2023年4月5日水曜日

ふつう過ぎるほどふつうに見えるUMAなんだが、、、? ~ ワイトレケ


■一見すると、ふつう過ぎるほどふつうの哺乳類系UMA ~ ワイトレケ

この前、巨大ビーバー、カストロイデス (Castoroides) を書いていてふとワイトレケ (Waitoreke) を思い出しました。

ワイトレケはニュージーランドの南島に伝わる水棲UMAで、カワウソやビーバーに似ているといいます。

少なくとも18世紀からその目撃があり、マオリ族はワイトレケをペットとしていたとも言われています。

ワイトレケは決して巨大生物ではなく、なんならカワウソやビーバーよりむしろ小柄で、かといって化け物じみた奇妙な容姿をしているわけでもありません。

その代わり、テレパシーで人間に話しかける、、、な~んてオカルト的超能力を秘めているわけでもありません。

UMA = 怪物 (的)、という図式にはまったく当てはまらず、いったいどこがUMA的なのか?それはそういう小柄なカワウソみたいな動物を見ただけでしょう?

まずニュージーランドにはカワウソも棲んでいなければビーバーも棲んでいません。

というかニュージーランドに生息している固有の哺乳類は、ニュージーランドオナガコウモリ (Chalinolobus tuberculatus)、オオツギホコウモリ (Mystacina robusta)、ツギホコウモリ (Mystacina tuberculata) の3種のコウモリのみ。

(絶滅が危ぶまれるオオツギホコウモリ)

しかもツギホコウモリ意外はクリティカルで特にオオツギホコウモリは1965年以来、50年以上目撃がなく絶滅した可能性も示唆されています。

話が逸れました、とにかく生粋の陸生哺乳類も水棲 (淡水) の哺乳類もニュージーランドには存在しません。

つまり、大きかろうが小さかろうがカワウソやビーバーに似た哺乳類そのものがいるはずがないのです。

先住民族、マオリ族がニュージーランドに渡ったのは9~13世紀ごろと考えられており、それと共にナンヨウネズミ (Rattus exulans) と犬も渡ってきたと考えられていますが、カワウソやビーバーにはあまり似ているとはいえません。

17世紀以降はヨーロッパ移民が多くの哺乳類 (ウシ・ブタ・ヒツジ、イヌ、ネコ、フェレット、オコジョ、ネズミ等) を持ち込んだためその限りではありません。

しかしカワウソやビーバーの持ち込みはなく、もともとワイトレケもカワウソよりも小さいといわれているため、おそらく別種でしょう。

ワイトレケの有力な候補としてニュージーランドに導入を試みられたフクロギツネ (Trichosurus vulpecula)、ハイイロリングテイルポッサム (Pseudocheirus peregrinus)、そして導入を試みられた可能性がある種としてフクロネコ (Dasyurus viverrinus) がいます。

(フクロネコ)
(image credit by Wikicommons)

特に「ワイトレケの毛皮」なるものが存在し、その毛皮は茶色で白の斑点があることからフクロネコのそれに似ています。

但し、フクロネコの導入の記録は不確かであり、もちろん現在でもニュージーランドにフクロネコは繁殖しておらずなんともいえません。

また、そもそも「ワイトレケの毛皮」と呼ばれるものは本当にワイトレケと呼ばれていた生物のものなのか、もしかすると本当はオーストラリア本土で採取されたただのフクロネコの毛皮かもしれません。

それに加え、毛皮の斑点模様はこの毛皮でのみ確認されているワイトレケの特徴です。

では仮にその毛皮がフクロネコだったして、水棲でもないフクロネコをワイトレケと見間違うものか?という新たな疑問も起こります。

こういった事情もあり、何の変哲もなさそうな小さなカワウソ似のUMA、ワイトレケは謎が謎を呼ぶ不思議な生物なんですね。

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