デビルズ・フットプリントの記事で謎の足跡の正体のひとつに熱気球を挙げたことでL8飛行船のミステリーを思い出しました。
今回はUMAではなくL8ミステリーです。
1872年12月4日、乗員乗客10人を乗せたメアリー・セレスト (Mary Celeste) 号が船の損傷がないにもかかわらず無人で漂流しているところを発見されたことから「ゴースト・シップ」として語られているのは多くの方がご存じでしょう。
メアリー・セレストほどではないにしろ、ゴースト・ブリンプもまあまあ有名なので知っている人もそれなりにいるでしょう。
今回はゴースト・シップの飛行船 (blimp) 版ともいえ、英語圏ではゴースト・ブリンプ (Ghost blimp) で知られます。
L級軟式飛行船は低速かつホバリング可能でかなり低い高度を飛ぶことができ、さらに登場人員が僅か2人という手軽さから沿岸パトロールにはもってこいでした。
1942年8月16日、午前6時、L8はアーネスト・デウィット・コーディ (Ernest DeWitt Cody) 中尉とチャールズ・エリス・アダムズ (Charles Ellis Adams) 少尉を乗せ離陸しました。
実は3人目の搭乗者として機械工のジェームズ・ライリー・ヒル (James Riley Hill) 氏も予定されており、実際、離陸前に搭乗もしていましたが搭載重量に懸念を示したコーディ中尉の判断により降ろされたといわれています。
(変形しながら飛行するL8飛行船)
L8は手軽な分、搭載重量は僅か1トン強と心許なくコーディ中尉の少しでも軽く、という気持ちは分かります。
離陸から2時間弱、午前7時50分、L8より海面に油膜を確認したとの連絡が入ります。
油膜はその下に潜水艦が潜んでいる可能性を示唆する重要な証拠です。
その位置を示すため、L8から油膜上に2つの発煙弾が投下されるや飛行船は上昇しました。
しかし、、、第二報は待てど暮らせどやってきません、L8からの連絡は途絶えたのです。
軍はL8の安否を懸念し探索機を飛ばすも無事に近くの基地に着陸したことを確認、安堵するもこれは誤報でした。
L8の姿はそこになく、衆目が注目する中、L8はゴンドラが砂浜に着くほどの「超」低空飛行で飛び回り、送電線その他をなぎ倒すと再び空中に舞い上がりました。
飛行船はヘリウムが抜け中央部分がいびつに凹みながらも不安定な飛行を続けましたがついに午前11時にゴルフ場に墜落しました。
墜落するや2人の乗組員の救助に向かいましたがゴンドラに2人の姿はありませんでした。
低空飛行を続けたこともあり多くの目撃証言が得られましたが、それは混乱し惨憺たる内容でした。
L8のゴンドラが砂浜に接触した際に2人が脱出するのを目撃した、というもっともらしいものもありましたが2人は見つかりませんでした。
後にこれは砂浜に接触したゴンドラを引き留めようとした2人の漁師を見誤ったものだということが分かりました。
2人は初めから乗っていなかったという人もいれば、それどころか2人ではなく3人搭乗していたと証言する人もいました。
先に挙げた3人目の幻の搭乗員、機械工のヒル氏でしょうか?しかしそれはあり得ません、ヒル氏は離陸前に降ろされていたのですから。
パラシュートで脱出したと言い張る目撃者もいましたが、備え付けのパラシュートはそのままであったことも確認されています。
どんな証言があろうとコーディ中尉とアダムズ少尉は見つかりませんでした。
消えてしまったのです。
「合理的な推測」によれば油膜発見時に発煙筒を投下する際にハッチを開けいずれかがゴンドラから落ちかけ助けを求めて2人もろとも海中に落ちたというものです。
おそらくその可能性は高いでしょう、実際に墜落時にゴンドラのハッチは開いていました。
とはいえ、墜落の衝撃で開いた可能性も否定はできませんし、そもそも海中に落ちたであろう2人は80年を経た現在でも見つかっていません。
海軍による公式的な見解はコーディ中尉とアダムズ少尉は「おそらく」高さ300フィート (約90メートル) から海面へ落下、急激に沈下後、体は損傷しそのまま海底へ沈んだのだろう、というものです。
この説明は万人が納得できないものでした。
そういうわけで2人の安否については、日本軍の潜水艦の偵察時であったこともあり日本軍に捕まり捕虜となった、というそこそこ現実なものから、宇宙人に誘拐されたという突飛なものまでいろんな説が存在します。
(参照サイト)
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