■パタゴニアの怪物 ~ イエミシュ
イエミシュ (Iemisch)。
アルゼンチンのチュブ州にあるコルウエ・ウアピ湖 (Lake Colhué Huapí) に生息するといわれているUMAです。
パタゴニアに属する地域であるため、一般的にはパタゴニア (南米大陸のコロラド川以南の地域) の怪物として知られます。
湖の怪物、つまりレイク・モンスターということになりますが、水棲UMAに多いシーサーペント系でも絶滅海生爬虫類系でもなく、実際のところ水棲か陸棲かすら意見が分かれます。
というのもウシほどもある巨大なカワウソに似た生物であるとか、キツネに似ている動物で体の後ろ半分はヘビに似ている、といった風にその姿も一定せず、前者であればレイク・モンスター、後者であれば湖近辺に生息する陸棲のモンスターといった感じです。
この生物は博物学者、古生物学者、動物学者として名高いフロレンティーノ・アメギノ (Florentino Ameghino) 氏によって19世紀末に彼の著書にて紹介されたのが初めてといわれています。
その時はそこまで化け物のような描写はされていません。
「この動物は夜行性で、ウマを水中に引きずり込むほど凶暴と考えられています。
聞いた話によれば、その動物の頭部が短く大きな犬歯を持ち外耳はもちません。
脚は短く蹠行性 (しゃこうせい) で前肢は3本、後肢は4本の指があり、前肢には水かきがついています。
水中生活に適応しており鋭い爪を有します。
平らで長い尾はものを掴むことができます」
アメギノ氏がいうぐらいなので実在する未発見の水生哺乳類と考えられ、他の人々によって追跡調査が行われました。
未確認動物学者、ベルナール・ユーヴェルマンス (Bernard Heuvelmans) 氏が追随し、イエミシュはジャガーとカワウソのハイブリッド的容姿をしたウシほどの巨躯を持つ生物という見解を発表しました。
しかし調査が進むにつれ、驚いたことに現地住民はイエミシュという単語すら聞いたことがないということが判明します。
だんだんこの生物の実在性が怪しくなり、どうもアメギノ氏の釈明を聞いてみるとまた聞きによるものだったようで、いわゆるもともとはそういった動物に遭遇した人物が発した噂話だったようです。
とはいえ、名前はイエミシュかどうかは別に、現地では水棲の巨大哺乳類の目撃も多く根も葉もないものではなかったようです。
アメギノ氏のいった特徴からすると大きさは無視するとしてカワウソよりビーバー的です。
ビーバーは南米には生息しておらず、もしかすると新種のビーバーがその正体もしれません。
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