かんでいたと証言しています。

光はゆっくり移動し、時間とともに膨張して「葉巻型の飛行船」のような姿へ変化。移動しながら後部からいくつもの光球を放っていたといいます。

彼は大きさを直径12〜15メートル、長さ約100メートルと推定し、15分ほど観察したものの撮影は成功しませんでした。

― レンズ状の光体、クラゲ状の姿 ―

ソビエトの学者ユーリ・リンニック(Yuri Linnik)氏は望遠鏡での観察に成功し「レンズ状の内部からアメジストのような光を放ち、周囲には16個のノズルが赤い光を出していた」と証言しています。

観察は15分ほど続き、物体は北の空へ消えました。

一方、ペトロザヴォーツクの気象関係者ユーリ・グロモフ(Yuri Gromov)氏は「楕円形のリング状の物体が細い光を降り注ぎ、クラゲのような形になった」と語り、その正体が知的生命体を乗せた宇宙船である可能性にも触れています。

自然現象か人工物か――
この光に生命性を感じたと断言する証言は多くありませんでしたが、人工的な何かと見た人は少なくなく、「ペトロザヴォーツクUFO」と呼ばれることもあります。

― いまだ解明されぬ「宇宙クラゲ」 ―


結論から言えば、その正体は今日まで解明されていません。

有力とされる説の一つに、ソビエトが打ち上げた電子情報収集衛星コスモス955号(ELINT衛星)が関連しているというものがあります。

ただし、物体の移動方向とは整合しない点があり、確定的とはいえません(衛星ノズル噴射を逆方向と誤認したという解釈もあります)。

他には弾道ミサイル試験の残骸説、オーロラ説などが挙げられましたが、いずれも完全な説明とはなりません。

ただ――
あの夜空に浮かんだ光が、もしかすると「生きていた」という可能性を、私たちはまだ完全には否定しきれていないのかもしれません。

未明の空に漂った巨大なクラゲのような光。それは今もなお、人類が知らない何かの存在をそっと示しているのかもしれません。








2025年11月15日土曜日

毛むくじゃらのレイク・ サーペント 〜 アンギラ・ペルーダ


■毛むくじゃらのレイク・サーペント ~ アンギラ・ペルーダ

今回はアンギラ・ペルーダ (Anguila peluda)。

珍しくスペインのUMAです。

蛇のような細長い体型をした、いわゆるレイク・サーペントタイプの水棲UMAで、アンギラ・ペルーダもスペイン語で「毛むくじゃらのウナギ」を意味します。

プンタ・デ・アナガの池に棲息するといわれ、この怪物が棲息することからその池は後に「ウナギの棲む水たまり」を意味するチャンゴ・デ・ラ・アンギラ (Charco de la Anguila) と名づけられたとか。

プンタ・デ・アナガはスペイン領のカナリア諸島のひとつで最大の面積を誇るテネリフェ島 (Tenerife) の最北東端の海沿いにあるアナガ山脈に位置します。

アンギラ・ペルーダは古来より伝わるもので民間伝承性のかなり強いUMAで、地元住民たちはアンギラ・ペルーダを「悪魔の化身」と捉え退治したという言い伝えが残ります。

つまり現在は目撃されていないということです。

日本でいうと昔話に出てくる鬼が退治されたのと大して変わりありませんが、UMAの正体として敷居の高すぎる恐竜や彼らと同時代の海生爬虫類、もしくは現存するいかなる生物にも全く似ていないタイプではなく、前述の通りいわゆる「ウナギ」タイプというところに実在する (した) 一縷の望みを掛けましょう。


その「チャンゴ・デ・ラ・アンギラ」と現在呼ばれている池の規模が分かりませんが、「池」や「水たまり」と表現されることからそれほど大きなものでないことは推測できます。

淡水か塩水かも分かりませんが、ま、ウナギということにしておけばどちらでもいいでしょう。

アンギラ・ペルーダはとてつもなく大きいということで具体的な大きさは分かりませんが規格外に大きな個体のウナギということにしておきましょう。

問題はその名前の由来にもなった「毛」の方です。

捕まえて解剖したわけではないので、この毛は大きく3つのパターンが考えられます。

1つ目はその字義通り、全身に毛が生えている (もしくは毛皮を纏っている) というもの。

1個体だけの突然変異も一応これに含めておきましょう。

UMA界ではファー・ベアリング・トラウトがいますね。

(カエルアンコウ)
(image credit: Wikicommons)

