かつてネス湖の怪獣 (ネッシー) の人気ぶりから、日本でも数多 (あまた) のレイク・モンスターの目撃が寄せられました。
特に鹿児島県、池田湖のイッシーや北海道、屈斜路湖 (くっしゃろこ) のクッシー等は海外でも一定の知名度を誇ります。
他にも神奈川県、芦ノ湖 (あしのこ) のアッシー、山梨県、本栖湖 (もとすこ) のモッシー、栃木県、中禅寺湖のチュッシー等、レイク・モンスター目白押しです。
いっぽう日本では大河と呼べるような大きな川が少ないことも影響してかリバー・モンスターの目撃はレイク・モンスターと比較すると少なめです。
外来種問題で遺棄されたアリゲーターガーやアロワナが川で目撃されたり釣られたりしていますが、これらはもうはっきり正体が分かっちゃってるのでUMAには数えられません。
そんな中、日本の数少ないリバー・モンスターにハッシーがいます。
1986年、長良川で目撃されたUMAですから本来なら「ナギー」と命名されそうですが、岐阜県羽島市 (はしまし) 内での目撃であったことからハッシー (Hassie) と名付けられます。
目撃したのは二人の中学教諭、目撃証言によれば体色は濃い茶色、体長は2メートル、幅は1メートル、水面に没しているのでシルエットからの判断となります。
下流に向かって泳いでいた (進んでいた) との証言です。
目撃スケッチも残されていますが、完全に水中に没していることから長めの楕円形の魚影といった感じです。
(123キロのオヒョウ)
(image credit by Artemas Ward/Public Domain)
二人は巨大なエイのようだったと証言しておりますが、エイにしては体長に比べ体幅が狭く、大きさ的にもスケッチからも巨大カレイ、オヒョウのほうがイメージ的には近いかもしれません。
オヒョウは最大3メートルともいわれる巨大なカレイの仲間ですが生息域の観点からハッシーの正体であることはありえません。
かといって海生のエイが遡上するには羽島市はあまりに遠すぎるような気がします。
淡水エイであればもちろん可能ですが、日本原産の淡水エイはいませんし、しかも体長2メートルともなると世界最大の淡水エイ、ヒマンチュラ・チャオプラヤ (ウロギムヌス・ポリレピス, Urogymnus polylepis) や南米最大のアハイア・グランディ (ポタモトリゴン・ブラキュラ, Potamotrygon brachyura) レベルに限られます。
1980年代にこれらがペットとして飼われていたとは思えませんが、万一ペットを放流したとしても現地のように体長2メートルサイズに成長するとはなかなか考えにくいところです。
より可能性の高いものとしては、ウェルズ (ヨーロッパオオナマズ, Silurus glanis) 等の外来種のオオナマズ、もしくはアザラシ等の鰭脚類 (ききゃくるい) になるでしょう。
いずれにしてもただの一度きり目撃されたUMAです。
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「体長」が全長のことだったなら、かえって幅が大きく感じますね。(アカエイの場合、全長に対して幅は3〜4分の1くらい)
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