マイナーなUMAを中心に紹介していたため、スタンダードUMAのオゴポゴもまだ記事にしていませんでした。
というわけで今回はオゴポゴ。
オゴポゴ (Ogopogo) はカナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のオカナガン湖 (Lake Okanagan) で目撃が多発するUMAです。
カナダのレイク・モンスターはこのオゴポゴを筆頭に、マニトバ湖のマニポゴ (Manipogo)、シムコー湖のイゴポゴ (Igopogo)、ウィニペゴシス湖のウィニポゴ (Winnipogo)、シュスワップ湖のシコポゴ (Sicopogo)、サスカチュワン湖のサスキポゴ (Saskipogo) 等々、語尾にポゴ (-pogo) とつくのが多いのも特徴のひとつで、オゴポゴはそのさきがけです。
このオゴポゴという名は1920年代のイギリスのヒット曲 "The OgoPogo, the Funny Foxtrot" 由来するといわれていますが、1910年代にはすでにオゴポゴという名称が存在していたともいわれており実はあまりはっきりしていません。
ちなみにアルファベットスペルの「OGOPOGO」は前から読んでも後ろから読んでも同じスペルとなる回文です。
オカナガン湖は最大水深232メートル、平均水深76メートルを誇る深い湖で、ネッシーが目撃されるネス湖のように細長い形状をしています。
移民たちによる初の目撃は19世紀末 (1872年)、作家のスーザン・アリソン (Susan Allison) 氏によるものですが、ネイティブたちにはそれ以前からナイタカ (N'haaitk or N'ha-a-itk) としてその存在が知られていました。
といってもネイティブたちに伝わるナイタカは「尾で嵐を巻き起こす悪魔」であり、ひとたびその逆鱗に触れようものなら生贄を捧げるしかなだめる術はない、といったUMAよりもさらに民間伝承的側面が強い存在です。
スーザン・アリソン氏以降、移民たちによる目撃が急増しますが、特に1926年にオカナガン・ミッション・ビーチ (Okanagan Mission beach) で30台ほどの車の乗員に同時に謎の巨大生物が目撃されたことでオゴポゴの人気は決定づけられます。
(エリック・パーメンター氏の撮影したオゴポゴ写真)
1964年、エリック・パーメンター (Eric Parmenter) 氏によりはじめてオゴポゴの写真撮影が成功、1976年のエド・フレッチャー (Ed Fletcher) 氏が撮影した写真と並び、もっとも有名なオゴポゴの写真です。
目撃情報の中でとくに有名なのは1974年7月のバーバラ・クラーク (Barbara Clark) 夫人によるものでしょう。
というのも夫人による目撃はUMA史上でも珍しい生きているUMAの体に触れているからです。
バーバラ・クラーク夫人が湖岸から離れた飛び込み台に向かって泳いでいると足に何かが触れました。
それは大きな物体にぶつかったような感覚だったといい、慌てて筏まで泳ぎ振り向くと水面から見えている部分だけで6フィート (1.8メートル) もある巨大な生物がからだを波打たせながら泳いでいました。
オゴポゴの目撃情報はあまりに多いのでこの辺で目撃の話は終わりにしましょう。
ネッシーの影響からかプレシオサウルスのような首長竜的な生物であったという証言もありますが、一般的には細長い体型と考えられており巨大ウミヘビ系 (シー・サーペント)、つまりレイク・サーペントの一種と考えられています。
特にクラシックな水棲UMAは巨大なものが多いですがオゴポゴも最大70フィート (21メートル) とかなり長大です。
しかしレイク・サーペント、つまり「蛇的」とはいえ爬虫類とはあまり考えられていません。
というのも、多くの目撃情報からオゴポゴは体を縦にくねらせて泳いでいるといわれているからです。
脊椎の構造上、背面から見て爬虫類は体は左右にくねらせて、哺乳類は上下にくねらせて遊泳します。
そういうこともありその正体として哺乳類であるゼウグロドン (Zeuglodon) ことバシロサウルス (Basilosaurus) が一番人気といえます。
バシロサウルスは名前に反して (~サウルス、「~トカゲ」の意) 恐竜どころか爬虫類ですらありませんが、その復元された姿は恐竜と時代を共にした巨大海生爬虫類を彷彿とさせるものです。
バシロサウルスは3000万年以上前に絶滅した原始的なクジラで、現生のクジラと大きくプロポーションが異なりシーサーペントのように細長い体型をしているのが最大の特徴のひとつです。
(模式種バシロサウルス・ケトイデス(Basilosaurus cetoides))
(image credit by Wikicommons/Dominik Hammelsbruch)
特にバシロサウルス最大種、バシロサウルス・イシス (Basilosaurus isis) は最大60~70フィート (約18~21メートル) もあり大きさ的にもビンゴ、またオゴポゴの頭部の目撃は少ないものの爬虫類的であるともいわれており、その正体として人気があるのもうなづけます。
但し、恐竜生存説よりは幾分マシといえどそれでもバシロサウルスは3000万年以上前に絶滅している上に海水性であり、しかも化石の発見はアフリカ大陸 (エジプト) のみ、またそこまで巨大な生物が閉ざされた湖で未発見、というかなりハードルは高いものです。
現実路線で現生種の巨大魚はどうでしょう?
オカナガン湖はアリゲーターガーの生息域からも外れており、チョウザメすら生息している兆候はなく厳しさは増すばかり。
とはいえ、哺乳類であれ爬虫類であれ息継ぎに湖面に上がる必要があり、それにしては目撃は少ないことから、もし本当にオカナガン湖に巨大な生物が生息しているというのであればやはりその正体は魚類がいいでしょう。
アクシデント的にオカナガン湖に入り込んだシロチョウザメ (Acipenser transmontanus)、もしくは未知の巨大魚辺りが落としどころでしょうか。
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