2つ目はカエルアンコウ (Antennarius striatus) やその仲間のように、まるで毛のような突起が全身に生えているパターン。

そして最後に苔や水草が体全体についてしまった個体です。

1はほぼ不可能なので、2か3しかありませんが、3は川魚で実際に稀に観察されることがあるため、UMAのロマン上、新種である「2」を推したいと思います。

全身に毛のようなしなやかな突起を生やした巨大なウナギ。

その池が海に繋がっていたかは定かではありませんが、海にもほど近い地理的条件からきっと海から寄り道しただけに違いありません。

ちょっと寄り道し、居心地が割といいなと長居したところ人間たちに見つかってしまい「悪魔の化身」だなんだと大騒ぎされたため、アンギラ・ペルーダはそのまま海へと戻り、現在でも同種のヘアリー・イールはカナリア諸島の周りを泳いでいるかもしれません。

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2025年11月14日金曜日

マピングアリの亜種か!? ~ キダ・ハララ


■マピングアリの亜種か!? ~ キダ・ハララ

今回はキダ・ハララ (Kida Harara)。

南米を代表するUMAのひとつ、マピングアリ (Mapinguari / Mapinguary) と全く同一の生物を指しており、部族等による呼び名の違い、つまり別称に過ぎないという説も高いUMAです。

但し、マピングアリの目撃証言とキダ・ハララの目撃証言はあまり混同 (共有) されることはなく、どちらか一方でのみ語られることが多いため、一応別物の可能性も考慮して紹介します。

まぁマピングアリに詳しい人であれば、マピングアリの追加的目撃談とでも捉えていいかもしれません。

さてマピングアリという名称もなかなか奇妙な響きですが、キダ・ハララはそれ以上です。

気の抜けたような音感ですが基本「人喰い」と恐れられる存在です。

キダ・ハララという呼び名自体がマピングアリの別称の可能性が高いと書きましたが、キダ・ハララもさらにこの動物を指す別称が存在し、実際のところ収拾がつかなくなっています。

メガロニクス・ジェファーソニ (Megalonyx jeffersonii) 
(image credit : Wikicommons)

キダ・ハララはマピングアリと同様の生物と考えられていることから、巨大な絶滅した地上棲のナマケモノ、具体的にはメガテリウム (Megatherium) やミロドン (Mylodon)、エレモテリウム (Eremotherium) なんかが候補と上がっています。

メガテリウムに至っては体長6メートルの超巨大ナマケモノでしたが、キダ・ハララはもう少し控えめで大きくても体長3メートルぐらいといわれています。

(メガテリウムの全身骨格)
(original image credit: Wikicommons)


ナマケモノとして、というより野生動物で3メートルでもかなり大きいですが、キダ・ハララはそれよりもさらに小さい、人間と同程度という説もあり、マピングアリよりも実在する可能性は高そうに感じます。

毛色は暗い赤褐色、がっしりとした体格で太い腕を持ち、その先端には大きな湾曲したカギ爪を有します。

ふだんは四つ足で移動しますが、後肢二本で立ち上がることができます。

全体のシルエットはオオアリクイ (Myrmecophaga tridactyla) に似るものの、頭部はナマケモノのそれに似ているといいます。

オオアリクイとナマケモノの頭部は似ても似つかないことからオオアリクイの誤認ではなさそうには感じます。

かといって現生のナマケモノは樹上棲であり、さらにミユビナマケモノの最大種、ノドチャミユビナマケモノ (Bradypus variegatus)、やフタユビナマケモノ (Choloepus didactylus)  でも体長を1メートルを超えることはなく、そもそも見た目も全然怖くないので誤認しているとは考えにくいところです。

(オオアリクイ)
(image credit by Wikicommons)

ところでキダ・ハララの名称について再度触れると、キダ (Kida) は「獣」「野獣」といった意味をなし、ハララ (Harara) は笑い声の擬音、と解釈されキダ・ハララは「笑う野獣」意味するのではないかと考えられています。

人間目線であれば、ナマケモノは笑ったよう顔 (模様) をしていることから、そういった意味ではキダ・ハララは現生の樹上性のナマケモノの可能性があるかも?と思ってしまいます。

