■イノゴンが裸足で逃げ出す巨大イノシシ ~ アルケオテリウム
日本が誇るイノシシ系UMA「イノゴン」。
1970年、京都の綾部市で捕獲された体長1.8メートル、体重130キログラムの巨大なイノシシでした。
2022年に鳥取県江府町で、2024年に同じく江府町で、それぞれ200キロ、140キロという元祖を上回る「偽イノゴン」も捕獲されています。
今回はそんな日本のイノゴンファミリーを軽く超える、北米の伝説的イノシシの話です。
― 「地獄のブタ」 ―
その名は アルケオテリウム (Archaeotherium)。
およそ3000万年前に北米大陸を闊歩していたイノシシです。
最大クラスは肩の高さまでで1.6メートル、体重は1トンを超える「超巨大イノシシ」。イノゴンが裸足で逃げ出すのも無理はありません。
彼らのニックネームは「ヘル・ピッグ (地獄ブタ)」。
それは彼らが単に巨大だったからだけではありません。彼らの 歯は硬い骨さえも砕くことができたのです。
― 巨大個体と小型個体、二つの顔 ―
(アルケオテリウムの全身骨格)
(image credit: Wikicommons)
最近の研究では、アルケオテリウムの 歯の摩耗パターン を分析することで、彼らの食性が個体サイズによって大きく異なったことがわかってきました。
大型個体:獲物の骨をバリバリ砕き、硬い根や木の芽まで食べられる。ライオンやハイエナのような噛み方。
小型個体:肉や柔らかい植物をむしゃむしゃ食べるだけ。葉や草、時には小動物も。
つまり、同じ「地獄ブタ」でも、大きさによってまったく別の生態的役割 (ニッチ) を担っていたのです。
― 巨大な頭と小さな脳 ―
さらに面白いのは、彼らの頭部の大きさ。
頭は体長の約30%も占め、見た目はまるで小型のマンモスのよう。しかし、脳は極小、知能は爬虫類並み。
「巨大な頭部をもちますが、考える力はほとんどありません」――研究者はそう説明します。
つまり 力任せの放浪者、恐怖のパワーファイターだったのです。
現世イノシシの「猪突猛進」スタイルは、3000万年前のご先祖様が既に完成させたものだったのです――
― 捕食かスカベンジャーか、それともベジタリアンか ―
化石の歯痕からは、彼らが小型ラクダの仲間ポエブロテリウム (Poebrotherium) を襲った形跡も。
大型個体はハイエナのように他の捕食者から獲物を奪って食べることもあったでしょうし、硬い植物をかじるベジタリアン的な一面もあったと考えられています。
小型個体は柔らかい食物に特化し、大型個体の影で生き延びる。まさに 北米古代世界の食物連鎖を支配した兄弟分業といえるかもしれません。
― 骨の真相はこれから ―
今回の歯の微細摩耗パターン分析によって食性の違いが推測され、今後はカルシウム同位体分析でさらに確かめられる予定だそうです。
北米の大地には、まだまだ奇妙なUMAたちが潜んでいた──
アルケオテリウムはその象徴にして、私たちの想像力をかき立てる「古代の地獄ブタ」なのです。
(参照サイト)
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