■「……やっぱりな」父の遺した言葉
今回はグリッチ・イン・ザ・マトリックス。
グリッチ・イン・ザ・マトリックスとは、この「現実」と思って暮らしている世界は、実は「現実」ではなく「仮想世界」であり、我々はただのパソコンの中の住人に過ぎないのではないか?という陰謀論系の話です。
それはバグのように一瞬だけ現れ、気づいた者の人生を大きく変えてしまうことがあります。
― 釣りの帰り道 ―
当時、私は17歳でした。
父と2人で釣りを終え、家へ向かうところでした。
季節は晩秋。
深夜に近く、周囲は街灯も少なく、外はほとんど何も見えない闇に包まれていました。
車に乗り込もうとしたとき、父が突然こう言ったのです。
「今日は、前に座るな」
― 理由のない拒否 ―
私は理由を聞きました。
しかし父は、はっきりした説明をしませんでした。
ただ「なんとなく嫌だ」と言うだけで、譲ろうとしなかったのです。
私たちは5分ほど言い合いになりました。
結局、私は折れ、後部座席に座りました。
今思えば、それがすべての分岐点でした。
― 闇の中の対向車 ―
走り出してから、ほんの2分ほどだったと思います。
突然、前方にライトが見えました。
それは、ありえない位置にありました。
対向車が、こちらの車線を走ってきていたのです。
衝突の直前、父はハンドルを切りました。
同時に、相手の車も車線を変えました。
その一瞬、父が呟くのが聞こえました。
「……やっぱりな」
次の瞬間、私の意識は途切れました。
― 目が覚めたとき ―
気がつくと、周囲は騒がしく、警察官がいました。
私は半分意識が朦朧としており、詳しいことは覚えていません。
ただ一つだけ、異様なほど鮮明な記憶があります。
壊れた車の中で、父がこちらを見ていました。
涙を浮かべながら、手を振っていたのです。
その表情は、恐怖ではなく、どこか安堵しているようにも見えました。
― 父は、もういなかった ―
後になって聞かされた事実は、残酷でした。
父は衝突の衝撃で車外に投げ出され、搬送先の救急車の中で亡くなったというのです。
私が見た「父」は、現実には存在しないはずでした。
― 考察 ―
父は、何を感じ取っていたのでしょうか。
もし誰かが死ぬなら、自分だと決めていたのかもしれません。
だからシートベルトをしなかった。
だから、私を後部座席に座らせた。
あの手を振る姿は、別れの挨拶だったのか。
それとも、極限状態の脳が作り出した幻だったのか。
今も答えは出ていません。
ただ一つ確かなのは、あの夜、父の「説明できない違和感」が、私の命を選んだということです。
あなたなら、この出来事を、ただの偶然だと片付けられるでしょうか。
(参照サイト)
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