2023年2月9日木曜日

シャンプレーン湖の怪物 ~ チャンプ

(「マンシの写真」)

■シャンプレーン湖の怪物 ~ チャンプ

今日はまだ未紹介の巨人、チャンプです。

チャンプはかつてはアメリカ版のネッシーと輝きを放っていたシャンプレーン湖 (Lake Champlain) で目撃される怪物です。

シャンプレーン湖はアメリカのニューヨーク州とバーモント州、そしてカナダのケベック州の3つの州に跨る北米13番目に大きな湖です。

北米で13番目といっても表面積は琵琶湖 (670平方キロメートル) の2倍近く (1,269平方キロメートル) もあります。

(シャンプレーン湖)
(image credit by Wikicommons/Mario Hains)

スペル上、アメリカなら「チャンプレーン」と発音されそうなところ「シャンプレーン」と発音されるのは、入植者として初めてこの湖に辿り着いたフランス人サミュエル・ド・シャンプラン (Samuel de Champlain) 氏の名に由来するからです。

但し、UMAの方は「シャンプ」ではなく「チャンプ」と発音されます。

スコットランドンのネッシーに対抗しアメリカで擁立したUMAと思うかもしれませんが、その歴史は古く湖の発見者であるシャンプラン氏こそチャンプを目撃した初の人物です。

シャンプラン氏が湖に辿り着いたのは1609年、そして怪物を目撃したのも1609年、つまり17世紀初頭より目撃の続くUMAです。

とはいってもネッシー然とした、いわゆる海生爬虫類のような姿として描かれるようになったのは割と最近のネッシーブーム以降であり、ネッシーに対抗、そして影響されているのは明らかです。

シャンプラン氏が遭遇したチャンプ (もちろん当時はそう呼ばれていません) はどんな姿だったのか?

体長は5フィート (約150センチ)、成人男性の太ももほども体は太く吻 (鼻先) は2.5フィート (約75センチ)、歯は鋭くとがっており歯列は二列、鱗は強固でポニャード (中世の短剣) ですら刺さらなかったとシャンプラン氏は記録しています。

(ロングノーズガー)
(image credit by Wikicommons)

そう、これはおそらくガーの仲間で、吻の長さから特にロングノーズガー (Lepisosteus osseus) であったと推測されています。

体長の半分ぐらいが吻というのはいくらロングノーズガーといえども長すぎるような気がするので、もしかして吻を除いた長さが5フィート + 吻2.5フィート (トータル約2.25メートル) なのでは?とも思ってしまいます。

但しロングノーズガーは最大クラスで6フィート (約1.8メートル) ぐらいと言われており、それだと少々大きすぎます。

歯列が2列あるという点や大きさを考えるとアリゲーターガー (Atractosteus spatula) かもしれません。

(歯列が二列で構成されるアリゲーターガーの特徴的な口内)
(original image credit by Wikicommons)

公式的な記録ではありませんが、アリゲーターガーは3メートル超の個体が捕獲されたことがあると言われており、公式記録で8.5フィート (約255センチ) というものがあり大きさ的には7.5フィートでも十分対応できます。

いずれにしても現在伝えられるようなチャンプの姿ではなく、シャンプラン氏が目撃した生物はあくまで既知の魚類であった可能性が高そうです。

(アリゲーターガー)

チャンプがUMAらしくモンスター化したのは19世紀以降、もともとチャンプはイロコイ族の伝承、湖に生息する大蛇 (サーペント) のような生物が基になっているといわれ、怪物化したチャンプはレイク・サーペントのような姿をしています。

実際1819年に目撃されたチャンプは187フィート (約57メートル) とあり得ないほど長大でした。

そしていつしかネッシーと同様の首の長い生物 (首長竜) に変貌してしまいましたが、前述したように世界的なネッシー人気による影響で間違いないでしょう。

それを決定づけたのが「チャンプ」といえばこれ!というサンドラ・マンシ (Sandra Mansi) さんによって撮影された冒頭の写真です。

(「外科医の写真」)

UMAの有名な写真や動画、例えばネッシーの「外科医の写真 (Surgeon's photograph)」やビッグフットの動画「パターソン・フィルム (Patterson–Gimlin film, 海外では『パターソン・ギムリン・フィルム』と呼ばれます)」に撮影者の名前や職業が冠され固有の呼び名があるようにチャンプの写真も「マンシの写真 (Mansi photograph)」と呼ばれます

頭部と長い首、そして体の一部が見えていますす、まさにネッシータイプ。

いやいやいや、クロールで泳いでいる人の右腕と右半身の一部じゃないの?そういう説もあります。

しかし航跡や波紋等、水面の乱れがほとんど見られないことからおそらく違うでしょう。

クロールしている人間じゃない、「ホッ」

そう思うのも束の間、クロールしている人間ではない、という否定が成り立つと厄介な別の問題が発生します。

穏やか~な水面、「静寂」。

生物を撮影したにしてはあまりに動きがないのです。

少なくとも撮影直前にチャンプが水面に飛び出してきたとは思えません。

撮影されるしばらくの前からずっとこの体勢を保っていたように見受けられます (流木の可能性が高いといわれています)。

マンシさんの写真はチャンプのすべてではなくあくまで300を超える目撃証言のひとつであり、これをもってチャンプを否定できるものではありません。

減少傾向ではありますが21世紀に入っても目撃証言は続いており、何らかの未知生物が生息していることに期待しましょう!

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