が、この「笑う野獣」の意味はキダ・ハララの鳴き声から来ているといわれ、その巨躯、怖さにも関わらず、甲高い笑ったような鳴き声を発するようです。

その「人喰い」と恐れられるのに対し、可愛らしい鳴き声は一見すると不釣り合いに感じますが、油断させて獲物をおびき寄せるための「声の擬態」とも考えられています。

尚、未確認動物学者のパット・エスパーニャ (Pat Espanha) 氏が、キダ・ハララを目撃した人物のひとりであるジェオヴァルド (Geovald) 氏に取材を試みたところ、見せた図柄のうち最も近いのは地上棲巨大ナマケモノであったといいます。

意外なことにキダ・ハララの目撃は21世紀に入っても依然として続いており、血眼で自分たちを探す人間たちを、木陰からニヤニヤしながら観察しているかもしれません。











2025年11月13日木曜日

鉄が呼吸をはじめた日 ~ 生きた金属、ビンガムトン大学の挑戦


■鉄が呼吸をはじめた日 ~ 生きた金属、ビンガムトン大学の挑戦

金属が、呼吸し、自らの意志で動き、自己修復能力を持つ――
そんなまるでSFのような話が、にわかに現実味を帯びてきました。

アメリカ・ビンガムトン大学の研究チームが、液体金属とバクテリアを融合させた「生きた電子生命体」を発表したのです。

――ついに「金属が呼吸する時代」に突入したようです。

以前に「ゼノボット」と呼ばれる、アフリカツメガエル (Xenopus laevis) の幹細胞から創られた「ロボット」が話題となりましたが、今回は金属と生命体の融合です。

「生物」と「無生物」の境界線がますます曖昧になってきましたね。

― バクテリアが、金属を動かす ―


研究チームが使ったのは、常温で液体となるガリウム・インジウム合金 (EGaIn)。
そこに、電気を発生させるバクテリアの一種、金属還元細菌ジオバクタ― (Geobacter sulfurreducens) を加えたのです。

注目すべきは、このバクテリアが持つ「金属から直接エネルギーを引き出す」という特異な生態です。

まさに自然界のサイボーグとも言えるこの微生物が、人工的な金属に「生命の息吹」を吹き込んだのです。

すると、金属の中を電子が流れ、まるで細胞膜のように化学的エネルギーが循環しはじめたのです。

この合体体は「外部電源なしで自己駆動」し、ダメージを受けても「修復」します。
しかも、バクテリアの代謝が止まると活動も止まる――つまり、これは「死の概念を持つ金属」です。

研究者たちはこの現象を「リビング・エレクトロニック・システム (Living Electronic System)」と呼び、「電子工学と生命科学の境界を越えた」とコメントしています。

― 科学が生んだ「半生物」の衝撃 ―


このニュースを報じたサイエンス・アラートやテック・エクスプローは、「金属が生命の定義を侵食し始めた」と評しています。

それもそのはずです。
この液体金属は、バクテリアの「呼吸」によって電気信号を生み、外部環境に反応します。
つまり、感じて、動く金属なのです。

研究チームはこれを「知能のある素材」の初期形態と位置づけ、将来的には「自己修復する回路」や「生体インターフェイス素材」への応用を目指しています。

――それはもしかするとサイボーグを超えた「金属生命体」を誕生させるかもしれません。

― スライムの夢か、ターミネーターの予告か ―


動く金属。治る金属。死ぬ金属。

それは、映画『ターミネーター2』に登場した液体金属T-1000が現実化する序章かもしれません。

ビンガムトン大学のプロジェクト・リーダー、サイード・ラシディ博士はこう語ります。

「我々は生命と機械の間に『中間地帯』を創りつつある。」

その中間地帯こそ、UMAファンが昔から愛してきた領域――
「生き物と無生物の境界がぼやける場所」なのかもしれません。

― 科学がUMAを創る時代へ ―


20世紀のUMAたちは森や湖から現れました。

21世紀のUMAたちは、さらに研究室の培養皿の上からも現れます。

生物と金属が手を取り合う時代。
もしかすると、UMAという言葉の意味も、もう一度定義し直さなければならないのかもしれません。

次に生まれる「未知の生物」は――
もしかすると、「生まれた」というより「組み立てられた」存在になるかもしれません。

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