2024年4月5日金曜日

深海で謎の巨魚に遭遇 ~ ディープスター4000フィッシュ


■深海で謎の巨魚に遭遇 ~ ディープスター4000フィッシュ

今回はディープスター4000フィッシュ (Deepstar 4000 fish)。

名前だけ聞くと何のことやら一体?となるでしょうが、「ディープ・スター4000」というのはフランスの著名な海洋学者ジャック・クストー氏が設計した深海探査艇の船の名前で、4000というのは4000マイル (約1200メートル) まで潜水できることに由来します。

この潜水艇は少なくとも400回以上の潜水活動を行いましたが、そのうちの1回、1966年6月のサンディエゴ沖の潜水において、操縦士であったジョー・トンプソン (Joe Thompson) 氏が目撃した謎の巨大魚をディープスター4000フィッシュと呼びます。

しかしトンプソン氏は当初この巨魚の話を公表するのを躊躇っていたため、実際に公表に踏み切ったのは翌年になってからでした。

トンプソン氏によれば探査艇の耐えうる最大深度の4000フィートまで降下し、潜水艇の窓越しにたまたま覗いたときに巨魚を目撃したということです。

潜水艇の窓は小さく完全にその姿を見ることはできなかったようですが、少なくとも自身らが乗っていた潜水艇 (18フィート) よりは大きかったと主張し、25~40フィート (約7.5~12メートル) ぐらい、体幅は5~6フィート (約1.5~1.8メートル) と推測しました。

ではどのような姿の魚だったのか?

体色は黒、決してそれはシーサーペント (巨大海蛇) のようなモンスター的なものではなく、敢えて言えば「巨大なシーバス (スズキ)」に似ていたといいます。

巨大な胸鰭は2フィート (約60センチ)、尾鰭はグルーパー (ハタ) のそれに似て丸みを帯びており高さは4~5フィート (約1.2~1.5メートル)、決してスズキやハタではないと言っています。

その怪魚は探査艇に興味を示したのか探査艇の方を見ていましたが、その数秒後には向きを変え海底の泥を尾ビレで跳ね上げると泳ぎ去ってしまいました。

時間にして8秒程だったといいます。

この時潜水艇には海洋生物学者ジーン・ラフォンド (Gene LaFond) 博士も乗っており、博士も別な窓からこの巨魚を観察していたと語っています。

10メートルオーバーのボリュームのある硬骨魚がその正体だとすれば少なくとも現生の既知の魚に該当するものはありません。

現生種で最も体長が長い硬骨魚はリュウグウノツカイ (Regalecus russelli) で、最大17フィート (約8.1メートル)、怪しい記録では56フィート (約17メートル) というのがありますが、いずれにしても体が極端に左右に扁平であり、体幅が5~6フィートのディープスター4000フィッシュでないことは確かです。

確実に新種、現時点でもそのような硬骨魚類は捕獲されていませんからUMAです。

(ニシオンデンザメ)
(image credit by Wikicommons)

しかし、おそらく彼らが見たのは硬骨魚類ではなく、軟骨魚類であるサメの仲間、特にニシオンデンザメ (Somniosus microcephalus) もしくはオンデンザメ (Somniosus pacificus) だったのだろうと推測されています。

捕獲された個体の最大サイズはオンデンザメが14フィート (約4.2メートル)、ニシオンデンザメが23フィート (約7メートル) ですが、オンデンザメも捕獲されていないだけでニシオンデンザメと同等に成長すると考えられており、いずれの可能性もあります。

最大サイズの個体は非公式なものでは30フィート (約9メートル) というのもあり、ディープスター4000フィッシュはモンスター級に成長したオンデンザメ・ニシオンデンザメだった可能性は十分考えられると思います。

但し、「尾鰭の形が丸みを帯びている」というのが正しければやはりサメの可能性は低くなりますが、欠損等で形が崩れていた可能性もあり、ここは判断が難しいところです。

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