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2024年5月7日火曜日

麻薬 (アヘン) 常用の魚が実在するらしい ~ オピウム・パイプ・フィッシュ


■麻薬 (アヘン) 常用の魚が実在するらしい ~ オピウム・パイプ・フィッシュ

今回はオピウム・パイプ・フィッシュ (Opium-Pipe Fish)。

アメリカ、ワシントン州のエリオット湾 (Elliott Bay) およびピュージェット湾 (Puget Sound) で目撃される魚類系のUMA、特にエリオット湾にあるスミス・コーブ (Smith Cove) と呼ばれる水域に棲息しているといわれています。

オピウム (opium) とはフランス語で麻薬の一種である「アヘン (阿片)」を意味し、オピウム・パイプとは阿片を吸うときに使うパイプのことです。

つまり「オピウム・パイプ・フィッシュ」は「アヘン吸引用に似たパイプを持つ魚」という意味になります。

このUMAはフィアサム・クリッター (fearsome critter) と総括されるUMAの一種であり、通常のUMAと比較し実在する生物というより格段に民間伝承の傾向が強い部類に入ります。

オピウム・パイプ・フィッシュの体は細長く北米に広く生息するパイク系 (カワカマス系) のに似ています。

しかし何と言ってもその身体的特徴は長大な頭部で、非常に長いその吻はアヘン吸引用のパイプに似ているばかりか実際アヘンを主食とする魚類です。

海水性のこのUMAがどうやって手に入れるのか?

この魚は極東からの汽船が到着するや群れで船に寄ってくるといいます。

それはなぜか?

その極東からの船がアヘン等の密輸に関与している場合、密輸の監視をしている税関職員の乗った船に気付かれるや、密輸業者たちは発覚を恐れアヘンを船外に投棄するのを待っているのです。

まんまと海中へと投棄されたアヘンをオピウム・パイプ・フィッシュたちはそのアヘン吸引用のパイプで吸いあげるというのです。

この「極東の船」というのは明らかに中国船を指しており、それはアヘン戦争により「中国 = アヘン」とインプットされてしまったアメリカ人の勘違いから来ています。

実際にアヘンを売り込んでいたのはイギリスで、インドで製造したアヘンをイギリスが中国で売りさばいていたにすぎず、さらに言えばアヘン戦争後はアメリカも便乗し中国にへアヘンを売りつけており、オピウム・パイプ・フィッシュは中国へ向かう自国の船を追いかけるべきです。

全く中国にとっては酷い言いがかりでしょう。

さて、この薬中魚、もとい魚類系UMA、オピウム・パイプ・フィッシュは空腹の場合は投棄されたアヘンをそのまま我先に食事として摂取しますが、十分なアヘンを摂取した場合はその長いパイプにアヘンを詰めその場を離れ、心地よい日差しを浴びながらビーチでのんびりトリップを楽しんでいるといわれています。

こんな魚いるはずがない!確かに。

但しオピウム・パイプ・フィッシュのその姿を想像するにこれはきっとヤガラの仲間 (Fistularia) からインスパイアされた可能性が高く、特に体の大きいアカヤガラ (Fistularia petimba)、マダラヤガラ (Fistularia tabacaria)、アオヤガラ (Fistularia commersonii) 等が基になっていそうです。

(アカヤガラ)
(image credit by YouTube / iTravelさん)

最大2メートル長に成長するかれらは体長の半分近くをパイプのような吻で占めます。

当然ながら薬物を主食にすることはなく、肉食性でその長いホースのような吻で小魚を一気吸いします。

日本ではヤガラはむしろ高級魚であり、食べて幻覚作用を起こすなんてことももちろんありません。

ちなみに、例えばサレマ・ポーギー (Sarpa salpa) やイスズミ (sea chub) やアミアイゴ (Siganus spinus) は有名で他にもシチセンスズメダイ (Abudefduf septemfasciatus)、モンツキアカヒメジ (Mulloidichthys flavolineatus) 等を食して幻覚作用が起きる魚は数多く知られています。

これらの魚自身が麻薬成分を自ら精製しているのか摂取した食物から生成しているのかははっきりしていませんが、必ずしもすべての個体に幻覚作用がないことや季節によって毒性が変わることから摂取したのエサの蓄積によるものが大きいかもしれません。

なお、上に挙げた「幻覚魚」のうちサレマ・ポーギーの種小名「サルパ (salpa)」はアラビア語で「夢を与える魚」を意味し、アミアイゴも「ハイにさせる魚」という異名を持ちます。

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